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TOSSランドNo: 2407551 更新:2015年01月17日

「わらぐつの中の神様」実践記録


その1 (1~3時間目)

 1時間目は、黙読、読み聞かせをした後、感想を書かせた。

 2時間目は、音読を中心とした学習。

 3時間目から読解に入った。

 まず、物語の中心人物である「おみつさん」について取り上げた。

発問1:

おみつさんは、どんな人ですか。

 教科書には、5つのことが書かれている。それを見付けさせた。

   A 特別美しいむすめというわけではない
   B 体が丈夫
   C 気だてがやさしい
   D いつもほがらかにくるくる働いている
   E 村中の人から好かれている

発問2:

ストーリー上、最も重要なことは、A~Eのどれですか。

 A~Cは、0名、Dが23名、Eが6名。
 
 理由を聞いてみると、Dだという子は、

「くるくると働くくらいだから、わらぐつを自分で作ろうと思った」

「働きものだったから、大工さんと出会えた」

「わらぐつを一生懸命作ったから大工さんに好かれた」

という意見。

 Eの理由は、

  「みんなに好かれる性格だったから、大工さんにも好かれた。」

  「好かれていないと、わらぐつを買ってもらえない。」

  「みんなの噂を聞いて、大工さんが市場にやってきた。」
 
最後の意見には、みんなで笑った。
 
 この日の授業では、触れなかったが、物語の主題(テーマ)に関連することとしては、
 A(見た目ではなく中身が大切)ということも重要な人物像の一つである。

 もう少し、おみつさんの人物像について考えさせた。
 心情が揺れ動く「顔が赤くなるシーン」に着目させる。

発問3:

おみつさんの顔が赤くなるシーンは、何回ありますか。

 教科書に線を引かせた。全部で、3カ所ある。

 A げた屋さんをはなれるとき
 B 大工さんに、わらぐつを差し出したとき
 C およめに来てくれと言われたとき。

 みんな赤くなったと書かれていますが、理由は異なる。

発問4:

A~Cを分類するとしたら、どれが仲間はずれになりますか。

 子どもたちの意見は、A(19名)とB(10名)に分かれた。

 A ・・・ 大工さんと関係がない。
 B ・・・ みっともないという気持ち。恥ずかしいという気持ち。

 Cはいなかったが、教師から、Cの考え方を教えた。

「Bは、恥ずかしかったからという意見がありましたが、Aも恥ずかしかったからと考えることができます。
 Cも確かに恥ずかしいという見方ができますが、別の感情もあります。」

 子どもたちから「照れて赤くなった」という意見が出た。
 まだ、恋愛経験がほとんどない5年生には、難しい問いだったかもしれない。

 最後に、おみつさんの人物像について、わかったことや考えたことをノートに書かせた。

その2 (4時間目)

 最初の時間に書いてもらった子どもたちの感想。
 大工さんについての記述がたくさんあった。

 ・大工さん(おじいちゃん)は、何回も何回も買ってくれていたのが、やさしいなと思った。
 ・若いときのおじいちゃんは、おみつさんの作ったわらぐつを、仕事場の仲間や近所の人の分も買ってあげて、
  やさしいなぁと思った。
 ・若い大工さんは、ちゃんとした形じゃないのに、丈夫だから他の人の分まで買っていたので、
  やさしいんだなと思った。

 大工さん(おじいちゃん)の行動に感心する内容である。
 しかし、一方で次のような感想を書いた子もいた。

 ・わらぐつを買ってくれた大工さんが、近所の人や大工の仲間にあげたって言っているけど、
  そのもらった人は、そのわらぐつをどう思ったのか。

 この意見を紹介したあとで、子どもたちに尋ねた。

発問5:

大工さんがわらぐつを近所の人や仲間に配ったのは、本当ですか。

 子どもたちの意見は、次のように分かれた。

  本当・・・8人    うそ・・・21人 

 おそらく、教師がこのように尋ねるまでは、
「大工さんがわらぐつを近所の人や大工の仲間にあげた」という記述を疑うことはなかっただろう。
 しかし、問われることによって、「あれ、これって本当かな?」と子どもたちは考え始める。
 そして、多数の子どもたちが、大工さんの台詞を疑うようになった。

