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TOSSランドNo: 8226455 更新:2012年11月29日

「いちご同盟」のクライマックスは原典を確認する


教科書に採られている「いちご同盟」は、作品の一部である。
よって、主人公・僕(良一)が物語中でどのように変化したのか、今ひとつ分かりづらい。
そのため、教科書中だけでなく、「いちご同盟」の原典に当たらせることで、良一の変化を多面的に検討する授業を展開する。
事前に、『いちご同盟』の文庫本(集英社文庫)を持参させておく。
または、クライマックス検討に必要な部分だけを印刷して配る。

本文を以下のように分け、要約させている。

事件1 はじめ~二百一頁・下・二十行目
徹也に直美の危機を知らされる僕。

事件2 二百一頁・下・二十一行目~二百二頁・中・一六行目
「命」という言葉が胸に食い込む僕。

事件3 二百二頁・中・十七行目~二百四頁・上・三行目
徹也と一緒に直美の無事を祈る僕。
事件4 二百四頁・上・四行目~二百六頁・上・一九行目
徹也と相撲を取る僕。
事件5 二百六頁・上・二十行目~終わり
徹也と百まで生きる同盟を結ぶ僕。
授業の展開
【 】内は本文からの引用を示す。

発問1:

クライマックスはどこですか。事件1~5の番号で答えます。

事件の番号で答え、理由も書かせる。

「事件4である。徹也の弱い部分が見えたから。」
「事件5である。生きる決意をしているから。」
などが予想される。
ここでは、意見を出し尽くしていったん終える。

説明1:

実は「いちご同盟」は、もっと長い作品で、教科書に採られているのはほんの一部です。

指示1:

他のクライマックス候補を、文庫本から探してご覧なさい。

出てきた答えを、どんどん板書させる。
場面の分け方は、おおまかで構わない。
それらを受けて、問う。

発問2:

最も重要なクライマックスは、教科書中にありますか。教科書外にありますか。理由も書きます。

おそらく、教科書会社の解釈では、事件4ないしは事件5がクライマックスなのだろう。
つまり、
「生きる気力のない僕」

「生きようと誓う僕」
という変化を重視していることになる。

しかし、これが本当に僕(良一)の変化として最も重要なのか。
様々な解釈があって良いし、教室の討論次第でどちらの結論になっても良いが、私は違うと考える。

文庫本では、

【単調で、変化がないからこそ、生きていると実感できるような、そんな命のリズムを、この曲はとらえているのだ。】(前掲書二百三十三頁)
とある。
これは、
【几帳面なほど正確な演奏だ。でも、少しも感情がこもっていない。ぼくなら、もっと情熱的に弾いてみせるのだが…。】(同四十三頁)
【生きていたって、ろくなことはない。】(同七十五頁)

と比べればガラリと変わっていることが分かる。
僕の生命観だけでなく、ピアノの芸風も変わっているという点、
徹也との「同盟」からではなく、生きている実感に自分で気が付いたという点、
以上二点において、教科書中のクライマックスよりもこちらの方が重要であると考える。
つまり、
「単調なものを嫌う僕」

「単調なものに意義を見いだす僕」

このように解釈した方が文学的として高尚であるという考えでいる。
授業の最後に、各自の結論を書かせて終わる。
上記以外では、たとえば次のような結論が想定される。

・直美が【あ・な・た・が・す・き】【し・ぬ・ほ・ど・す・き】(前掲書二百三十六頁)と言おうと唇を動かしたところ。(「どうせみんな死んでしまうんだ」という考えを持っていた僕が、「死が近くても生命は輝きを持つ」という考えを持ったことを示す。また、女子との関係が全くなかった僕が直美に好かれたことによる変化は大きい。)

本教材は、中学校最後の物語教材である。
教科書に文章の一部が採られている場合、それだけ原典の文脈とは離れてしまう危険性があることを教えて、義務教育課程を終わらせたい。

使用教科書
東京書籍「新編 新しい国語3」
参考文献
三田誠広『いちご同盟』(集英社文庫)


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