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TOSSランドNo: 8793877 更新:2013年01月01日

世界平和のために「ORSから国際問題を考える」


「ある飲み物を持ってきました。」
中身が見えないようになっているボトルを提示した。生徒の目が一気にボトルに注がれる。ボトルの中身は、スポーツドリンクである。

発問1:

飲んでみたい人はいますか。

警戒する生徒がほとんどである。しかし、やんちゃな生徒がここで手をあげる。すぐに当てて前に出てきて飲んでもらう。(おいしいです。スポーツドリンクのような味がしました。)感想を言い、拍手の中、自分の席に戻っていく。

発問2:

スポーツドリンクはどんなときに飲みますか。

(運動をしたとき、お風呂からあがったあと、など。)
「スポーツドリンクのペットボトルのつつみ紙を持ってきました。」

指示1:

つつみ紙に書いてあること音読しなさい。

つつみ紙には、水分が体に吸収されやすいことから、仕事、スポーツ、風呂上がり、寝起きなどに飲んだら良いことが書かれている。
「今日は、もう一つ、別の飲み物も飲んでほしいんです。」最初とは違うボトルを提示する。中身は、経口補水塩である。「飲みたい人」と聞くと、今度は、最初より多くの生徒が手をあげる。前に出て飲んでもらい、感想を言う。(おいしくないです。しょっぱいです。)
「これは、さっき作ったばかりです。作るのに三つのものを使いました。」

発問3:

材料は何だと思いますか。

予想させる。正解は水、塩、砂糖の三種類である。「もう一杯飲みませんか」と聞くと、誰もが首を横に振る。しかし、この飲み物を飲む人がいることを伝えると、生徒は驚きの声をあげる。
授業にあたって、二つの資料を用意した。一つは、田沼武能氏『トットちゃんが出会った子どもたち―田沼武能写真集』に載っている写真である。もう一つは、『徹子の部屋』のビデオである。
まず、写真の方を配った。

指示2:

この飲み物を飲む人に印をつけなさい。

真ん中に痩せ細った男の子が立っている。また右にいるお母さんは赤ちゃんを抱えている。この男の子と赤ちゃんが経口補水塩を飲むことになる。
「これはエチオピアで撮った写真です。日本は工業化が進んでいる先進国です。逆にエチオピアのように工業化が進んでいない国を発展途上国といいます。発展途上国では、5歳未満に亡くなってしまう人が年間1400万人います。」

指示3:

その死因の第一位は何ですか。プリントの余白に書きなさい。

予想を発表させる。多くの生徒が飢餓、水不足、などを思い浮かべる。「みんなもなったことがあるものだよ。」「日本人でこれで死ぬってことはまずありえないね。」などと、ヒントを与える。ヒントを与えると、ピンとくる生徒もいる。正解は下痢である。下痢で、死ぬということに生徒から、びっくりした声があがる。下痢で脱水症状になってしまうのである。

発問4:

みんなは脱水症状になりそうになったら、どのように対処しますか。

(水を飲む、水分をとる)
発展途上国の場合、きれいな水を確保することが難しい。また、慢性的な栄養失調で、立っているだけで精一杯の子どもたちにとっては、下痢でも命の危険が伴う。脱水症状で死にかけている子どもたちを救うための薬が経口補水塩なのである。
【板書】経口補水塩(ORS)

発問5:

経口補水塩は一杯いくらすると思いますか。

約2円~5円くらいである。しかし、この薬も子どもたちに届かないという問題がある。だから何とかしようと、たくさんの人や組織が働いている。「これから、こういう子どもたちを救うために活躍している人の様子をビデオで見てもらいます。」『徹子の部屋』のビデオを約5分流す。
「黒柳徹子さんは、ユニセフの親善大使として活躍されています。」
【板書】ユニセフ

発問6:

スポーツドリンクは、どんなときに飲むのでしたか。

(体が渇いたとき)

発問7:

経口補水塩は、どんなときに飲むのでしたか。

(脱水症状のとき)
「スポーツドリンクと経口補水塩は、元をただせば同じものです。スポーツドリンクにはおいしくなるように味付けをしているだけで、入っている成分はほとんど同じです。」
経口補水塩を使った脱水症状の治療法を「経口補水塩療法(ORT)」という。経口補水塩は、普通の水の約25倍の早さで体に吸収される。しかし、この経口補水塩療法が、発展途上国で中々広まっていかないという問題がある。
「ユニセフでは、経口補水塩を広めようとしているのですが、中々広がらないという現実があります。原因はいくつかあるのですが、先生は、これが一番大きな原因だと思います。」
【板書】教育
教育が十分に行き届いていないのである。例えば、下痢になったら横になるという簡単な医療知識や、薬の飲み方を知らない人々が多くいるのである。また、経口補水塩の作り方は、水1リットルに対して、砂糖茶さじ4杯、塩茶さじ半分を入れてかき混ぜるだけである。しかし、この経口補水塩の作り方が、紙に書いてあっても、発展途上国の人々には伝わらない。残念ながら文字を読める人は決して多くないのである。そこで、ユニセフでは経口補水塩の簡単な作り方を口で紹介している。
500mlの水に、砂糖を手のひら山盛り一杯入れてかき混ぜる。砂糖は、栄養である。塩は、三つの指を使って一つまみ。しょっぱさの基準は自分の涙である。涙よりしょっぱいと塩分が強すぎる。自分の涙を基準に塩の量を調整する。
この作り方で、生徒一人を指名し、経口補水塩の作り方を実演してもらった。教師が解説しながら、前に出てきた生徒が経口補水塩を作っていく。何グラムという量ではなく文字が読めない人でもわかるような基準になっているので、生徒も簡単に作れることを実感できるのである。
さらに「これなら、私でも教えることができる」と考える生徒もいる。この考えを取り上げる。いなければ教師から言う。青年海外協力隊などに参加し、発展途上国にいって活躍している日本人のボランティアは、たくさんいる。本時の授業では、取り上げなかったが、そうやって活躍する日本人も紹介したい。
「黒柳さんは女優です。テレビの司会もやっています。それなのに、年に何度かこういった恵まれない人たちのいる発展途上国に行って子どもたちに会っています。」

発問8:

黒柳さんは、なぜ、そういう子どもたちに会いに行くのですか。

何人かに発表させた。
(子どもたちに希望を与えるため、愛を与えるため)

発問9:

では、テレビカメラも一緒についていくのは、なぜでしょうか。

(多くの人に知ってもらいたいから、日本の人に現実を知ってほしいから)
「実はそういうことだと、先生も思います。みなさんは知っていましたか。とても日本人が飲めないような飲み物も命の水になっているって知っていましたか。そういうことをみなさんに知らせに、黒柳さんは行っているのです。」

指示4:

黒柳さんが、この番組を見てくれる人に、願っていることは何でしょうか。さっきのプリントの余白に書きなさい。

発表できる人から、自由に立って発表させる。
「もちろん、みんなが言ったとおり何ですが、みんなが書いてくれたものを、一つの言葉にまとめます。」
【板書】具体的な○○を求めている

指示5:

○○に入る漢字二文字を書きなさい。

発表してもらい授業を終える。

【参考文献】
染谷幸二氏『ORSの授業』CD
田沼武能氏『トットちゃんが出会った子どもたち―田沼武能写真集』
丸亀貴彦氏「ORT(経口補水塩)の授業」
「ユニセフのキッズホームページ 子どもと先生の広場 ユニセフってなあに?」http://www.unicef.or.jp/kodomo/nani/job/jo_bod1.htm


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