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TOSSランドNo: 2210318 更新:2012年11月06日

うんこ


Web版 中学学級指導大辞典

Ⅳ道徳 4. うんこ(井上好文氏実践)
-討論へ-

『日本教育技術方法体系 第15巻 中学学級指導大辞典』をwebコンテンツにした。

井上好文氏実践。教材に「雨」という詩を使い道徳の授業をする。
1時間の内容。授業が終っても生徒たちの討論が続く。

中学校3年生。道徳。
次のプリントを配布する。

雨     野村康次郎

雨はの 
□の 上にも
おちなければなりません。
いやだといっても
ダメなのです
だれも
かわって くれないのです。

「なんだあ、この詩は」
「(道徳の資料としては)変わっとる」
ガヤガヤ…

指示1:

指示1 全員,起立。1回斉読したら座りなさい。

発問1:

発問1 □の中に入る言葉は何ですか。

発問は板書する。

指示2:

指示2 ノートに書きなさい。5分間待ちます。できた人は理由も書きなさい。

机間巡視する。
(5分後)答えのばらつきの大きい列を指名する。

指示3:

指示3 3列起立。前から順に,答えを1つだけいいなさい。

「ひと」「炎」「大地」「自分」・・・1つずつ板書する。

指示4:

指示4 これ以外の答えを書いた人,たちなさい。どうぞ。

々に発表させる。
次のような意見が出された。(<>内は人数である)。

ひと<5> 炎<1> 大地<1> 自分<1> 地面<1> だれも<1> たき火<1> 火<1>
こえだめ<1> くそ<1> 水<1> 川<1> 海<1> こども<2> 人間<2> 都会<1>
動物の死がい<1> 油<1> 野<1> だれ<2> 天<1>


意見をしぼりこむために,「おかしい」「変だな」というものをまずノートに書かせる。

指示5:

指示5 この中で,ちょっと変だなと思うものをノートに全部書きなさい。

全員が書いたのを確かめるために挙手させる。

指示6:

指示6 まだの人,手を挙げなさい。

挙手なし。
挙手させて全体の傾向を知る。

指示7:

指示7 「ひと」と書いた人,手を挙げなさい。

4人挙手。板書した「ひと<4>」の下に赤チョークで「4」と書き足す。

指示8:

指示8 「炎」。

3人挙手。・・・
結果は,次のようになった(多い順に記す。<>内は人数である)。

動物の死がい<17> くそ<16> こえだめ<15> 天<11> 油<11>(以下略す)

一番多かった「動物の死がい」について検討する。

指示9:

指示9 「動物の死がい」が変だと書いた人立ちなさい。

17人が起立した。
理由を聞く。
「動物の死がいだとこの詩のイメージが暗くなる」
「男の直感です」
「□の中に入る言葉は,3文字以内だと思うから長すぎる」
「ただの『死がい』だったらいい」
「同じです」・・・
そこで「動物の死がい」を「死がい」に変更することを提案した。

指示10:

指示10 「動物の死がい」を「死がい」に変更します。それでも,やっぱり変だと思う人,手を挙げなさい。

挙手したのは5人であった。


次に多かった「くそ」「こえだめ」を検討する。

指示11:

指示11 「くそ」「こえだめ」が変だと書いた人立ちなさい。

16人が起立した。
理由を聞く。
「詩として美しくない」
「(詩には)ふさわしくない」
「こえだめにはフタがしてある」・・・
続いて,変だと書かなかった者を起立させた。

指示12:

指示12 「くそ」「こえだめ」が変だと書かなかった人立ちなさい。

12人起立した(28人のクラスである)。

指示13:

指示13 今の16人の説明で,納得できた人は座りなさい。

残ったのは5人であった。
5人が反論する。
「誰だって,そんなのはいやだけど,雨はまっすぐに落ちなければならない。そこをさけることはできないものだと思う」
「『いやだといっても』とあるので,いやなものでなければならない」・・・
正解は『いやなもの』でなければならない。
『いやなもの』を問う。

指示14:

指示14 『いやなもの』に手を挙げなさい。

『いやなもの』の第1位は「こえだめ」で合った。
第2位が「火」と「炎」。
火の上に落ちたら,蒸発してしまって一生が終わってしまうからだそうだ。
その次が「くそ」であった。
正解を□内に書こうとしたら,U君が叫んだ。
「わかった。雲個だ!」
正解を板書した。

