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TOSSランドNo: 1290109 更新:2012年12月31日

向山型要約指導を使った教材研究の仕方〜


向山型要約指導で教材分析し,リライトする部分を発見する

〜海にねむる未来(5教材)

向山型要約指導を使って教材分析した実践例を示す。
 教材の不備な面などが向山型要約指導を使うと見えてくる。

向山型要約指導のすごさ

向山型要約指導は何が優れているのか。
 次の2つがあるからである。

要約のやり方を明快な教える
子どもが無理なく要約できる指導システムになっている

要約のやり方とは何か

向山型要約指導で初めて要約のやり方を学んだという教師が多い。私もその1人である。例えば,「短くまとめること」「大事なことをまとめること」くらいの認識しかなかった。そんな私が向山型要約指導と出会い,自分なりに要約ができるようになった。
 では,向山型要約指導が示す「要約のやり方」は何か。これである。
  1 大事な言葉を3つ抜き出す。
  2 一番大事なことを選ぶ。
  3 3つの言葉を入れて20字(全文の場合は30字)にまとめる。
    その際,一番大事な言葉でとめる。(体言止め)
 とても具体的で分かりやすい。しかし,これをそのまま子どもたちに与えるわけにはいかない。つまらなくなるからである。そこで,向山型要約指導のよさの2つ目になる。

  指導システムとは何か。
  指導システムはこれである。
  1 20字にまとめさせる。
  2 評定する。(10点満点)キーワード1個につき2点。
  3 再度,まとめさせる。
  4 評定する。その際,どれがキーワードであるか説明する。
  5 再度,まとめさせる。

6 評定する。(ほとんど満点になっている)
 教師は教えず,3回の繰り返しを行うのである。
 このように向山型要約指導は教師にとっても子どもにとっても分かりやすく,役に立つものなのである。
 今回は向山型要約指導を私自身が行うことで教材研究をしてみた。
 要約で一番大切なことは「教師自身が要約すること」である。
 向山型要約指導を行うと教材の構造が見えてくる。
 教材の構造が見えてくるとは次のことをさす。
  文章のキーワードが明確になる。
  キーワードの配列が分かる。
  おかしい文章が分かる。
 以下,「海にねむる未来」を具体例として向山型要約指導で教材研究したことを述べていく。

要約する

「海にねむる未来」という文章を読んでみる。
 説明文教材である。説明文教材の場合,「問いの文」があるか,向山型説明文指導が使えるかを最初にみる。
 しかし,今回はいきなり要約をしていった。
 単元名が「筆者の考えをとらえよう」だからである。
 要約の仕方は向山型要約指導である。
 段落要約を使う。
 (子どもに教える方法を実際に使えるという点に向山型のすごさがある。小学生も大人も変わらないのである。どの実態にも合わせることができるのである。)
【1段落】
 1段落は問いの文が存在する。これである。
 「海にある宝物とは,いったいなんなのだろうか。」
 これがキーセンテンスである。これを中心に20字以内でまとめていく。
 次のように要約した。
  人類の未来がかかる海の宝物は何か。
 キーワードは「人類」「海の宝物」「未来」そして,「何か」という問いの形式である。

【2段落】
 二段落は一文である。
 「ザスロフ博士は,サメを専門に研究している。」
 これは主題を表す「は」にかかる「ザスロフ博士」が第一キーワードである。
 次のようにまとめた。
  サメを研究しているザスロフ博士。
 ここで「サメ」が関係していることが分かる。
 具体例の最初のキーワードはサメである。

【3段落】
 3段落はものすごい段落だ。
 博士の言葉の引用で終わっている。しかも長い文章だ。
 構造的には例示の文章である。サメのことが言及されているのだ。
 「このことから」(p39 L12)から新しい段落を始めるのである。
 そうすると,まだ,分かりやすくなる。
 さて,とりあえず,おいておこう。
 この段落を要約してみる。しかし,長く,いくつかの話題が書いてあるので要約しずらい。そこで,この段落は30字以内というふうにする。
 第3の方法(全文要約)を段落にあてはめる。
 つまり,キーセンテンスを修正して要約文を作るのである。
 私は次の要約文をつくった。
  人類を苦しめる病を解決できるかもしれないと研究されたサメ。
 この段落の一番大切なキーワードは「サメ」。
 例示の段落だからである。サメを第1キーワードにするとサメという言葉が入っている文がキーセンテンスである。2段落との関わりを考えると研究の概要が示されている文がキーになる。

【4段落】
 4段落(子どもには段落と分かりずらいところだろう)は博士の考えがまとめてあるところだ。つまり,サメの例示の終わりの段落である。
 次のように要約した。
  地球で生きていくための方法を学べる人類。
 
【5段落】
 5段落から新しい例示のものが出る。「海綿」である。
 これが第一キーワードとなる。
 次のように要約した。
  サメより前から生き続けてきた海綿。
 「サメ」「生き続ける」「海綿」がキーワードとなる。
 サメとの比較が文として出ないと不十分である。

