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TOSSランドNo: 1216146 更新:2012年12月31日

習熟過程を生かしたマット運動の授業・ここが変わる


1.「習熟過程」の意味

 運動の習熟という言葉を知ったのは、金子明友氏の『器械運動指導法シリ-ズ鉄棒運動』(大修館書店)の中である。
 さか上がりの運動価値について述べた文章である。(詳しくは拙著『さか上がりは誰でもできる』明治図書1986年参照)

 鉄棒運動において、上方への移動を表す上がりの形式はいろいろあるけれどもこのさか上がりはその運動経過の単純性とそこにひそんでいる巧技性の両者をうまく兼ね備えている点で、他の上がりわざから浮き彫りにされるであろう。
 さか上がりは上方移動と回転運動の合成された運動形式によって成立する。回転しないで上方移動するようなより単純な形式、たとえば、力ずくでよじ登って上方移動の課題を果たすものや、引き上がりのように筋力要因がわざの成功を大きく左右するものなどがあるけれども、さか上がりに比して巧技性が顕著ではない。巧技性とは、その運動形式をなしとげるために、その中に特別な合理的なやり方、いわばコツがかくされていて、このこつさえつかめば、たやすく成功するといった技術性と、その技術に習熟すると、運動経過にみられる姿勢がすっきりと美しく、リズミカルに流れるようにその運動形式をなしとげることができるといった運動質の習熟要因を兼ね備えている状態をいうものである。

 さか上がりの実践を通して、「特別な合理的なやり方、いわばコツがかくされていて、このコツさえつかめば、たやすく成功する」ということは理解できた。
 それをテクニカルポイントと呼び、法則化体育のキ-ワ-ドとして実践してきた。
 法則化体育では、運動のコツを明確にして、コツを身につける方法としてスモールステップを作成してきた。
 スモールステップの内容を習熟過程との関連から作成していく必要がある。
 誰でも出来るためには、運動のコツを見つけ、コツを体得する方法の開発が大切である。

2.白石豊氏の『まんが・スポーツ上達の基礎理論』に学ぶ

 白石豊氏は『まんが・スポーツ上達の基礎理論』(自由現代社)の中で、運動習熟過程の概要について、分かり易く説明している。

1.粗協調発生の段階
 いろいろ欠点を持ちつつもどうにかできた段階
2.粗協調定着の段階
 まぐれでできたがだんだんできる確率が高くなってくる段階
3.精協調発生の段階
 練習を続けていくうちにある時ふっと出てくる段階
4.精協調定着の段階
 より質の高い動きを求めて練習を続けていくうちに、何とも気持ちよくプレイできたという段階
5.運動の自動化
 今までの練習の中でつかんできた細かいポイントなどすべて忘れて、その時、その場に自在に対応できる段階

 自分の運動経験を振り返ってみると、確かにこのような段階を踏んで上達してきたことが分かる。
 白石氏の『まんが・スポーツ上達の基礎理論』を読んで、一つの運動の上達していく過程が体験として納得出来た。
 この理論を「誰でもできる楽しい体育」の指導法の開発に役立てたいと考えた。

3.運動習得の5段階

 『スポ-ツ運動学』を読んだ後、金子明友・朝岡正雄編著『運動学講義』(大修館書店)を読んだ。
 その中の「運動指導の計画と管理」に、個々の運動習熟に対する達成度を5段階として習熟度が示されていた。

 ① 運動の原形が発生し、とにかくできた段階 [第1習熟度]
 ② 運動の原形が定着し、こつをつかんだ段階 [第2習熟度]
 ③ 修正が加えられ、運動が洗練された段階  [第3習熟度]
 ④ 運動が自動化し、安定してできた段階   [第4習熟度]
 ⑤ 熟練し、外的・内的環境変化に影響されず、高いレベルでできた段階[第5習熟度]

 これは、白石豊氏の著書で説明されていた、粗協調発生の段階、粗協調定着の段階精協調発生の段階、精協調定着の段階、運動の自動化と呼応している。
 しかし、これだけの説明では、小学生の子供にどのように適用させるかのイメ-ジが湧かない。
 1995年8月1日、法則化セミナーが東京で開かれた。そこで、前筑波大学付属小学校の林恒昭氏の「シングルエイジからの器械運動」の講座があった。
 運動習得の5段階について説明された。

 第1段階 できそうな気がする段階
 第2段階 初めてできた段階
 第3段階 時々ならできる段階
 第4段階 いつでも出来る段階(10回出来る段階)
 第5段階 いつでも上手に出来、運動が身についた段階

 この説明を聞いて、白石氏の運動習熟過程の概要、『運動学講義』の習熟過程の説明が理解できた。
 できそうな気がする段階、初めてできた段階、時々ならできる段階、いつでも出来る段階、いつでも上手に出来、運動が身についた段階という表現は分かり易い。
 運動の上達していく過程を林氏のように表現すると子供にもよく分かる。
 出来ない子供をどのようにしたらよいかを追求していく中で、必然的に習熟過程との関連を考えるようになった。
 習熟過程の理論を意図的に、意識的に取り入れた実践をしていけば、体育の指導法が変わっていく。
 たとえば逆上がりの指導では、いきなり逆上がりを指導するのではなく、逆上がりに必要な力を育ててから指導する。
 やっと1回出来る段階、いつでも出来る段階と指導していく。
 やっと1回出来るために、段階別台付き鉄棒やクルリンベルトなどを使用していった。


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