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TOSSランドNo: 3101556 更新:2012年12月24日

車椅子体験の授業 3時間 全発問・指示


車椅子体験の授業 3時間全発問全指示

「総合的な学習の時間」の実践として、学年全体で車椅子体験の授業を行った。そのときの全発問・全指示である。なお、この実践は、兵庫県三方郡村岡町立村岡中学校の平成7年度の研究紀要「思いやりの心をもち、たくましく実践する子どもの育成-地域に根ざした福祉体験活動」の中の、井上好文氏の実践「車いすに乗ってみよう」と「車いすに乗って町に出よう」(移動介助の模擬体験活動の部分のみ)を修正追試したものである。

1時間目

発問1:

これは何ですか。

教室に車いすを持ち込み、子ども達に見せる。

発問2:

押したことがある人はいますか。実際に乗ったことがある人はいますか。

発問3:

車いすは、どんなときに使いますか。

説明1:

車いすは、移動するときに使います。

発問4:

車いすを利用する方は、おもにどのような方でしょう。

発問5:

足が不自由になった方は、なぜそうなったと思いますか。

説明2:

大きな原因が3つあります。
一つ目は、お母さんのおなかの中にいるとき、お母さんが病気になり、その影響を受けたというものです。
二つ目は、生まれた後に病気になったりして、足が動かなくなってしまったというものです。
三つ目は、交通事故などのように大きな事故にあってしまい、その影響で足が動かなくなってしまったというものです。
この3つの他にも、歳を取り足が不自由になってしまったという方もいます。
ですが、このような人たちも、私たちと何も変わらない人たちなのです。ただ、私たちよりも不自由なことがあるだけなのです。困ったときに、私たちがちょっとお手伝いをする事で、私たちと同じ生活が出来るのです。
では、どのようなことが不自由なのか、そして、私たちはどうやってお手伝いをすればよいのか、これから勉強していきます。

発問6:

車いすを使う方達は、次のスポーツは出来るでしょうか。
バスケットボール・マラソン                                       

説明3:

どちらもできます。マラソンは、トップクラスの人では、42,195kmを、2時間以内で走ります。
バスケットボール用の車いす、マラソン用の車いすがあります。
この他にも、電動式の車いすもあります。使う目的によって、いろいろな車いすがあります。

発問7:

ここにある車いすは、標準車いすと呼ばれています。
普通の椅子との違いは何ですか。 

指示1:

3つ以上ノートに書きなさい。実際に、車いすを見に来てもいいです。

子ども達に発表させた後、ワークシートを配布し、車椅子の各部の名称を確認していった。

2時間目

車椅子に乗ってみよう

車椅子に乗る学習を、1時間行った。体育館に4人一組で座らせた後、次のように話した。  

説明4:

今日は、実際に車いすに乗ります。まずはじめに、車いすの広げ方、たたみ方を練習します。
その後、まっすぐに走ります。最後に、坂道などのあるコースを走ります。
4人一組で交替で乗ります。
操作するのは一人です。他の人は、危険な時以外は、手を貸してはいけません。一人で操作するのです。
4人全員が終わったら、ワークシートに感想を書きます。

まず教師が、車椅子の広げ方、たたみ方を実際にやって見せた。その後、各グループで練習させた。練習が終わったグループは、教師の元に集合させた。
全員が揃ったのを確認後

指示2:

これから、まっすぐなコースを、車いすで走ります。
シートには、正座をして座ります。
車いすを使っている人たちは、足が不自由です。みなさんも。足を使わずに車いすを動かしてください。どうしても正座できない人は、フットレストを使わずに乗ってください。

車椅子に正座で乗せることは、社会福祉協議会の方と授業の打ち合わせをしているときに決まった。車椅子に乗ってみると、やはり自然に足を使ってしまうものだ。足を使える安心感が生じてくる。正座で乗ると、フットレストに足を乗せているのとはまた違った感じがある。社協の方も、より実際に近い体験であるならば、正座の方がよいだろうと話していた。ただし安全面には十分配慮する必要があるとのことであった。この実践は、6年生での実践だったので、正座が可能であったが、それよりも小さい学年の場合には、安全を考えると難しいであろう。