 大工さんの台詞は、本当か。うそか。討論をした。

   【本当】

 ・おみつさんのことが好きだから、うそはつかない。
 ・真面目な顔になって、台詞を言っている。
 ・「おれのうちへ来てくれないか」と言っている。
 ・おみつさんが家へ行ったら、気付かれてしまう。 
 ・大工さんは、おみつさんをみつめながら話している。
 ・その後、二人は幸せに暮らした。嘘がばれたら、嫌われる。

   【うそ】

 ・大工さんが、赤くなっている。
 ・おみつさんに、会いたかった。
 ・「ああ、そりゃ」と、大工さんはあせっている。
 ・大工さんは、わらぐつを集めていた。 
 ・不格好なわらぐつは、いらない。
  その大工さん以外は、買っていない。
 ・大工さんは、そのわらぐつを売ってしまったのでは。
 ・大工さんは、わらぐつを隠していた。ばれても、嫌われない。

 このことを作者の杉みき子氏に直接質問した本を教材研究のときに見つけた。

 (『実践国語研究別冊「わらぐつの中の神様」の教材研究と全授業記録』P164)

 引用する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「大工さんはいつも買ってくれたんだけど、そのわらぐつを本当に人に分けたんですか。」

 「そこがあやしいもんだと思うんですけれど(笑)、
  とにかく、そんなにあげる場所もなかったと思うの。
  だからね、大工さんは買ってるうちに結局、おみつさんが好きになっちゃたもんで、
  何とか理屈をつけて買っただけで、
  大工さんの家には、使わないわらぐつがいっぱいたまっていたんじゃないかな。(笑)」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 使っていないわらぐつが、大工さんの家の中にたくさんたまっている。
 子どもたちとそんな状況を想像して、楽しんだ。

その3 (5~6時間目) 

 前時で、授業の中心となった大工さん。物語のキーパーソンである。
 その大工さんの心の動きを、追った。

発問6:

大工さんは、何回、わらぐつを買いましたか。

 正確な回数はわからないが、教科書の記述を読むと、少なくとも6回以上であることは、読み取れる。

発問7:

大工さんが、おみつさんと結婚しようと思ったのは、いつですか。

  ・1回目   (13名)  
 ・2回目    (3名)
 ・3~5回目 (12名)  
 ・最後の日   (1名)

 子どもたちの意見が、分かれた。
 文章に書かれていることもをもとに、推定していく。
 自分の考えをノートに書かせた。
 書けた子は、グループの人や意見を聞いてみたい人のところへ行って、意見交換。
 互いの考えを聞き合う。
 友達の意見に触れることのよって、自分の考えが広がったり深まったりする。

 次の時間。クラス全体で、討論をした。
 少数意見を尊重して、人数の少ないところからの発表。

【最後の日】
 
 ・「いきなりしゃがみこんで」結婚を申し込んでいる。

【2回目】

 ・迷わず、おみつさんに声をかけている。
 ・この時点で、おみつさんのよさを知っていた。

【3~5回目】

 ・少し気になっていた程度だったのが、だんだん好きになった。
 ・近所や仲間の人の分まで買っているのが、うそだから。
 ・大工さんが赤くなっている。
 ・大工さんの行動や台詞が、すでに照れている。
 ・「ああ、そりゃ、」照れているから、結婚したいという気持ち。
 ・最初の時点では、まだ好きになっていない。

【1回目】

 ・大工さんは、おみつさんにひとめぼれをした。
 ・おみつさんの顔をまじまじと見つめている。
 ・おみつさんがつくったわらぐつがとてもいいと思った。
 ・わらぐつを誰がつくったのか、尋ねて確認している。
 ・おみつさんがつくったから、わらぐつを買った。
 ・好きになったから、不格好なわらぐつを買った。
 ・「まじまじ」を辞書で引くと、じっと見つめるとある。
  そこで、好きになった。

