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TOSSランドNo: 2626977 更新:2012年12月31日

いじめの授業「あの3週間」


教材「あの三週間」を印刷したものを子どもたちに配布する。
教師が読んで聞かせる。

あの3週間
「よし子さん。今日はよし子さんとは話さないことに決めたから。ひろ子さんもこずえさんもみえ子さんもいっしょよ。」
 こう私が言うと、よし子さんは、びっくりしたような顔をして
「えっ、どうして」
とたずねてきました。
「だって、よし子さんは勝手だもの。何でも自分で決めて、それをいやがると、すごい顔でにらんだりするでしょ。」
 横にいたひろ子さんがこう言うとよし子さんはうつむいてしまいました。昨日まで、仲良くしていたよし子さんのしおれた顔を見て、私は少し「かわいそうだな。」と思いました。でも、何でも勝手に決めて、時には仲間外れだってするよし子さんに反省してもらうにはこれしかないと思ったのです。
 そこで、一日だけ仲間外れにすること、私たちの言葉で言うと無視をして、よし子さんに反省してもらおうと私たち四人は決めていたのです。
 その日一日、よし子さんは元気がありませんでした。いつもなら、休み時間には外へ飛び出して行くのにずっと教室に一人でいました。私たちは、外へ遊びに出てよし子さんを無視していましたが、よし子さんのことが頭からはなれませんでした。
 次の日の朝、私たちは昨日一日無視をした理由をよし子さんに話してあやまりました。でも、よし子さんはだまったままでした。私たちが何度あやまってもだまったままです。私たちは、困ってしまいました。そして、次の日から私への無視が始まったのです。
「みどりさん、はるえさん、みち子さん、遊ぼう。」
 よし子さんは、休み時間になるとこうやって遊び仲間を呼び集めます。でも、決して私の名前は呼びません。仲間を集めると、さっさと遊びに出かけてしまうのです。今までの私なら
「私も入れて。」
とよし子さんに言うのですが、先日のことがあって、なかなか言い出せません。こんなことが続いているうちに、だんだん私は一人ぼっちになっていきました。よし子さんが、私を無視しようと女の子たちに言っているらしいのです。そして、驚いたことに、いつの間にかひろ子さん、こずえさん、みえ子さんもよし子さんの仲間に入っているのです。
 私は、毎日一人ぼっちでした。だれも話しかけてくれません。
 私の方から話しかけても、いやな顔をしてはなれていってしまうのです。ただ、授業中は、必要なことだけ話してくれました。ですから、先生は気づいていないようでした。私も先生に知られるのがいやで、先生の前では以前と変わらないようにしていました。
 こんなことが一週間続きました。いつの間にか男子も気づき始めたようで、私の方を見てひそひそ話したりしています。中には、
「お前、女子みんなに無視されているんだろう。」
などとひどいことを言う男子もいました。このクラスの女子と男子はずっと仲が悪かったのです。かばってくれるような男の子もいませんでした。こうしてもう一週間が過ぎました。
 私は学校へ行くのがだんだんいやになってきました。朝になると頭痛がして起きられないのです。
 母が、様子がおかしいと何度がたずねてきましたが、クラスの女の子に無視されていることは話しませんでした。こうして三週間が過ぎました。
 私は、クラスにいることもつらくなってきて、時々保健室で休ませてもらったりしました。そして、とうとうがまんしきれなくなった私は、となりのクラスにいる幼なじみのみずえさんに、クラスの女の子のほとんどから無視されていることを話しました。
 みずえさんは、私の話を聞くと
「先生に話そう。」
と私を強引に先生のところへ連れていきました。先生は、私の話を聞くと、さっそくよし子さんたちを呼んで話を聞きました。よし子さんは、私を無視していたことを先生に話し、本当は仲直りしたかったのだけど、また、自分が無視されるのではないかと心配になってできなかったのだと先生に話したそうです。
 それから、学級会があって、よし子さんと私を無視していた女の子たちが私にあやまってくれました。また、放課後に残って先生や、よし子さんたちと何度も話しました。こうして、私たちの仲はまた元にもどりました。先生に注意されて、男子との仲も少しずつよくなってきました。
 でも、無視され続けたあの三週間のことを思い出すと今でも暗い気持ちになります。

発問1:

私が行った1日だけの無視をA事件,私が受けた3週間の無視をB事件とします。B事件はいじめですか。理由も書きなさい。

・いじめだ。わたしが学校に行くのもいやになっている。

発問2:

A事件はいじめですか。理由も書きなさい。

・反省させるためだからいじめではない。
・1日しか無視はしていないからいじめではない。

*2つの事件について考えさせるだけでよい。結論は出さない。

説明1:

文部科学省のホームページでは、いじめを次のように説明しています。
「子どもが一定の人間関係のある者から、心理的・物理的攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」。
つまり「子どもが友だちなどから,乱暴をされたり,悪口を言われたことによって,つらい気持ちになっているもの。」ということです。

発問3:

文部省の定義から考えると,A事件,B事件はいじめですか。

説明2:

いじめにあたります。いじめは,参加している人数や期間に関係がありません。本人がどう感じているかなのです。A事件の場合なら、無視などしなくてももっと別の方法があったはずなのです。

発問4:

B事件のようにいじめが長引いたことについて,一番反省しなくてはいけないのは誰ですか。

*自由に考えを言わせる。

説明3:

先生は,男子だと思っています。先生が気づかなかったというのは問題です。でも,いじめは見えにくい場合があるのです。また,当事者も止めるのは難しいのです。気づいていた男子が,もし,先生に伝えていたら,もっと早く解決していたと思います。

説明4:

いじめを止めることができるのは、いじめを見つけた学級のみなさんです。いじめを見つけたらまず、先生に伝えて下さい。これは、告げ口ではありません。困っている人を助けることになるのです。

*「あの三週間」は,明治図書より「いじめ指導のテキスト教材の開発」として依頼されたときに作成した自作教材である。高学年を担当したときに起きた問題を題材にして作成した。「正当な理由がある場合は,いじめではない」という子どもたちの誤った考えを正すことを目的としている。


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