指示3:

車いすに乗っていない3人は、1人が車いすの後ろに立ち、2人は車いすの左右に立ち、一緒に歩いていきます。もしバランスを崩すようなことがあったら、3人で支えてあげなさい。

社協の方が小学校で車椅子の指導をするときも、4人一組でこのような補助の体制をつくるそうである。

指示4:

ここからまっすぐにいき、カラーコーンの位置でUターンして戻ってきます。4人が終わったら、先生のところへ来なさい。

集まるときには、車椅子を決められた場所においてくることも確認した。
全員が揃ったのを確認後

指示5:

これから障害物のあるコースを走ります。コースの説明をします。カラーコーンはジグザグに走ります。マットは、地面が柔らかい場所と考えます。踏切板は、坂のある場所です。どこからでも良いです。交替の合図があるまでは、何回もコースをまわります。正座で乗りますが、どうしても正座が怖い人は、普通に乗ってかまいません。では、始めなさい。

1人4分間乗ることができた。マットや踏切板に乗るときに、2cmほどの段差がある。子ども達は、このわずかな段差に苦労していた。またマットを2枚つなげた場所では、マットとマットの間を10cmほどあけておいた。ちょうど前輪がはまるくらいの隙間である。ここでも動けなくなる子がほとんどであった。

指示6:

今日の感想を、ワークシートに書きなさい。

ワークシートには、、次の項目を作っておいた。・車椅子に乗って困ったこと ・車椅子に乗って気づいたこと、感じたことなど ・次にどのような学習をしたいか これも、井上氏の実践を参考にした。

今回の授業で準備したもの
・車椅子10台(4人一組)  社会福祉協議会ボランティアセンターから借用
・段差用の台(90cm四方、高さ10cmほどの板)4枚  社会福祉協議会ボランティアセンターより借用
・踏切板
・マット
・カラーコーン   

以下、子どもの感想を紹介する。

・ステッピングバーをいきなりおされるとこわかった。
・少しの段でも、人の手を借りなくちゃ、段はのりこえられなかった。
・もし本当に1人で乗っていたら、手助けがないと1人ではむずかしいだろう。
・なかなか自分の力だけでは通れないところが多く、かといって人に押してもらうと自分が落ちそうで困った。
・今は学校だから少し笑っていたけど、本当の町中でやっていたら、きんちょうしてできないだろう。
・ふだんはかんたんにクリアしている道だが、こんなにくつうだとわかった。

3時間目

車いすの介助の仕方を知ろう

この時間は、車椅子介助の方法を学習する時間とした。発問・指示・説明は、井上氏の実践を追試した。なお、井上氏の実践では、1時間の中で、実際に車椅子で校外に出る活動も行っているが、私の学年では時間的に無理なので、1時間をすべて介助体験の時間とした。2時間目の感想の中で、「外に実際に出てみたい」という子が、学年全体でかなりいたので、その活動は、3学期に今回の学習の発展として行った。

説明5:

今日は、車いすに乗っている人のお手伝いの仕方を学習します。このようなお手伝いのことを、介助と言います。
声に出していってごらんなさい。

説明6:

車いすを動かすときには、次のどちらがいいでしょうか。
A黙って車いすを動かす。
B「出発してもいいですか」と声をかけてから、車いすを動かす。

全員Aに手を挙げた。
「時々話しかける」ことの大切さは、社協の方も言っていた。「乗っている人は、介助している人の姿が見えない。」ということは、大切な視点である。また、この授業ではふれていないが、「車椅子に乗っている人と、介助している人では、介助している人の方が目の位置が後ろにある。」ということも、大切な視点である。

説明7:

