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TOSSランドNo: 2507609 更新:2018年04月10日

「白いぼうし」実践記録2


その1

 国語の時間。
 子どもたちにたくさん考えてほしい。
 たくさん書いてほしい。
 たくさん意見を発表してほしい。
 たくさん友だちの意見を聞いてほしい。
 普段している読書と違って、同じ文章を何度も読み返したり、一つの文や言葉にこだわった読み方をしたりしてほしい。
 もちろん、クラスの仲間、みんなで楽しく。
 楽しみながら、書く力、話す力、聞く力、読む力を高めていきたい。

 1時間目。
 まず、各自の黙読。そして、教師の読み聞かせ。
 その後、感想を書かせた。
 観点を3つ教えた。「考えたこと、思ったこと、疑問点」
 箇条書きで書くことを教えた。

 2時間目は音読の学習。
 
 3~4時間目は、あらすじを押さえる学習。

(教育トークライン2017年8月号に詳しく掲載しています。グループ討論と全体討論を取り入れた対話的な学習で、あらすじを押さえました。)

 物語の大体が頭の中に入った段階で、初発の感想を使い、子どもたちに次のように尋ねた。

 最初の時間に書いてもらったみなさんの感想を読んでいたら、
 「松井さんはやさしいと思った」
 とか
 「松井さんは親切だと思った」
というような意見を書いていた子がいました。
 でも、物語の中で本当に「やさしいのかな?」「親切なのかな?」と思うところはありませんでしたか?

 子どもたちの中から、「白いぼうしの中に夏みかんを入れたこと!」という意見が出た。

 次の学習問題を立てた。

発問1:

松井さんが白いぼうしの中に夏みかんを入れたことに賛成か。反対か。

 この問題は、算数の問題と違って答えがない。ありません。
 価値判断は、読者に委ねられる。
 理由は、様々あってよい。
 互いの価値観・考えを交流することで作品の読み方を広め、深めることができる。
 このような読み方を

   クリティカルリーディング (よいか悪いかを評価する)
   パーソナルリーディング  (自分のこととして考える)

と言う。クリティカルリーディングもパーソナルリーディングも、一人でできない。
 考え方が違う、価値観が違う仲間がいるから成立する。

※パーソナルリーディングという名称は、有元秀文著『まともな日本語を教えない勘違いだらけの国語教育』から学んだ。

 子どもたちの意見は分かれた。以下、代表的な意見である。

【反対・・・14名】

 男の子がびっくりしてしまうから、ひどい。
 男の子に正直に謝った方がよい。
 もし、夏みかんをあげるとしても、先に謝るべきだ。
 お母さんからもらった大事な夏みかんだから。
 夏みかんよりも、チョウを捕まえた方がよい。

【賛成・・・17名】
 代わりに夏みかんをあげるのは、優しい。
 チョウを逃がしてしまったお詫びの気持ち。
 ごめんね、という気持ち。
 男の子を喜ばせたかった。
 チョウがいなくて男の子はがっかりする。だから食べて喜んでほしい。

 話し合い(討論)を行った。
 指名なし発表で、全員が発表。読解の学習をしながら、同時に話し合いの仕方を教えていく。
 4月の時点では、教師が討論の進行を助けるが、徐々に子どもたちだけで討論ができるようにしていく。
 教師がいなくても話し合える、主体的な学習を目指していく。
 この学習問題に、正解はない。意見が言えたこと、考えを広げ深められたことを褒める。
 翌日の授業では、話し合った後の考えをノートにまとめる方法を教えた。

その2

 この物語、子どもたちにとって最大の関心事はこれだ。

  【消えた女の子の正体は、何か。】

 これは、話し合う前からみんなの意見が一致した。
  「女の子の正体は、もんしろちょうである。」
 みんなの意見が一致したから、学習は終わり・・・ではない。
 では、女の子の正体がもんしろちょうだとすると、その根拠は何か。
 
 文章中からその根拠を探させた。
 子どもたちのやる気を高めるために、次のような話をした。

指示1:

 みなさん、今から探偵になってもらいます。
 探偵は、あなたが犯人ですと言った後、その証拠を告げるでしょう。
 みなさんも女の子の正体がもんしろちょうであるという証拠を文章中か
 ら見付けてもらいます。いくつ見付けることができるかな?

