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TOSSランドNo: 2320060 更新:2012年12月25日

卒業前100日間の子供の日記


100日日記 卒業までのカウントダウン

六年生担任の年。十二月になると私はノートを学級の人数分購入する。ページ数は百ページである。
卒業式は三月二十日前後だ。逆算してその百日前に子供たちにノートを渡す。

「これは、卒業までの百日日記用ノートです。卒業する前の百日間、自分がどんなことを考え、どんなことをして過ごしてきたかを毎日続けて書くのです。何でも百続けるというのは本当に難しいことです。でもそれに挑戦してやり遂げられたら、一つ自分に自信を持って卒業できると思いますよ。クラスみんなでやってみませんか。」

子供たちは真剣な顔で聞いていた。表紙の裏にはクラスメイトからのメッセージを書くことにした。
「続けようぜ。」
「百日一緒にがんばろう。」
「忘れずに書こう。」
書きたくないとき、眠いとき、挫折しそうになったとき、このメッセージを見て、みんなで支え合っていることを思い出してほしかった。
自分以外の全員からのメッセージが書かれたノートが一時間後に手元に戻ってきた。子供たちは、がぜんやる気になっていた。

初日。子供たちの日記帳はやる気に満ちた言葉で埋め尽された。
「みんなに励ましの言葉を書いてもらってうれしかった。絶対百日続けたい。」
「自分と競争する、という2組のスローガンにぴったりだと思います。」

折り返しの五十日め。
「ついに折り返し地点。この日記も前のページを見ると、こんなことあったんだなと思い出がつまってるような気がする。」
「もう折り返し。戻りたくても、もう戻れない。一日、一日はあっという間に過ぎてしまう。卒業までに、もっと自分自身のレベルアップをしたい。まずは、当たり前のことを当たり前にできるように。」

日記の内容は毎日のように学級通信で紹介した。友達が何を考え、どんなことを思っているのか、思春期の子供たちはそれに対して敏感だ。友達の日記の内容を読み、それに対しての自分の気持ちや考えを書く。卒業に向けての意識の高まりは日記の中に表れてきた。

三十日前。
「今自分がクラスにしてあげられること、後輩にしてあげられることは何だろう。今日はそれを考えた。」
「こんなにクラスのことを考えている人がいるなんて、驚いた。こんな自分のままで、一ヶ月後卒業式を成功させられるのか、不安になってきた。私は成長しているのだろうか。」

そして最後のページ。「眠くて書きたくないとき、友達の言葉が書いてあったところを見てがんばれたのが、うれしかった。」
「毎日ページが減って行くのが最初は楽しかったけど、だんだん残り少なくなってくると、もう書けないんだと思い、さみしくなった。」
「僕は飽きっぽいとみんなに言われてたけど、これが百日続いて少しだけ自信になった。中学でも日記を書き続けます。先生、二年間ありがとう。二組のみんな、ありがとう。」 

卒業して八年後。成人式の日に電話がかかってきた。
「先生、あの百日日記、今も持ってるよ。」
「あれから毎年その時期になると、ついつい出して読んじゃうんだよね。」
「先生、これは捨てられないよやっぱり。六年二組の象徴だよね。」

一冊の日記帳だが、みんなで支え合って続けてきたことを、彼らは誇りに思ってくれていた。
(小学校教諭・松島永子)


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