黙って車いすを動かされると、乗っている人はびっくりします。動かすときは、「出発してもいいですか」と声をかけてから、動かします。足が不自由な人の場合、黙って急に動かされると、転落してしまう可能性があります。優しく動かすことが大切です。また、乗っている人は、  介助している人の姿が見えません。時々乗っている人に話しかけることも必要です。

この指示は、井上氏の実践記録にはなかった指示である。恥ずかしがって、声をかけずに動かす子がいるだろうと予想して、出した指示である。それでも声をかけない子がいた。声をかけてから動かすように、個別に注意した。

指示7:

4人交替で、最初に車いすを動かす練習をします。介助する人は、必ず声をかけなさい。1~2m動かしたら交替します。4人全員が終わったら、先生のところに来なさい。

発問8:

スロープをおりるとき、次のどちらが優しい介助でしょうか。
A前向きでおりる。
B後ろ向きでおりる。

Aに手を挙げた子も多かった。後ろ向きが怖いという発想も当然である。社協の方からいただいた資料には、緩やかな坂は前向きで、急な坂は後ろ向きで、とある。今回は、後ろ向きの練習をさせるため、次のように説明した。

説明8:

1人で介助する場合、前向きにおりると、車いすに乗っている人が、前に落ちる危険性があります。後ろ向きにおりる方が、優しい介助の場合があります。もちろん前向きにおりた方が優しい介助の場合もあります。そのときに応じた方法が必要です。今日は、後ろ向きの介助を練習します。

指示8:

4人交替で練習します。4人全員が終わったら、先生のところに来なさい。               
4カ所スロープがあります。空いているところでやりなさい。

今回も、正座で車椅子に乗るようにした。
スロープは踏切板を使ったが、登り口に2cmほどの段差がある。スロープを降りてきたときにどうしてもその段差で衝撃がおきてしまう。この点については、何も指導していなかったが、子ども達は、できるだけ衝撃をおこさないように、最後に前輪が着地するまで力を抜かずに介助していた。また、ガクンと衝撃が起きてしまったときには、「しまった」というような顔をしたり、乗っている子に「ごめんね」と謝ったりしていた。男の子が女の子に、女の子が男の子に謝っている姿も見かけ、とても優しい雰囲気であった。
全員揃ったのを確認後

説明9:

今度は、段差のある場所での介助の方法を練習します。
上がるときには、「上がりますよ」と声をかけます。
まずキャスターをあげます。ステッピングバーを足で前に押しながら、ハンドルを下にひきます。     
そうすると、小さな力でキャスターをあげることができます。
そのまま直進します。両方の大車輪が段に触れるまで、直進します。
大車輪が段に触れた瞬間に、ハンドルを引き上げます。この方法だと、小さな力で段差を乗り越えられるのです。
乗っている人にも、振動が小さくてすみます。
おりるときは、この逆です。
「おりますよ」と、声をかけます。
ゆっくりと後ろ向きにおりるようにします。    

指示9:

4人交替で練習します。4人全員が終わったら、先生のところに来なさい。4カ所あります。空いているところでやりなさい。

スロープの時と同じように、前輪が着地するまで慎重に動かす子、衝撃をおこしてしまったときに「ごめんね」と謝っている子があちこちでみられた。
全員揃ったのを確認後

指示10:

今日の感想を、ワークシートに書きなさい。                               

授業後、車椅子を保管してある場所まで、車椅子に乗ったまま移動させた。保管場所まで約100mある。その途中には1年生の教室もある。どの子も周りに注意しながら、車椅子を動かしていた。
以下、子どもの感想を紹介する。

・おしすぎると、のっている人がおちそうになって、こわいといっているひとがいたから、あんしんかん をもたせてあげる。
・小さいさかみちでも、介助するのはたいへんだ。
・車椅子に乗って動かすのも、大変だけど、車椅子の介助もすごく大変だという事が分かった。
・車椅子の人が、暮らしやすい社会を作るべきだ。
・車椅子の人が、くらしやすい、町にするべきだ。

