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TOSSランドNo: 4302501 更新:2012年12月31日

井上好文先生からの学び~目線について~


2004年はじめて目線を意識したときの記録である。

 サークルで模擬授業をする。多くのことがわかる。わかっただけではいけない。実践に生かさなければならない。
模擬授業は、模擬授業が上達するために行うのではない。実践の質を上げるために行うのである。教室の子どもたちにもっとわかりやすい授業をするために行うのである。もっと知的でわかりやすい授業をするために行うのである。
何も力を入れていうことはない。あたりまえのことである。頭では、わかっている。しかし、このあたりまえのことは、意識しないと、とんでしまう。意識なんてものじゃ甘い。なんとしても実践に生かすという意志(成し遂げようとする心)をもたなければできないのだ。

 「B5のプリント、社会科ノートをお出しください。」と行って私は授業の始めに歩き出した。
ここで、井上先生のストップがかかった。これだけの場面、まさに数秒のできごとである。
「どうして、歩いてくるとき下を向くの?」(文責杉谷)
 頭をハンマーで殴られたほどのショック、電気が全身を走るようなショックであった。

 私は、教師になってから毎日10回、週60回、月1200回、年12000回、
教師になってから130000~140000回は、子どもの前に出て行っている。
ところが、その間、一度も下を向きながら出て行っているなんてことを考えたこともなかったのである。
 「もう一度」と言われ、再び歩き出した。
今度は、目線を落とさないように前を向くように意識していた。
(何日もたってから気が付いた。教室に入ってから前に出るまでの間は、子どもの方に顔を向けて歩く方が良い。)

 「B5の 社会科ノート をお出しください。」
手に持っていたプリントを机の上に置いた。
「ストップ。プリントを置くときにプリントを見ない。授業のはじめは子どもから目を離さない。
まだ、安定した流れになっていないのです。何があるのかわからないのです。」
 なんと、プリントを置くときも目を落とさないとは。これで、修業の方向が定まった。

 授業の始めに、教科書やプリントをさがすなんてもっての外。
私は、教師12年目にして開眼といえるほどの学びを得た。教育観まで揺さぶられた。
このようなことを言ってくださった方は12年間、一人もいなかった。

 その日から、鏡に向かって教室へ入る歩き方の練習を始めた。道を歩きながら時々やってみた。
具体的に日々の行動が変われるのがTOSSの学びである。
 その後、日々の授業で毎回毎回、授業の開始時に目線を子どもから離さないようにしている。
すると、今まで見えていなかったことがたくさん見えるようになった。
 一番に感じたことは、「子ども達は教師をとてもよく見ている」ということである。
 教室に入ったところから子どもに目線を走らせていると、実に多くの子どもと目が合うのだ。今までこの子どもたちは、先生のほうを見ても先生は下を向いているという経験を毎時間していたのだと、申し訳なく思った。よく、「先生の目を見て話を聞きなさい」なんて言うが、教師より子どものほうがずっとずっと相手を見ていたのだと知った。
 目線が合うと、目と表情だけで会話ができる。「はやく用意しなさい」「もう用意
できているの。かしこいなあ」というようなことが言葉に出さなくても通じるのである。

 全員を視野に入れようとすると、これまでの私の授業のときの立位置ではだめだということに気が付く。
子どもに近すぎるのである。子どもに近すぎると、どうしても前から2列目までの、両端の子どもがフレームアウトしてしまう。
 「少し下がってください。」私は、みんなを少し下がらせることにした。
体育の授業では、集合させてから必ず教師が一歩下がるようになった。

 研究授業や模擬授業を見るときに、教態、特に授業者の視線を意識して見るようになった。
意識して見るとこれまでは、見えなかったことが見えてくる。
 多くの授業者は、全体に指示・発問をするときに前から1~4列、横に4列に向かって話している。
 小学校の教師は、このようなことを教えてもらう場がないのである。それで、ベテランでも上のようになっているのである。
 2004年の年末、箱根で向山型算数合宿が行われた。そこで、向山先生のお話を久々にうかがうことができた。
向山先生は、ずっと、参加者を見ていらっしゃった。400人近い会場にもかかわらず何度も一番後ろの私の、
ところへ視線が届くのである。
 向山先生の算数TT授業のビデオを見る講座があった。向山先生の視線は、暖かいのである。
視線を意識すると、見なければ見なければと視線がきつくなることも多い。
向山先生の視線は、子どもを包み込むような暖かさがあるのだ。
 井上先生に教えていただいた「教態、視線」。まだまだ、奥が深い。
学べば学ぶほど次の課題が出てくる。これからも考え続け、繰り返し繰り返しやってみて、技能として身につけていきたい。
 箱根合宿のブレストで、井上先生にお礼を言った。
「よかったね。」と言ってくださったその視線は、どこまでも暖かかった。


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