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TOSSランドNo: 7264607 更新:2012年11月30日

便所掃除


「便所掃除」の実践記録

 浜口国雄さんの「便所掃除」の詩を読んで、生徒に聞かせた方は多いと思う。しかし、そのあと、教師が説教して終わってしまっては、生徒には詩の強烈さが残るだけであろう。

 そこで、私は、次のように実践した。
 
 「便所掃除」の詩をプリントにして配り、教師が読む。

 「ババ糞」とか、「けつの穴でも曲がって」というところでは、笑う生徒がいる。教師はニヤリともせずに朗読する。

 数名の生徒に感想を聞く。

 「汚い詩だ」「すごい」「笑ってはいけいない詩だ」など。
 次に、

 指示
 「この詩をまねて、自分の掃除場所の詩を作りなさい。」

 まねしてよいので、詩の苦手な生徒も、かなりおもしろがって気楽に作る。
 書いた詩は、集めて掲示したり、代表的なものを印刷して配る。この道徳の授業のあと、トイレ掃除がいつもより丁寧になったような気がするのは、教師の思い込みだけではないだろう。 

  便所掃除         浜口国雄
   扉をあけます。
   頭のしんまでくさくなります。
   まともに見ることが出来ません。
   神経までしびれる悲しいよごしかたです。
   澄んだ夜明けの空気もくさくします。
   掃除がいっぺんにいやになります。
   むかつくようなババ糞がかけてあります。

   どうして落ち着いてくれないのでしょう。
   けつの穴でも曲がっているのでしょう。
   それともよっぽどあわてたのでしょう。
   おこったところで美しくなりません。
   美しくするのが僕らの務です。
   美しい世の中もこんなところから出発するのでしょう。

   くちびるを噛みしめ、戸のさんに足をかけます。
   静かに水を流します。
   ババ糞に、おそるおそる箒をあてます。
   ポトン、ポトン、便壺に落ちます。
   ガス弾が、鼻の頭で炸裂したほど、苦しい空気が発散します。
   心臓、爪の先までくさくします。
   落とすたびに糞がはね上がって弱ります。

   かわいた糞はなかなかとれません。
   たわしに砂をつけます。
   手を突き入れて磨きます。
   汚水が顔にかかります。
   くちびるにもつきます。
   そんなことにかまっていられません。
   ゴリゴリ美しくするのが目的です。
   その手でエロ文、ぬりつけた糞も落とします。
   大きな性器も落とします。

   朝風が壺から顔をなぜなぜ上げます。
   心も糞になれて来ます。
   水を流します。
   心に、しみた臭みを流すほど、流します。
   雑巾でふきます。
   キンカクシのウラまで丁寧にふきます。
   社会悪をふきとる思いで、力いっぱいふきます。

   もう一度水をかけます。
   雑巾で仕上げをいたします。
   クレゾール液をまきます。
   白い乳液から、新鮮な一瞬が流れます。
   静かな、うれしい気持ちですわってみます。
   朝の光が便器に反射します。
   クレゾール液が、便壺の中から、七色の光で照らします。

   便所を美しくする娘は、
   美しい子どもをうむ、といった母を思いだします。
   僕は男です。
   美しい妻に会えるかもしれません。
         真壁 仁編『詩の中にめざめる日本』(岩波新書610 1966年)より


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