TOSSランド

コンテンツ登録数
(2019/08/21 現在)

21650
TOSS子どもランド TOSSオリジナル教材 TOSS動画ランド TOSSメディア TOSS-SNS TOSS公式(オフィシャル)サイト
TOSS子どもランド
TOSSランドアーカイブ
TOSSランドNo: 4906557 更新:2012年12月22日

「柿山伏」 実践記録


     教材について

 この単元には、①「伝えられてきたもの」②「狂言 柿山伏」③「柿山伏について」の3つの教材がある。

 ①では、これまでに触れられてきた神話や古文、短歌・俳句などを挙げ、文字がなかった時代から江戸時代までの日本文学史を簡単に解説し、写真とともに古典芸能を紹介している。今まで、音読・暗誦をし親しんできた作品がどのような流れで位置づいているのかを、改めて確認できる。社会科の歴史学習とも合わせて読ませたい。

 ③では、昔の人と現代の人とのものの見方、考え方の共通点・相違点や古典がわたしたちに教えてくれるものについて、語られている。現代に生きるわたしたちが古典に親しむ価値について考えさせたい。

 メインとなる教材は、②「狂言 柿山伏」である。調子のよい言い回しや、狂言に特有の表現について注目させ、声に出して読むことを楽しみたい。また、表現としてのおもしろさだけでなく、話の筋のおもしろさにも、目を向けさせたい。そのための言語活動として、場面分けや登場人物の性格についての話し合いを設定する。それらの活動を通して、何度も本文を読み返し、友だちと話し合いながら、内容のおもしろさにも気付かせていきたい。

 狂言の発音やアクセントは、現代と異なっている場合がある。狂言の台詞は、「二字目を張る」といって、二音節目を強調して抑揚を付ける。
 また、発音上、独特の言い回しもある。それらを真似させることが学習の目的ではないので、CDを聞かせても子どもに音読をさせる際には、過度に意識させないようにし、子どもたちの工夫の範囲内とさせたい。

 狂言の本質とは、何か。次の文がある。

狂言はかつて「をかし」と呼ばれた。人を笑わせ、楽しませる「をかし」の芸。それが狂言の最大の特徴である。
           『野村萬斎 What's is 狂言?』P6より

 授業においても、楽しい学習が展開できるようにしたい。

 

      指導計画

【1時間目】

○「伝えられてきたもの」を読み、伝統文化についての知識を得る。

○「柿山伏」のCDを聞いて感想の交流をする。

○学習課題を設定し、見通しをもつ。
 ・話の筋をつかむこと。
 ・音読練習。
 ・音読発表。

【2時間目】

○「柿山伏」を読み、現代とは違う言葉遣いや狂言独特の言い回しを確認していく。
 ・古語
 ・読み方
 ・歴史的背景

○話の筋を掴み、場面分けをする。
 ・2つに分けるか、3つにわけるか。
 ・分けた場所と理由の発表。

【3時間目】

○山伏の人物像について考える。
  ・見栄を張る人。
  ・自分が悪いことを認めない人。
  ・強い力をもっていると思い込んでいる人。
  ・自己中心的な人。

○柿主の人物像について考える。
  ・からかうのが好きな人。
  ・意地悪な人。
  ・知恵がある人。
  ・演技力がある人。

○山伏の「あの横着者」という台詞について考え る。
  ・山伏の言う通り、騙すのはよくない。
  ・怪我をしている山伏の手当は、するべきだ。
  ・悪いことをしたのだから、仕方がない。
  ・横暴な態度をとっている山伏がよくない。

○「柿山伏について」を読む。

【4~5時間目】

○音読発表会に向けて、めあてを立てる。

  ・おもしろいとおもったところや表現。
  ・役割分担。
  ・音読の工夫。
    動作/声の出し方/速さ/高さ/間/
    動物の鳴き真似 など

○グループに分かれて練習する。

【6時間目】

○音読発表会をする。
  ・グループごとの発表。

○学習を終えての感想を書く。
  ・発表を終えた感想。
  ・友だちの発表を聞いた感想。
  ・「伝統文化を楽しもう」を学習して。

 

     1~2時間目

普段行っている百人一首や暗誦で古語に慣れているせいか、子どもたちの音読は思った以上にスムーズであった。
しかし、内容の理解は、また別である。

【子どもたちに話のおもしろさを理解させたい。】

教師として、まず誘惑に駆られたのが、実際の狂言の映像を見せてしまいたいということ。
また、子ども向けの絵本も出版されていので、それを読み聞かせするという方法も考えられる。
それらを使えば、確かに話の筋はわかるだろう。
しかし、難しい言葉から何が書かれているか想像し、それらを読み解いていく楽しさはなくなる。
分からないことが分かったときの感動。これを大切にしたいと考えたので、学習の最初の段階でそれらを見せるのは止めた。

(ただし、音声のCDは聞かせた。)

話の筋を理解させるために、十分な音読を行った後、次の発問をした。

発問1:

