当時、6年生の龍馬君は言う。
怒ってぐちゃぐちゃ言う人には、同じように怒ってぐちゃぐちゃ言いかえしてしまいます。
いらついてギャーギャー言う人には、同じようにいらついてぎゃーぎゃー言い返します。
いちいち文句を言う人には、同じように文句をいいます。
「発達障がいの本人の訴え―龍馬君の6年間ー」より
つまり、暴言に対し、厳しく注意したり、大きな声で叱っても、効果はないのである。
それどころか、ミラーの原理のように、教師と同じような行動をとっていくのである。
それでは、子どもとの関係が悪化するばかりである。
また、授業は崩れていくばかりである。
そこで、次のように対応を変える。
対応の原則は、次のとおりである。
(1) 「そうか」「そうなんだ」と言葉を受けとめる。
(2) 相手の言葉を繰り返す。(または、相手の行動を認める言葉を言う)
(3) よくない行動を直す方向を示す。
(4) すぐに、授業に戻す。
事例1
休み時間が終わり、算数の時間が始まった。
ADHDの疑いのあるA君とB君は、楽しそうにおしゃべりをやめない。
次のように言った。
A君、B君、休み時間、楽しかったですね。
では、教科書32ページを開きます。
A君、32ページ、開きます。(いっしょに行う)
B君、準備していますね。
できるだけ、静かな声で話した。
一言も注意しなかった。
言葉を言いながら、算数の準備を一緒にした。
導入時、2人を授業にひきこむことができた。
事例2
友達の言葉で、A君がきれて、暴言を吐いた。
「A君、そんなこと言いません。」と注意した。すると、「うるせー、ばかやろう」と暴言を吐いてきた。
静かに、はっきりと次のように話す。
そうか。
うるせー、うるせー、うるせーよな。
うるせーのが、先生なんだ。
行動をなおしてほしい時にうるさくいうのが、先生なんだ。
さあ、問題③します。
A君は、しばらくぶつぶつ言っていたが、そのまま算数の学習を続けた。
A君の言った言葉を、「そうか」と受け止めて、繰り返したことがよいと考える。
また、くどくど言わずに、すぐに授業に戻るのがよいと考える。
事例3
A君は、自分が指名されなかったことに対して、急に大きな声を出して立ちあがり、「死ね、くそじじい」と暴言を吐いた。
ここでも、一旦言葉を受け止めた。
そうか。
くそじじい、くそじじい、くそじじいか。
でもね、くそガキさん、そんな失礼なことは言いません。
さあ、次の問題を読みます。
ここでも、注意していない。
A君が悔しくて腹が立った気持ちを少し「そうか。ー中略ーくそじじいか。」と受け止めた。
「くそじじい」と失礼な言葉を言うことには、注意を促した。
そして、すぐに授業に戻る。
A君は、しばらくぶつぶつ言っていたが、キレたり暴れたりすることなく授業に参加し続けた。
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