【6段落】
 6段落は海綿の特徴が書かれてある。
 もちろん,海綿が第一キーワードである。
 次のように要約した。
  毒を海水中に出し身を守ってきた海綿。

【7段落】
 7段落の全文を示そう。
 「その努力が実る日も,そう遠くないはないだろうと,博士は言う。」
 これだけである。この段落を要約するためには「その」に代入しないといけない。
 そうしないと文にならないからである。
 「その」にあたる部分を本文から探す。これがぴったりくる。「海綿の毒を,人間の薬にする」
 代入して読んで見る。
 「海綿の毒を人間の薬にする努力」。
 これをもとに無理矢理に要約してみよう。
  実る日も遠くない海綿の毒を薬とする努力
 代入して要約するということは5学年の子どもたちに可能か。
 もちろん,できる子はいるだろう。
 しかし,ほとんどの子どもはできないと思う。
 二段階のステップを踏まねばならないからだ。
 この段落を要約することは至難の技である。
 では,どうすべきか。
 この段落こそ,リライトすべきところだと考える。
 ここで言いたいことは海綿は薬の可能性がある,ということである。
 もうすぐなりそう,とういうことなのだ。そこを強調したい段落なのである。
 ならば,次のようにリライトすればすっきりとなる。
 こうである。
  海綿が薬になる日も近い,と博士は言う。
 原文はこうである。
 その努力が実る日も,そう遠くないはないだろうと,博士は言う。
 どうであろうか。
 リライトした方が分かるやすくなったと思う。
 リライト文を要約すると次のようになる。
  薬になる日が近い海綿。
 海綿のことを例として述べてきた文章の流れからすると,「海綿」キーワードであった方が分かりやすいのである。

【8段落】
 8段落は微妙な段落だ。
 全文を示す。

  すでにいくつかの薬品が,海の生き物から取り出され,わたしたちの身の回りで利用 
 され始めている。例えば,生きた化石とよばれるカブトガニから得られる薬によって,
 わたしたちは命を守られている。

 実際に薬になりましたよ,という意味の文と具体例であるカブトガニのことが言及されている。ここは2段落に分けた方がよいところだ。
 要約をしようとすると大切な文を抜き取り,枝葉は刈り取る。
 ここでは「カブトガニ」のことを刈り取ることになる。
 しかし,カブトガニが例示として次の段落から示されている。
 とすれば,やはり,二つに分けた方がベターだと考える。
 本文にしたがって,要約をしてみる。
  私たちの回りで利用され始めている薬品。

【9段落】
 9段落はカブトガニと薬の関係が書いてある。
 薬となった実例だ。要約する。
  水などを調べる薬となったカブトガニ。
 
【10段落】
 10段落もカブトガニについての段落だ。
 しかし,違った情報の詰まったところである。
 要約文は以下である。
  新しい薬のために研究されるカブトガニ。

【11段落】
 ここで「まとめ」の段落になる。
 例示をまとめた段落だ。
 サメ→海綿→カブトガニという例示をまとめた言葉がキーワードである。
 本文には「生物」「生き物」と二種類の言葉が書かれてある。
 生物にかかる修飾部は「かれらが研究している」である。
 生物が入っている文を読んでみる。
 「かれらが研究している生物は,サメや海綿,カブトガニばかりではない。」
 「生き物」が入っている文を読んでみる。
 「クラゲやウニ,イカやヒトデなど,さまざまな生き物が調べられている。」
 ここでいう,「生き物」は例示された「サメ,海綿,カブトガニ」以外と捉えることができる。
 そのような意味で「生き物」という言葉が使われる。
 とすれば,サメ,海綿,カブトガニを含んだ言葉は「生物」となる。
 これで,第1キーワードは決まった。「生物」である。
 要約してみる。
  生物学者に調べられている海の中の生物。

【12段落】
 12段落は筆者の主張が書かれてる段落である。
 「結び」の段落である。
 要約する。
  海の中でねむっているかけがいのない宝。

向山型要約指導は文章をみるリトマス紙

向山型要約を行えば,文章の構造がはっきりする。
 また,要約が困難な部分はリライトなど何か修正を加えた方がよい部分なのである。
 向山型要約で簡単にできる文章はシンプルに書かれた文章であり,向山型要約で難しい文章は複雑な文章だということがいえるのである。
 しかし,「海にねむる未来」の構造はとても分かりやすいものである。
 このようになっている。
 問い→事例1(サメ)→事例2(海綿)→事例3(カブトガニ)→まとめ→結び
 さらに事例のところで言えば,次のようになっている。
 サメ(薬になるかもしれないんだ)可能性
 海綿(薬になる日が近い)可能性大
 カブトガニ(薬になっている)実現
 だんだんと明るい未来になるように構成されているのである。
 向山型要約指導を実際に行えば,構造を読みとることができ,さらに,文章のシンプルさを判断することができる。
 子どもがつまずきそうな部分も見えるということである。
 向山型要約指導は文章をみる時のまさに
  リトマス紙
なのである。
 説明文を読む時,向山型要約指導を行うだけで,教材研究ができる。


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