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TOSSランドNo: 2210386 更新:2012年12月31日

きまりとルールを教える


1.遊びの順番を守る

 千葉大学付属小学校にいた時、帰国子女の指導をしたことがある。
 外国から帰国した児童4~6年生約30名が在籍していた。
 帰国学級の子供は自己主張か強い。自分の考えをはっきりと述べ、行動していく。
 滞在していた国が違うので、育った文化や習慣が異なっていた。そのために、何か一つのことを行うと必ず争いが起きた。
 遊びをするとけんかがあり、泣く子供が出た。原因は、遊びのマナーが身についていないのである。
 帰国学級の子供が喜んで遊んだものに回旋塔がある。円錐形の形をしていて、まわりにぶらさがり回転しながら楽しむ遊具である。
 休み時間になると回旋塔に走っていって遊ぶ。しばらくすると、「H君が泣いています」という連絡があった。
 行って事情を聞くと、H君が割り込んできて順番を守らなかったから、みんなで文句を言ったのだという。
 回旋塔はスピードがでるので、子供に人気があった。帰国したばかりのH君は、回旋塔の遊び方を知らなかったのである。
 そこで、遊びのマナーについて指導することにした。

 回旋塔で遊ぶ時には、順番を守って行います。自分の番が来るまで待っています。
 終わったら一番後に並んで、次の番が来るのを待っています。

 外国では回旋塔などなかったという。4~5人で遊ぶならいいが、回旋塔には20人近くの子供が集まっていた。
 一度に回旋塔遊びの出来るのは、5~6人である。その人達が終わったら、次に並んでいる人が出来ることを説明した。
 H君は回旋塔遊びをしたことがなかったので、空いたらすぐにやろうとしたのである。それを見た周りの子供が、文句を言って泣かせたのだという。
 遊びで大事なのは、順番を守っていくことである。自分の順番をきちんと守っていかないと、遊べないことを理解させた。
 終わったら一番後に並んで、次の番が来るのを待つことを教えた。
 順番を守るということは遊びの基本である。遊びの体験のない子供にとっては分からないことである。
 トラブルが起きる前に、順番を守るというマナーを指導していく。
 順番を守ることを知ったH君は、それ以来仲良く遊べるようになった。順番を守る大切さを学んだからである。

2.遊びのきまりを守る

 回旋塔遊びをしているうちに怪我をする子供が増えてきた。
 「先生、Cさんが回旋塔から落ちて、保健室にいます」いう連絡が入った。
 すぐに行ってみると、右腕を湿布していた。青ざめた表情で、苦痛で顔が歪んでいる。
 「骨折しているな」と感じ、養護の先生と一緒に病院に向かった。
 レントゲンで患部をみると、予想した通り骨折であった。
 「完治するまでに3カ月はかかります」という診断であった。
 「Cさん、どうして怪我をしたの?」
 「回旋塔のスピードがですぎて、手が離れてしまったんです」
 普通学級の子供は4年生位で回旋塔遊びは卒業する。その後、他の遊びをするようになる。
 ところが、4年、5年、6年で帰国した帰国学級の子供は珍しさも手伝って、ほとんどが熱中していた。
 低学年の子供であれば体も小さく、体重も軽いので回転のスピードに耐えることができる。
 4年、5年、6年の帰国児童は体が大きく、体重も重い。回転力がつくと腕で支えきれなくなる。
 しかも低学年で身につけておくべき回転感覚が身についていない。
 そのために回転力がつくと目を閉じてしまい、位置感覚が分からなくなってしまい手を離してしまうのである。
 Cさんの他にも、同じような原因で怪我をする子供が何人か出た。
 帰国子女の学級の子供を集めて、回旋塔遊びのきまりを指導した。

 回旋塔遊びでは、手は絶対に離してはいけません。我慢ができなくなったら声を出して、止めてもらいます。
 目は閉じないで開けるようにします。目を閉じると、自分の位置感覚が分からなくなり手を離してしまいます。
 回旋のスピードは上げないようにします。いつでも止まれるくらいのスピードで遊びます。

 実際に回しながら遊びのきまりを指導した。遊びの方法が分からないと怪我につながる。
 怪我をしないで楽しくできるには、遊びのきまりを守ることである。

3.ルールを守る

 帰国の子供が次に熱中したのは鬼遊びである。
 運動場の隅にろくぼくとすべり台の組み合わせた遊具がある。子供は高いところに上って遊ぶことに興味を持った。
 ろくぼくの上は立って歩けるようになっている。そこからすべり台で下に降りられるのである。
 外国ではできなかった遊びである。高いところでの遊びは、低学年の子供が喜んでやる遊びである。
 帰国学級の子供はその体験がなかったので、高学年になって熱中した。
 普通学級の子供がそのろくぼくを使って高鬼遊びをしていた。それを見ていた帰国の子供が真似をはじめたのである。
 最初のうちは仲良く遊んでいたが、途中から喧嘩になってしまった。
 「先生、帰国学級の人が運動場で喧嘩をしています。はやく来てください」という連絡が入った。
 行ってみると、T君とE君がつかみ合いの喧嘩をしていた。
 「どうして喧嘩になったの?」
 「T君が鬼になったのにやらないんです」
 「僕は鬼になってません。鬼になっていないのに、E君が鬼だ鬼だといって文句を言うんです」
 よく聞いてみるとルールが食い違っていた。高鬼遊びは、高い所に上ると安全地帯になり鬼にならない。
 ところが、E君はそのルールを知らないで、ろくぼくにいるT君にタッチしたのである。
 T君にタッチしたので、E君はT君が鬼だと思ったのである。そこで、一緒に遊んでいた帰国学級の子供に高鬼のルールを説明した。
 今まできちんとルールを知らなかった子供は、興味深く聞いていた。

 高鬼遊びは、高い所にのったら鬼になりません。地面にいる人にタッチしたら鬼になります。
 ですから危なくなったら、高いところに逃げれば良いのです。

 この説明を聞いて、E君は納得した。
 「僕が間違っていました。ルールを知らなかったので、T君に迷惑を掛けてしまいました」と謝った。
 楽しく遊ぶには、遊びのルールを守ることである。
 帰国学級の子供を指導する中で、遊びにもマナーがあることを痛感した。マナーは自然に身についていくものと意図的に指導していく場合がある。
 遊びだからといって、放っておいてはマナーは育たない。基本的なマナーを指導していくようにする。
 何気無く行っている遊びにもマナーがあり、マナーが身についていないと、遊びが成立しないことを帰国学級の子供から学んだ。
 遊びのマナーで大切なのは、決まりを守ることであり、ルールを守ることである。
 遊びだからマナーは関係ないのではなく遊びこそマナーを大切にしなければ成立しない。
 遊びを行う中で、決まりやルールの大切さを学ぶことができる。
 帰国学級の子供は、遊びを通して日本の文化や習慣を学習していった。
 マナーが身についていないと怪我をしたり、喧嘩が起こることを体験から学んだのである。


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