 教科書に印を付けさせた。
 全員がじっくりと教科書を読み返す。
 子どもたちは、次々にその証拠を見付けいった。
 以下、子どもたちが文章中から見付けた根拠である。

P.14 もんしろちょうが出てきた直後に、女の子が登場する。
P.15 突然出てきた女の子が、道にまよったと言っている。
P.17 菜の花橋のことを菜の花横町と言っている。
P.18 男の子が近づいてきたら、急に「早く」と言ってせかせかした。
     自分を捕まえた男の子にまた捕まえられると思った。
P.19 バックミラーに映っていなかった。
P.20 白いちょうが二十も三十もたくさん飛んでいた。
    「よかったね」というのは、帰ってくることができて「よかったね」という意味。 

「みんなの力を合わせると、たくさんの根拠が見付かるね」と告げた。
 最後に、ノートにまとめを書かせた。
 意見文の型を教えた。
 二つのパターンを示し、書きやすい方を選択させた。

  【Aパターン】

 消えた女の子の正体は、もんしろちょうである。
 なぜなら ~ だからだ。
 また、  ~ だからだ。
 よって、消えた女の子の正体は、もんしろちょうである。

【Bパターン】
 消えた女の子正体は、もんしろちょうである。
 理由は、○つある。
 第一に ~ だからだ。
 第二に ~ だからだ。
 第三に ~
 以上の理由により、消えた女の子の正体は、もんしろちょうである。

 これは、基本形である。
 一つの型を覚えると、応用して他のテーマでも書けるようになる。
 また、型を発展させてさらに詳しく長く書けるようになっていく。
 書く力には、個人差がある。
 そして、書く力が伸ばすには時間がかかる。
 身に付けさせた型を繰り返しながら、年間を通して少しずつ子どもたちの力を伸ばしていく。

その3

 なぜ、「白いぼうし」という題名なのか。
 学習の最後に、その意味についても考えさせたい。

 もし、初発の感想に題名に関するものがあれば、子どもの意見からとして取り上げるが、ない場合は教師から提示する。
 
 「なぜ、この話の題名は白いぼうしなのでしょうか。」
 「もし、白いぼうし以外の題名を付けるとしたらどんな題名が考えられますか?」

 子どもたちからは、「もんしろちょう」「夏みかん」「松井さん」「なぞの女の子」などの意見が出た。
 その後、こちらから子どもたちに問題提起した。

発問2:

あなたは、「白いぼうし」という題名に賛成ですか。反対ですか。

 前回の学習問題と同様、一問一答ではない正答のない問題である。
 子どもたち一人ひとりの考え、価値観が反映されるクリティカルリーディング、パーソナルリーディングを行うことをねらった。

 子どもたちの意見は分かれた。賛成21名。反対11名。
 互いの意見を交流することで、多様な作品の読み方が促される。
 話し合い・討論を行った。
 討論は、全員参加である。必ず一度は発言するようにする。
 発言が苦手な子も発表できるよう、事前に自分の考えをノートに書かせておく。
 どんな意見も素晴らしい。その子、オリジナルの考えが素晴らしいことを伝え、子どもたちを励まします。

 次のような意見が出た。

【反対】
 ・白いぼうしは、物語で1回しか登場しない。
 ・白いぼうしよりも、もっと大事なことを題名にした方がよい。
 ・主人公は松井さんだから、松井さんに関する題名がいい。
 ・白いぼうしよりも、夏みかんやちょうの方が大事。
 ・白いぼうしよりも、最後に出てくる女の子の方が気になる。
 ・女の子がメインだから、「なぞの女の子」がよい。

【賛成】
 ・白いぼうしが夏みかんやちょうをつないでいる。
 ・白いぼうしという題名は、作者がちゃんと考えてつけている。
 ・白いぼうしから、ちょうがでてきた。
 ・白いぼうしが女の子が出てきたきっかけになっている。
 ・白いぼうしが出てきてから、話が面白くなる。
 ・この話は、もともと「車の色は空の色」という本に入っている。
  だから、松井さんの名前を題名に入れなくてもよい。

 全員の意見発表で5分ほど。
 その後、15分ほど討論を行った。
 (もっと言いたい子がいいたい子がいたが、時間オーバー。)
 討論の仕方も少しずつ教えていく。
  「○○さんに質問です。~というのは、どういうことですか?」
  「○○さんに反対です。なぜなら~。」
  「○○さんに賛成で付け足しです。~」
 討論は話すことよりも、聞くことの方が大切であること、
 自分と考えの違う人の話を聞くことが勉強になることを伝える。
 自分の考えを変えたい子も出る。
 ディベートではないので、大いに勧める。
 よいと思った友だちの考えを、積極的に取り入れるように伝える。
 
 最初は「反対」だった子の中から二人、賛成に変わった子がいた。
 討論後、自分の考えをノートにまとめさせる。
 書くことで、頭の中が整理され、自分の考えが深まる。


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