 全員が意見表明したあとは、自由に質疑応答しながらの討論である。

 「ひとめぼれではあるが、1回目で結婚しようとは思わない。」

 「見つめただけで、結婚したいとは言えない。」

 「結婚したいと2回目で思っても、すぐには言えない。
  その後、何回も通っているのは、関係を深めようとしているから。」

 「大工さんが最後の日まで結婚を言い出せなかったのは、
  おみつさんに軽い男だと思われたくなかったから。」

 討論の結果、「3~5回目」だという人が最も多くなった。
 (最後の日、という意見はなくなった。)

 子どもたちの考えは、自分と異なる意見と触れることで深まる。

 意見が少なかった「2回目」という考えを、教師から紹介した。

「大工さんは、見かけよりも中身を大切にしています。
 わらぐつを見て、仕事のよしあしがわかります。
 初めてわらぐつを買った日。
 家でわらぐつを履いてそのよさを確かめ、おみつさんの人柄がわかったのでしょう。
 1回目は、帰ろうとしたとき偶然おみつさんの前に現れたましが、
 2回目はすぐに現れています。
 他の人に買われないように、おみつさんに会いに来ている。
 2回目から、結婚を申し込むチャンスをうかがっていたのではないですか。」

 伴先生の発問、

 「大工さんが、おみつさんと結婚しようと思ったのはいつか」

の修正追試である。

 原実践では、

  ・おみつさんと出会う前
  ・おみつさんと出会った日
  ・出会ってから、最後の日までの間
  ・最後の日

という区切りでわけていたが、何回目にわらぐつを買ったときかという区切りで考えさせた。
 2回目に買ったときの描写が、教科書にあるからである。
 また、わたし自身、2回目の買い物が重要だと考えているからだ。
 なお、出会う前は、今回カットした。

その4 (7~8時間目)

 「クライマックス」はどこかを考える授業を行った。

 分析批評において、クライマックスの定義を述べるならば、

 「それまで同じだった、ずっとそのままで変わらなかったことがある一つの文で変化したところ」

 (参考『「分析批評」で授業を変える』向山洋一著 P.190)

 が、よい。

 しかし、世間一般的なクライマックスは、
 「最高潮、最も盛り上がったところ」という意味なので、分析批評としてのクライマックスの意味と、ズレがある。

 (「わらぐつの中の神様」において、世間一般的な意味のクライマックスは、大工さんのプロポーズ場面である。)

 ここでは、分析批評用語としてのクライマックスという言葉を用いず、授業を行った。

 6時間目までの学習で、おみつさんと大工さんに関する描写・叙述を読み取ってきた。
 この物語には、もう一人、マサエというキーパーソンがいる。
 マサエの心情の変化について考えさせた。

 授業の最初に、物語の文章構成について再確認した。

  1の場面(現在)-2の場面(過去)-3の場面(現在)

 (このような構成を、額縁構造と言う。)

 「2の場面における中心人物は誰ですか。」
 おみつさんである。

 「1の場面と3の場面における中心人物は誰ですか。」
 マサエである。

 1の場面と3の場面では、マサエの気持ちが変化している。
 では、最も大きく変化したと言える箇所はどこか。

発問8:

マサエの気持ちが最も大きく変化したのは、どこですか。

 文章中から見付けさせた。
 子どもたちが指摘したのは、以下の文である。

 A 「くらしてる。じゃ、おみつさんて、まだ生きてるの。」(2名)
 B 「うん。おばあちゃんの名前は、、山田ミツ。-あっ。」(1名)
 C マサエは、パチンと手をたたいて、目をかがやかせました。(17名)
 D 「ふうん。だけど、おじいちゃんがおばあちゃんのために~
    この雪げたの中にも、神様がいるかもしれないね。」 (9名)