このお話を二つか三つに分けます。分けたところに、線を引きなさい。

場面分けをするためには、話の筋を理解する必要がある。
子どもたちは改めて本文を読み直し、考えた。

二つに分けた子が学級の中で、1/4ほど。残りは、三つに分けた。

次に、どうしてそのように分けたのか、理由をノートに書き、意見交換を行った。
三つに分けた子が多かったが、分け方にも違いがある。

【A】  ①山伏登場  ②柿主登場

【B】  ①山伏登場  ②柿主登場  ③二人の争い

【C】  ①山伏登場  ②柿主が動物の真似をさせる  ③柿主が術にかかった振りをする

AよりもB、BよりもCの方が、より話の筋を理解して分けていると言える。

場面分けについて話し合っているうちに、次のようなストーリーが見えてくる。

山で修業を終えた山伏が帰郷の途中、空腹になり、柿の木を見つけ登って食べてしまう。
そこに柿主が来て「柿泥棒の山伏」を見つける。
山伏は、隠れる。
柿主は、「カラスか」「猿か」と動物の名前を挙げてて山伏に物真似をさせ、挙げ句にトビなら飛べと言う。
「飛ぼうぞよ、飛びそうな」と煽られ、山伏は柿の木から飛び降りて腰を打ち付け痛めてしまう。
笑って去ろうとする柿主を山伏は呼び止めて、「家に連れていって看病せよ」と言う。(逆ギレ?)
柿主はさっさと退散しようとするが、山伏は術を使って引き戻そうとする。
柿主は、術にかかった振りをして山伏を背負うが、最後は振り落として逃げ去る。

子どもたちとあらすじを押さえた。

 

     3時間目

次の時間、登場人物の性格について尋ねた。

発問2:

山伏は、どんな性格ですか。

   ・正直な人      ・食いしん坊な人
   ・物まねが上手な人  ・負けず嫌いな人
   ・悪い人       ・おっちょこちょいな人
   ・ひょうきんな人   ・強情な人

なぜそう考えたのか、文や言葉を根拠にして説明させた。

 ・僕は、食いしん坊な人だと考えます。なぜなら、「今ひとつ食びょう」と3回も言っているからです。
 ・わたしは、負けず嫌いな人だと考えます。なぜなら、最後に「やるまいぞ、やるまいぞ。」と言っているからです。

子どもたちは、山伏に対して様々なイメージをもっているが、その根拠を挙げさせる。

同じように、柿主に対しても尋ねた。

発問3:

柿主は、どんな性格ですか。

   ・いたずら好きな人  ・意地悪な人
   ・ずる賢い人     ・嘘が上手い人
   ・怒りん坊な人    ・はっきり物を言う人

こちらも、様々な意見が出たが、子どもたちは山伏に対しても柿主に対しても「悪い人」や「意地悪な人」というように、批判的に見ているところがある。
山伏と柿主、両者に非があるとしても、それでもどちらにより共感できるかを子どもたちに尋ねてみようと考えた。
話のラストは、山伏の台詞で終わる。

「あの横着者(ここでは、けしからんやつの意)」

この台詞に注目させて、尋ねた。

発問4:

最後の山伏の台詞について、共感できますか。できませんか。

   共感できる  ・・・ 13名
   共感できない ・・・ 24名

短い時間であったが、討論をした。
何人かの発言にあったが、最初に柿を盗んで置いて、それを忘れて逆ギレする姿は、
現代の子どもたちからすれば、「共感できない」という方が自然である。
しかし、次のような冷静な意見もあった。

 ・わたしは、山伏の台詞について共感できます。
  確かに、柿を食べた山伏も悪いけど、酷いやり方で仕返しをする山伏を許せないと思うからです。

 ・ぼくは、山伏の台詞について共感できます。
  山伏も柿を食べて悪いけど、一度木から飛ばせて腰を打たせたし、
  1回背負ったのに、意地悪でもう一度落としたのが酷いと思いました。

教科書に「柿山伏について」という解説文が載っている。
そこには、次のような文がある。

「柿くらい食べさせてやってもいいではないかと思う人もいるでしょう。
 今の日本には食べ物があふれるようにありますが、狂言の時代は、そうではなかったのです。」

最後に、昔と今では価値観が違っていたことに触れ、授業を終えた。

 

     4~6時間目

 3時間、読解の授業を行った後、指導書では、音読発表会を行う展開になっている。
 3時間で、準備・発表会を行った。(各時間、漢字スキル含む。)

【4時間目】

 ①活動グループを告げる。(生活班 4~5名)
 ②班で、読みたい場面を決めさせる。
  (2時間目に行った場面分けの授業をもとに。)
  3つの場面、ちょうど3班ずつ分かれた。全9班。
 ③音読の工夫には、何があるか聞く。(強弱、スピード、気持ち、群読など。)
 ④グループで、どんな工夫をするか相談させ、ノートに書かせる。
 ⑤相談が終わった班から、練習しても良い。(教室移動可)

【5時間目】

 ①個別評定 その1
  自分が読む箇所、1文だけテストする。厳しめに。テンポ良く次々に全員。

  1~2点   (本来なら)やり直しレベル
  3点      合格
  4~6点    声が張っている
  7~8点    朗読レベル (気持ちが入っている)
  9~10点   CDの朗読と同等のレベル

15分後、再度テストすることを予告して、練習タイム。教室移動可。
最後に、元気な男の子がいるところにちょっぴり手本をやってもらう。

 ②個別評定 その2
  全員が、得点アップ(するように仕組む)。テンポ良く次々と。
  やんちゃくんが、高得点を出す。盛り上がる。

【6時間目】
  音読発表会。ノートにコメントを書かせながら。
  それぞれの工夫を褒める。最後に、自分がやってみての感想。

 ※おまけ

   翌日休み時間に上手だった班の撮影を行った。
   放送委員会の子に「お昼の全校放送で流して」と依頼。
   選ばれた子たちは、燃える。さらに力を伸ばした。
   それが、他の子たちの手本となり、よい影響を与えた。


0回すごい!ボタンが押されました

コメント

※コメントを書き込むためには、ログインをお願いします。
New TOSSランド