 う  ん  こ

「えー」
「ヤダー」
「詩のイメージがこわれちゃう」
「やっぱしな」
「ほれ,みいや」
教室騒然(以上,26分)。

発問2:

発問2 話者は雨をかわいそうだと思っていますか。いませんか。

指示15:

指示15 『いる』か『いない』かノートに書きなさい。理由も書いてごらんなさい。5分間待ちます。

机間巡視をする。(5分後)

指示16:

指示16 もう少し待って欲しい人いますか。

7人挙手。
そこで,1分待つことにした。

指示17:

指示17 1分待ちます。

(1分後)

指示18:

指示18 『いる』と書いた人,手を挙げなさい。

14人挙手。

指示19:

指示19 『いない』と書いた人。

14人挙手(28人のクラスだからちょうど半分である)。
「論争だ!」という声が聞こえる。

指示20:

指示20 『いる』と書いた人,教室の前に出なさい。 『いない』と書いた人,教室の後ろに移動しなさい。

(注 教室の前後よりも左右の方がよかった。板書が見えなくなるからである)
始めに,『(かわいそうだと思って)いる』派に理由を聞いた。

指示21:

指示21 理由をどうぞ。

「いやだといっても,うんこの上に落ちなければならないから」
「いやだといっても,だれもかわってくれないから」
「『いやだといっても だめなのです だれも かわって くれないのです。』と書いてあるので,そこからかわいそうという気持ちがあるように思ったから」・・・
次に『(かわいそうだと思って)いない』派にいう。

指示22:

指示22 今の説明でナルホドソウダと思った人は(場所を)移動していいよ。

1人だけ移動した。

指示23:

指示23 他の人は,やっぱり『いない』何だね。反論があればどうぞ。

M君が反論した。
「雨はまっすぐ降るのが宿命であるので,まあ,風でも流されるけど,そこから逃げることはできない。何もかも逃げるな。人生はそんなあまいもんではないと,この詩でみんなにいっていると思う。話者だって『うんこ』はするだろうし,僕らもする。自分たちもするのだから汚いと思うのはおかしい」
『いる』派が,M君の意見に再反論する。
「いやだといってもだめで,だれもかわってくれないという雨を話者はかわいそうだと思っている。それを読者に共感して欲しいと思って,この詩を(作者は)書いたと思う。M君が『自分たちもするのだから汚いと思うのはおかしい』といったけど,それなら,ふんだりした時,少しも汚いと思わないのかといいたい。」
『いない』派がいう。
「『いやだといっても だめなんです』というところから,わがままをいうなといっているように思ったし,それが役目だといっているように思った。だから,かわいそうだというより,もっとしっかりしなさいとそこで語っているように思います」
『いる』派にいう。

指示24:

指示24 考えが変わったら,どうぞ(移動してください)。

6人が移動。残ったのは9人である。
『いる』派がいう。
「M君が,人生はそんなにあまくないといったけど,やっぱりかわいそうなものはかわいそうだ」
「『だれも かわって くれないのです。』という文でも,話者はかわいそうだと思っている。誰も,うんこの上に雨が落ちるという絶体絶命のピンチに立たされている。それて,うんこを踏んだらきたないと思うので,雨がうんこの上に落ちるのも同じだと思う」
『いない』派のFさんがM君を支持していう。
「Mさん(君)もいっているように,人の世に対しての思い,感情が埋まっているような気がします。雨はかわってくれるものがないのに対し,人はいやなことはだれにでも変わってもらっている。そんな人間の方が醜くて,かわいそうだと思う。雨をかわいそうだなんて思わな久手,かえってりっぱだと誉めたたえているような気がします」
O君は別の立場から『いない』という。
「雨にとって,うんこはいやかどうかわからない。うんこというのは,人間がいやがっているだけだ。雨にとってはいやなものかどうかわからない」・・・
 
 途中でチャイム(残念!!)。授業を終えた。
 教室のあちらこちらで『いる』『いない』と討論が続いている。

参考文献 遠井義雄『子どもを見る目,生かす知恵』p.190(1986,明治図書)
                                                         (井上好文)


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