 意見が分かれたので、討論を行った。
 いつものように、自分の意見を書き、その後、少人数で意見交換。
 次の時間。クラス全体で、討論をした。

【A】
 ・マサエが、おばあちゃんの言うことに興味をもった。
 ・これまで全く信じていなかったマサエが信じ始めている。

【B】
 ・マサエの台詞が途中で止まり、考え込んでいる。

【C】
 ・目をかがやかせている。
 ・手をパチンとたたいている。
 ・マサエがびっくりしているような描写。
 ・おじいちゃん、おばあちゃんのことがわかった。
 ・気持ちが大きく変化している。

【D】
 ・「神様がいるかもしれない」と言っている。
 ・神様のことを始めは迷信だと思っていたのに、信じた。
 ・最初は、神様のことを全く信じていなかった。
 ・1の場面と逆の考えをしている。

 「○○さんの意見に反対です。なぜなら~。」
 「○○さんに質問です。どうして~。」
 「ちょっと考えさせてください。」
 「○○さんの代わりに答えます。」
 「○○さんは、たくさん発言しているから、まだ言っていない人優先で。」 
 「話題を変えてもいいですか?」

 以前よりも、多くの子が発言できるようになった。
 また、子どもたちだけで、話し合いが進められるようにもなった。

 マサエの気持ちの変化を「感情の変化」とした子はCを主張し、「考えの変化」ととらえた子は、Dを主張した。
 課題にした「気持ち」という言葉は、どちらにも捉えられるあいまいな言葉だったので、どちらにも一理ある。
 討論のテーマを
 「マサエの考えが変わったのはどこか」
 にしていたら、子どもたちの話し合いはもっと噛み合ったのではないかというのが、授業をしての反省である。

その5 (9時間目)

  わらぐつの中の神様の学習、最後の時間。
 学習のまとめとして、作品の主題(テーマ)について、考えさせた。

 主題については、5年生になってから何度かやったことがあるので、子どもたちはだいたいの要領をつかんでいる。

 「主題を書きなさい」という指示のあと、早く書けた子に黒板に書かせた。
 黒板には、次のような主題が並んだ。

 ・心をこめて作ったものは、人を幸せにする
 ・物を大切にしよう
 ・努力をすれば、幸せになれる
 ・幸せは、努力に比例する
 ・物や人を外見で判断するな
 ・見た目じゃなく、中身が大切
 ・誰かのために作ると、思いが宿る
 ・いい仕事とは、使う人の身になること
 ・誰かのためにつくると、幸せが戻ってくる
 ・思いが伝われば、幸せが訪れる

 主題とは、作品が伝えるテーマのこと。
 読者が読み取ったこと、すべてが作品が伝えたことなので、正解・不正解は、本来ないが、
 文章の内容と照らし合わせると、合っているものとずれているのではないかと思われるものがある。
 黒板に書かれた主題を、便宜上、似たもの同士を合わせて、次の4つに分類した。

 A 人のために物を作ること
 B 物を大切にすること
 C 努力をすること
 D 見た目ではなく、中身が大切

「主題は、作品が伝えるテーマなので、不正解というものはありません。」
「しかし、最も重要だと思われる主題は、どれですか。」

 子どもたちに意見を尋ねた。

 「不格好なわらぐつが、物語の中心になっている。」
 「大工さんが、いい仕事ってのは、見かけで決まるもんじゃないと言っている。」
 「おみつさんも、特別美しいむすめというわけではないと書いてある。」

 ほとんどの子どもたちは、Dがよいと言った。

 主題の授業することで、作品の読み方が広まり、深まった。

 授業で話し合いをしたあとは、必ずノートに自分の考えをまとめさせる。
 書くことによって自分の考えが整理され、思考が深まる。

 毎回、書いたまとめを、互いに読み合いをさせたり、学級通信に載せて紹介したりしている。
 それによって、さらに学習を深めることをねらっている。

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 読む→書く→討論する(読みながら、話す・聞く)→書く→読む
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 討論を中心とした思考のサイクルで、子どもたちの国語力(読む力・書く力・話す力・聞く力)を高めている。


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