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TOSSランドNo: 4658474 更新:2012年12月31日

つまらない作文の授業を知的に変える! ~個別評定で行う向山型作文指導~


1 向山型作文指導

 向山型作文指導で、文を長く書かせる指示がある。

先生がこれからする動作を作文にしなさい。できるだけ長く書きなさい。(『全集22子どもの知性を引き出す作文の書かせ方』)

 向山氏はそう言って、廊下へ出た。
 戸を開けて、教室の中央で子どもたちを見た。

指示1:

これだけです。さあ、書きなさい。

 と、子どもたちに言うと、「エッ!」と言ってぽかんとしていた。
 子どもたちのあっけにとられている様子が目に浮かぶようである。

2 子どもの作文を変える個別評定①

先生がドアをあけて教室に入って来て、電気をつけてあかるくしてから、みんなの前に立ってから今度は電気をけした。(島原さんの作文)

 行数でいうと、2行程度である。ほとんどの子はもっと短い。さて、ここからが教師の腕の見せ所である。
 向山氏は、子どもたちの作文を次々と

「個別評定」

 していった。
 島原さんの作文に向山氏はDをつけたという。これよりもっと短いものも、当然Dとなっただろう。
 その中で氏がAAをつけた作文がある。

初め教室へ入る時、みんなはどんな気持ちで入るのだろう。なんとも思わ
ない人、じゅ業が始まると思う人、またかあ、と思う人。
 一度手がふれる。その時もたしか思うことがあるはず。先生もそうだろう。
ドアをしずかに開ける先生を、三分の二ほどの人が見ている。すると先生はちらっとこちらを見て、わらうかにらみつけるかふつうか・・・。一歩横へ出て電気のスイッチを入れる。パチパチ、あっという間に四~五つの電気がつく。コツコツと音がしてぬっと教たくの前へ立った。またちらっとみんなを見て、さっさとじゅ業の用意を始める。みんなは、じゅ業開始と思うことだろう。

 一読しただけで、レベルが違うことが分かる。
 重要なのは、この作文にAAをつけ、これをみんなに紹介した点である。
 かくして、Dをもらった島原さんは次のように激変する。

先生がドアをガラガラとあけてから教室に入りました。電気を五つ全部つけて、あかるくなりました。四ほぐらいあるいてみんなの前(つくえの前)に立ちました。
 みんなしーんとしている。音がしているのはヒューヒューと風の音。まどはがたがたとゆれている音が耳に入り、作文を書くのにじゃまになる。先生はいつもとちがって、しゃべらないで教室に入っていらっしゃる時の顔がどんな表情なのかと見ていました。すると、先生の顔はおこっているみたいで、ちょっとこわくなってきて下を向き、作文を書きました。いつものじゅぎょうをしている先生の方が私はすきです。

氏はこれにAと評定をしている。(敬体・常体まじり、文のねじれ二カ所で原点)

3 子どもの作文を変える個別評定②

 向山氏は「AA、A、B、C、D」で作文を評定している。評定の基準についての詳しい記述は残念ながら残っていない。
 そこで、島原さんの作文から評価ポイントを次のように推測した。 

① 自分の考えたことを書く
② 教師の表情や行動を細かく分析して書く
③ 描写して書く
④ 周りの様子を書く
⑤ 聞こえた音などを書く
⑥ 一文を短く区切って書く。

きっと、向山氏はAAの作文を紹介し、以上のようなポイントを板書し、きちんと指導したのだろう。かくして島原さんをはじめ多くの子の作文ががらっと変わり、集中して取り組んだだろう。そのことが次の文章から伺える。

翌日10ぐらいの子が家で復習して書き直してきた。「ノートを見て」という。どれもみちがえるようであった。

4 文を長く書かせる指導のポイント

 向山氏の文を長く書かせる指導の場面は次の三つに分けられる。

1 具体的な場面の提示 「先生のすることを書く」
2 明確な評価     「AA A B C D」

3 良い作品の紹介   「賞賛・あこがれをもたせる」

「1 具体的な場面の提示」とは、「先生のすることを長く書く」ということだが、フランスでも似たような作文指導が行われているという。教師がリンゴを取り出して、ナイフで皮をむいてみせ、それを『文章に表しなさい。』と指示するのだそうだ。

5 修正追試

 私の学級(5年生)でも追試をした。
 修正した点は次の2点である。

① 行数で評定した。1行で10点。
② 先に挙げた個別評定のポイントが一つ入っているごとにAとした。二つ あればAAになる。

 子どもたちは熱中して作文に取り組んだ。
 以下に、子どもの作品を紹介する。

A子
 教室のドアをあけ、先生が歩いて入ってくる。
          ↓
 先生が、ろうかでかくれながら五年二組の戸を開け、ほんの数秒間だけじっとしていた。そして、どうどうと教室に入り、スタスタとしょう面をむいたまま少しむねをはって歩いていき、かなえちゃんとたくみ君の前でくるりと一回りして、手を一度、「パン!」とたたいた。

細かく動作を追ったB子の作品

B子 
 先生が、教室のドアから入って、五・六歩いて、とまった。
         ↓
 平山先生が、とうかから入ろうとして、ドアをあけた。しかし、1~2秒入ろうとはせず、ろうかに、とまっていた。そして、先生は、教室に入り、とまっていた。そして、先生は、教室に入り、たくみ君とかなえちゃんとの間の、前に立った。それで終わりかと思ったら、1秒ぐらいして回転した。そのとき、うでをあげ、手は、パーのじょうたいだった。
 そして最後に、平山先生は、手をパンと鳴らして、今やったことを、文に書けと言った。歩いてくる時の先生の顔は、まじめそうにしていて、ちょっとえらそうだった。

そして、最高傑作のC子の作品。思ったことが実にいい。主語がないので減点。

C子 
 ろうかからドアをあけて5の2の教室に入って、教室の前の真ん中まで歩いてみんなを見て手を「パン!」とたたいた。
         ↓
 ろう下から、かた手でおしてドアをあけた。少したってからどたどたと前のまん中に来て、クルッとたくみくんとかなえちゃんのほうに向きをかえ、にやっと笑い、右足を後ろに回し、何を考えたのか、いきなりみんなの前でクルッと小さく回った。
 その後の顔はやはりぶきみに笑い、まるで、何かおそろしいことを考えているようにも見えた。そのしゅんかん、みんなも、その行動を見て、ドッと笑った。そして両手でいきおいよく、「パン!」とさっきと同じように手をたたいてみせた。
 ろう下から教室に入り、クルッと回って手をたたくまでの時間は、本当にあっという間の作業だった。まるでながれ星のように・・・・。

子どもたちは一時間熱中して作文にとりくんだ。作文が苦手な子もみな文を長くことができた。この日を境に、激変とまではいかないが、日記の文章にも変化がみられるようになった。
 事象を具体的に見る。細分化して文章に書く。思ったことや、その時に聞こえた音など、周りの様子を描写する。このような視点が1時間の指導の中にちりばめられている。ぜひ、追試していただきたい実践である。

【引用文献】全集22子どもの知性を引き出す作文の書かせ方(明治図書)


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