2・3時間目に使用したもの
①車いす10台(4人一組)  
②段差用の台(90cm四方、高さ10cmほどの板)4枚  
③踏切板 
④マット  
⑤カラーコーン

4時間目

当初の予定では、3時間で車椅子体験の授業を終えることになっていた。3時間目の授業後、同僚から「友人で車椅子を使っている人がいるが、その人から、機会があれば何か協力したい、と以前に連絡をもらっている。」と言われた。せっかくの機会である。2学期も残り少なかったが、日程を調整して、その方に来ていただくことができた。
その方との打ち合わせで、次のようなことを伝えた。

・この学年の子は3年生から、手話・点字・アイマスク体験の学習をしている。
・4年生の時、市の音楽会で手話を交えた歌を発表した。
・6年生では、点字・手話スキルを購入して、学習を続けている。
・学年としてではないが、1クラスは5年生で点字ペンを使って、点字の学習をした。
・卒業文集に、「これらの学習がきっかけで、将来盲導犬の仕事をしたいと考えるようになった。」と書いた子がいる。
・3学期には、「総合的学習」の授業として、今まで学習してきたことを、もう一歩進めた学
 習をする予定である。

話していただく内容については、「子ども達に伝えたいことをお話しください。車椅子を使っている方だからこそ伝えられるお話ですから、子ども達にとって、とても有意義な時間になります。」とお願いした。
当日は、次のようなお話をされた。土曜日の3時間目を使っての授業である。
耳の不自由な人が、携帯電話を使うようになった。携帯電話の E-mailで文字を送受信して使っている。携帯電話は、耳の不自由な人のために作られたのではない。ただ使い方を考えると、障害を持っている人にとって便利なものがあるはずだ。障害者用として作ると、値段も高くなってしまう。このような使い方をみんなも考えてくれると、大変に助かる

車椅子について
外で車椅子に乗ってみると、まっすぐ動いているつもりでも、そうはいかない。歩道は、雨対策で、道路側に少し傾いている。だから、車椅子は車道の方へ行ってしまう。

困っている人を見かけたときに、「何かお手伝いしましょうか」と声をかけることが大切である。もし1人では手伝えないようなときは、周りの人にも声をかければよい。
介助は、その人にあった方法がある。どのような介助が必要か、まず聞いてみることが大切である。

ほんのちょっとしたことをお手伝いする。みんなにできることを、少しお手伝いする。ことが大切である。自分の得意なことでよいのである。
そしてこれは、障害を持っている人に限ったことではない。
健康な人も障害を持っている人も、同じである。困っていることが少し違うだけである。みんなだって、困っていることがあるはずだ。障害を持っている人も同じである。ほんのちょっとした違いである。
障害を持っている人は、助けてもらっているばかりではない。障害を持っている人がお手伝いをすることもある。

30分ほど話していただいた。点字訳した広報誌を持ってきてくださるなど、実際のものを子ども達に見せながら、具体的な事例を通して、子ども達にバリアフリーについて話してくださった。
子ども達の質問は、次のようなものであった。

寝るところ、お風呂はどうなっているのか。
車椅子から落ちたときは、どうするのか。                                  
電車に乗るときは、どうするのか。
車椅子用のエスカレーターがないときは、どうやってエスカレーターに乗るのか。   
雨の日に外に行くときは、どうするのか。  

一つ一つの質問に、実際にやって見せながら、答えてくださった。床から車椅子に乗るときや、エスカレーターに乗る様子を実際に見せていただいたときには、子ども達は驚きの声をあげていた。(エスカレーターの代わりに、体育館のステージに上がる階段を使った。)
授業が終わった後も、多くの子が残り、その方を囲んでいろいろな話をしていた。バスケットボールをやっているということなので、実際にやって見せていただいたりもした。
車で来ていただいたので、車椅子用の乗用車も子ども達に見せていただいて、終わりにした。
授業後、子ども達の質問などで失礼なことなどなかったかお聞きした。

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