TOSSランド

コンテンツ登録数
(2019/03/23 現在)

21596
TOSS子どもランド TOSSオリジナル教材 TOSS動画ランド TOSSメディア TOSS-SNS TOSS公式(オフィシャル)サイト
TOSS子どもランド
TOSSランドアーカイブ
TOSSランドNo: 7904733 更新:2012年12月31日

親切そうに見える「ちょっとした行為」を見逃すな


高学年になると、特に女の子の中に固定した小集団ができて仲間づくりに困るということがよくある。私も、このことによる弊害を何度も経験してきた。
 しかし、わたしはその「芽」は中学年の段階であるだろうと思っていた。自分自身、最近、高学年の担任が多く(低学年の担任もしたが)、中学年を持ったことがなく、そのあたりがずっと分かりにくい面があった。今年、久しぶりに中学年を持ってみて、やはり、そういった傾向は中学年の段階でかなり固まっていくように感じた。

 「女の子によく見られる固定した小集団」を、強固にしないための手だてとして、次のような指導が必要である。

(1)具体的な場面を取らえて、全員に考えさせること
(2)第三者的な立場から考えさせずに、「自分もそうするかもしれない」というような立場で考えさせること

先日、そうじ場所を新しく変えることになった。
 私の学級では、希望のそうじ場所に自分で手を挙げて、人数が「定員」より多い場合にはジャンケンで決めるようにしている。
 その時、あるそうじ場所でジャンケンをしたとき、勝っているにもかかわらずその場所にならずに、ジャンケンで負けた子に「ゆずる」という行為があった。それをしたのは、おとなしい女の子であった。これは、私が見つけたのではなく、別の子がさりげなく私に言ってきたのである。言ってきたのは、どちらかといえば、友だちの中に入りにくいタイプの子である。
 彼女は言った。
 「先生、ジャンケンで勝ったのに、負けた人にゆずるのはいいの?」と。
 この「ゆずる」という行為はともすれば、すごく親切そうに見える行為である。しかし同じそうじ場所の顔ぶれを見て、これは「仲のよい同士で固まろうとしている。」とピーンときた。と同時に、指導をするいい機会だと思った。

 全員に席につかせ、「ちょっと話をしたいことがあります。」と言ってしゃべり始めたざわざわしていた子どもたちは、急にしーんとなった。いったい何事があるのかという感じである。

事実(ジャンケンで勝った子が、仲のよい子といっしょになりたいために負けた子
にゆずったこと)を説明し、どう思うかをたずねた。関連した子の名前は言わずに・
・・・

 「いけないと思う。」「ずるいと思う。」「自分のことしか考えていないから、悪いと思う。」こういった抽象的な意見が出された。自分を「蚊帳の外」において、意見を言っている。
 子どもたちは、問題の意味があまりつかめていないようであった。
 そこで、そのことの意味を説明した。
 「そうじ場所を決めるのに、やりたい場所で決めるのではなく、やりたい人で決めている。そして、いつも同じ人となろうとしている人がいる。こんなことをそのままにしておくと大変なことになる。グループ同士で対立したり、ひとりぼっちの子を作ったりして、この学級は大変なことになる。先生は、こういったことは絶対に許せない。」
 私の厳しい口調に子どもたちは驚いていた。
 その後、この事を自分のこととして考えさせるためにたずねた。

このように、今日そうじ場所を決めるときに、自分がなりたい場所ではなく、なり
たい人で手を挙げた人? あの人となりたいとか、あの人となりたくないとかを考え
て。

一人の子がおそるおそる手を挙げた。それをきっかけに、次々と手を挙げて、半数以上の子が手を挙げた。
 K君が小さい声で言った。
 「先生、ぼくのほうをちらちら見て、手を挙げる人もいたよ。」
 K君は、友だちから避けられがちな傾向がある子である。
 もう一度、

このことについてどう思うかをたずねた。

度は人ごとのように言う子は少なくなっていた。
 「自分も人で決めてしまった。よくないとおもった。」
 というように。
 38人中、15人が発言したところで、チャイムがなった。1時間かかった。次が専科の先生の授業であったので、話し合いを打ち切り、後で自分の考えを日記帳に書かせることにした。

こういった問題では、必ず、全員に自分の考えを持たせる必要がある。
 そして、何らかの形で公表する必要がある。
 
 全員に日記に書かせたあと、それを読んでいった。(本当なら、自分で読ませるのがいいだろう)
 それを一部紹介する。

きょうのそうじを決めるとき、だれかがジャンケンで勝っていたのに、勝った人と
ならずにぬけだしたということがありました。そのことで話し合いがありました。
 ぼくも、友だちとなりたくて決めてしまいました。
 だから、こんどから、そんなふうにしないように気をつけたいと思います。
 もし、今までのままだったら、先生の言った通り(学級がだめになる)になったの
かもしれません。だから、気をつけてそんなことはしないようにしようと思います。

ぼくは、4時間目のそうじ決めのとき、どこにしようかとまよいました。そして、
図書室に手をあげました。A君もいっしょでした。なぜか、いつもいっしょになりま
す。もしかしたら、ぼくは、人で決めているのかもしれない。やめようと思ってもそ
うなっている。
 あまり、いい気分ではなかった。

きょうのそうじ決めのとき、紙のわたしあいやいろいろなことがありました。私は
そんなことはしてはいけないと思います。
 人をけいべつしたり、だれかといっしょになりたいから、そんなことをして。そう
じは遊びではないのに、そんなことをするなんて。
 私は、そんな人とそうじをしたくない。はっきりしてほしいです。

全員の日記をみていると、子どもたちの学級集団内で置かれている立場が、くっきりと見えてくる。
 例えば、次のようなことである。

固定した小集団を作っている子は、反省をしたようような文面になっている。
 小集団を作っていない子は、批判的な文面になっている。
 孤立しがちな子(させられがちな子)は、強い批判的な文面になっている。

こういった話し合いをしても、開き直るような意見がでることもある。
 S子は次のようなことを書いていた。

私は、今日のことはいいと思います。なぜかというと、私だってあのようなことは
したことがあるし、友だちといっしょじゃないといけないというのは、当然のことだ
と思ったからです。
 わたしだって、席がえのときは、少しでもE子の席に近いところになろうと思って
います。
 わたしは、友だちをはなれるのは、とてもいやなことだと思ったから、今日のこと
はいいと思いました。

この意見に対して、「みんなのこと考えや」「自分だけよかったら、それでいいのか」という意見が出された。
 この話し合いで、この子の価値観は崩れなかったのである。いうなれば、「教師の負
け」である。しかし、そのままにしておくことはできない。
 この場でいくら話してもあまり成果がないだろう。

なるべく早い段階で、この子が関連して起こった事象を取り上げ、考えさせる必要 がある。

親切そうにみえる、「ちょっとした行為」
そのなかに、おそるべき、学級崩壊の芽が潜んでいるのである。

こういったことをすばやく見抜き、早急に対応することが教師に求められている。


1回すごい!ボタンが押されました

コメント

※コメントを書き込むためには、ログインをお願いします。
New TOSSランド