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TOSSランドNo: 4144059 更新:2012年12月31日

自由試行で電磁石の授業


◆この実践は、岡山の小林幸雄先生の六年「電磁石」実践の修正追試である。

◆参考にした資料
「先生の通知表つけたよ」向山洋一著 明治図書 P112 子どもが書いた授業記録
「教え方のプロ 向山洋一全集8」 明治図書

向山先生は自由試行を取り入れる授業の原理原則として

1 「局面の限定」 
2 「変化のあるくり返し」

だと言われている。 「教え方のプロ 向山洋一全集8 P116」より
この2つについて、小林幸雄先生の実践を参考に、実験材料・発問・指示に修正を加えてみた。

◆導入の概略
単元「電流と電磁石」の導入として、
まず教科書どおり小型強力電磁石(60kgの力で引っ張らないと離れない電磁石)を体感させてみることからはじめた。

単一乾電池一個で、60kgもの力がでることに驚く。
小型強力電磁石の中身を取り出してみた。
エナメル線と鉄のしんだけである。
たったこれだけ?という感想。

エナメル線と乾電池との組み合わせに、はやくもうずうずしてきた様子。
このように、気分を盛り上げておいての学習となった。

導入にあたって、これまでの単元ではたいて教科書を使ってきた。
まず、教科書の実験を基礎・基本とするというスタンスで取り組んだからである。

よって、この単元でも同じように導入した。

(自由試行の)1時間目

指示1:

今からエナメル線・電池・方位磁針を渡します。自由に試していいですよ。では、班長とりにきなさい。

初めのうちは、静かなときが流れる。強力な電磁石を体験した後なので(小型強力電磁石を体感した)、はやく自分でも試したいのだ。
材料をじっと見つめている子もいるが、友だちの動きを見て真似ている。
ここは、子どもの発見を待つ姿勢をくずさない。

指示2:

「発見したこと」「やってほしいこと」があったら言いにくるんですよ。

自由試行といっても、やらせっぱなしはよくない。驚きがあれば、すぐに情報として広めたほうがリズムがよい。

「電池を二つつないでもいいですか?」

「電池だけでも方位磁針が動くよ。」

「電池をつなぐ方向をかえると針の動きが違うよ。」
「何回も巻いたほうが、方位磁針が強く動いた!」
大喜びで発見を言いにくる子が出てくる。
それらを聞いた子どもたちがいっせいに同じことを試す。

指示3:

「発見したことは、忘れないうちにメモしておきなさいよ。」

各自のノートには、友だちや自分の意見が増えていく。

もちろん見開き2ページにまとめさせていく。

準備物を書いている子を誉める。注意はしない。できている子を誉めるだけである。すると準備物ばかりか日付を書いていない子までもあわてて書く。

この時間は、職員研修で先生方も参観されていた。ノートの美しさ・ていねいさにびっくりされていた。 

(自由試行の)2時間目

説明1:

今日は、釘とストローも渡します。

2時間目に釘やストローを追加するという言葉を聞いたとたん歓声があがる。

こんなにうれしそうに喜んでくれると気持ちいい。

釘はもちろん電磁石のしんとして子どもたちが期待していたものだ。

釘を渡された瞬間!静まり返って黙々とエナメル線を巻いていく姿が広がる。

上手に巻くことができない子には、セロハンテープで止めるこつをそっと教えてやる。

1時間目よりも、強い電磁石ができることに満足している。

巻き数を比べる子がでてくる。

※小林幸雄先生は、2時間目に各自の発見を自由に前に出て板書させている。

エナメル線を方位磁針に近づけておき乾電池をつなげると、針がふっと振れるという発見を他の児童に紹介している。

自分のクラスでも同じ発見をした子がいた。

私は、その発見を見た瞬間、大げさに驚いてしまっていた。当然、その時点で他の児童にも広まった。

 

(自由試行の)3時間目

説明2:

今日は、クリップと磁石も渡します。

子どもたちは、今日は何を追加されるのだろうと期待している。

クリップをいくつ持ち上げられるかを検討している子がでてくる。クリップを基準として電磁石の強さを比較している。

クリップを1本のはり金のように伸ばして、電磁石のしんにしている子もいる。

磁石にエナメル線を巻く子まででてきた。(これは6年生の領域を超える内容であるが、実験はおもしろかった。)

「くぎに直接エナメル線を巻いたら強くなった。」

「電池の向きを変えたら、極が反対になった。」

「エナメル線だけよりも、鉄くぎをいれたほうが、磁石として強い。」

※小林先生は3時間目に「コイル」を教え、「しん」の材料として針金を渡している。

私は、「しん」の材料としてくぎを使った。磁石を渡したのは、3年生のときの磁石の経験と本単元とを明確に結びつけるためである。

 

(自由試行の)4時間目

指示4:

今日も色々試しましょう。発見したことはノートに書くんですよ。 

4時間目には、不思議に思ったことがずいぶんとノートにたまってきている。

内部情報の蓄積がすすんでいく。

主な個人課題は次のようなものである。

① くぎだけで方位磁針がまわった。電池が必要なのは最初だけなのか。

② 電磁石の巻き方によって、強さは変わるのか。(きちんと巻いたものと、隙間を空けて巻いたもの)

③ 電磁石と磁石では、どちらがより強い磁石なのか。

④ 目に見えないものに押されるように(引き付けられるように針などが動くのはなぜか。

⑤ どうして、エナメル線をまいたものが少し熱くなるのか。

小林幸雄先生の実践では、「どうして方位磁針は磁石なんだ」といった今あるものを疑う視点が鍛えられている子どもの姿がある。

また、4時間目のはじめに、前時の発見を指名なしで発表させている。

子どもたちの課題意識を高める手だてとして、押さえておくべきポイントだと感じた。

 

このように、材料を限定して試すことで、友だち同士の試行が似通って、互いの情報交換が活発になる。

内部情報をしっかりと持った子どもたちは、課題意識をいっそう持ちつつ、より強い電磁石や極などに興味を持って学習を進めていくことになる。

小林幸雄先生のような子どもの発見を的確に授業に生かす高段の技術には及ばずとも、子どもの活動が生き生きとした学習ができた。

「局面の限定」「変化のあるくり返し」といった原理原則(私の場合は、ただ材料を少しずつ渡しただけ)は、すぐにでも追試できるすぐれた方法である。

向山型理科自由試行の授業は、これからの理科教育の主流となるべきである。


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