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TOSSランドNo: 2338374 更新:2015年01月05日

【部活動指導】「部活を辞めたい」と言ってきたらどうするか


必ず来る「辞めたくなるとき」。入部前から布石を打つ。

1.どの子にも「辞めたくなるとき」は、来る。

 毎年、3年生が引退するときに「部を辞めたいと思ったことがある人?」と聞く。
 すると、全員が手を挙げる(たまに手を挙げない子もいるが、それは幸せだ)。

 学校に足が向かなくなるほど悩んだ子もいれば、ちょっと思っただけという子もいるが、原因はほぼ100%「人間関係の悩み」だ。
 いろんな人間が集まった集団の中で約2年半過ごす間、一度も悩まない、というのは大人であっても誰もができることではない。程度の差はあれ、どの子にも「辞めたくなるとき」は、やって来る。

 もちろん、辞めたくなるときはあるものだから仕方ない、と言っているのではない。
 なぜなら、先の質問に続いて、「では、辞めないで続けてきて良かったと思う人?」と聞くと、これも全員が手を挙げるからである。  

辞めないで続けた子にだけ、わかることがある。気づけることがある。学べることがある。

入部してきた生徒をそこまで導くことこそ、教育であると思う。

2.「辞めたい」と言いに来てしまったら。

 「部活を辞めたいんですけど…」と生徒が訴えて来たときには、事態は相当に進行している。
 先生に「辞めたい」とまで言いに来るのはそれなりの勇気がいる。友達や先輩の力を借り、生徒同士で何とかしようとしてもだめだった、ということの表れだ。

 ただちに事情を聞く。
 人間関係がもつれている場合がほとんどだから、当事者一人ひとりに話を聞き、教師が仲介役となってお互いの気持ちや言い分を伝え合う。

ここで言う「仲介役」とは、まさしく伝書バトのように、生徒と生徒の間を行き来することを言う。
生徒同士を会わせるのは後からだ。まずは教師が状況を把握することだ。そこから、どうしたらよいかも見えてくる。

 最悪なのは、もつれている生徒同士をいきなり一緒に呼んだり、話し合わせたりすることだ。
 たいがいうまくいかない。悪化することさえ、ままある。

 だから教師が仲介役となり、平等な立場から互いの気持ちをわかり合えるように「導く」。

 生徒同士の人間関係のもつれは、「どちらかが100%圧倒的に悪い」というケースは稀だ。
 50対50も90対10もあり得るが、基本は最初から「訴えて来た生徒の味方」になってはいけない、ということだ。
 名前を挙げられた生徒が心を閉じてしまうからだ。

 始めは教師の主観を入れずに平等に仲介する。そうすることで状況もつかめ、指導すべき的が絞れて、話をしてやることもできる。
 そして、もう大丈夫かなと思えるほどにほぐれてきてから、生徒同士で話し合わせる。あとは信じるだけだ。

 このような人間関係のもつれを仲介するのは、教師としても楽しいものではない。私はいつも気が重い。
 しかし、仲介という形で付き合ってやってうまくいった場合、生徒の心はぐっとこちらに近づく。これがうれしい。
 あまりうまくいかなくても「先生はがんばってくれた」という思いは残せる。
 「自分たちで何とかしろ!」などと突き放して悪化するよりも、はるかにいい。

 ただし、ここまで述べてきたことはすべて「事後指導」である。では、事前にできることとは…。

3.入部前から布石を打つ。

 私は吹奏楽部を担当しているが、毎年、入部希望の新入生たちに「入部するのは、やめておきなさい」と言う。
 せっかく目を輝かせて入部希望している新入生に「やめておきなさい」だなんてとんでもない、と思われるかもしれないが、大筋、次のように語るのである。

 「入部したら楽しいことばかりじゃない。先輩後輩同級生との人間関係や、楽器のことで、つらいことや悩むことも絶対ある。辞めたくなることも絶対ある。それで途中でやめるなら、始めから入ってこないでほしい。途中でやめると、君も周りも傷つくから。でも、『どんなことがあっても、絶対に続ける!』……そういう強い気持ちを持てる子は、入部しなさい。歓迎します! ちょっとでも自信を持てない人は、今のうちにやめておきなさい。」

 このような語りを、かなり力を入れて行う。
 語る際には、部活動通信として文章化したものを配付もする。これを用いて語るのである。
 「途中でやめるのはなぜいけないのか」を、心情面や吹奏楽部のしくみの面からさらにいくつか語っている。
 例えば以下のような文章である。

【新入部員の君たちへ】  

 「部活動」という新しい世界に希望して入ってきた君たちに、大事な話がある。これから未来の話だ。
 
 部活動の2年半は、楽しいことばかりではない。
 先輩後輩同級生との人間関係や、楽器が上手くならないなど、つらいことや悩むこともたくさんある。
 やめたいと思うこともある。
 それでも、どんなことがあっても、絶対に吹奏楽をやる、やり続ける!
 ……そういう強い気持ちを持てる子は、がんばりなさい。歓迎します。
 こういう気持ちを持てない人は、まだ今のうちに、やめておきなさい。

 新しく入ってきた1年生に「やめておきなさい」なんて、変な先生だと思うだろうが、
それには次の事情がある。

 運動部では、レギュラーに入れない(試合に出られない)ことがある。3年になっても出られない人もいる。
 吹奏楽部は、「全員レギュラー」だ。1年生から、全員が、ステージに乗るんだ。「補欠」は無い。
 
 そんな吹奏楽部には、たくさんのパート(同じ楽器の集まり)がある。
 人が多すぎたりいなかったりすると演奏がうまくいかないから、それぞれのパートに入る人数は決まっている。
 君たちは、いくつか希望パートを選んで、自分が選んだどれかに入ることができた。
 
 このように、決まった人数をパートに入れるから、
 途中でやめられると、その楽器をやる人が足りなくなってしまうんだ。
 君がいなくなったぶんはどうしたらいいのか。君は代わりに誰かを連れてきてくれるのか。

 …そんなことはできないだろう。いなくなったらいなくなったままになってしまうのである。
 だから、「絶対続ける」という強い気持ちが必要なんだ。

 反対に、「途中でやめる」ということは、次のようなことなんだよ。

 誰も君に吹奏楽部に入ってくださいと頼んでいない。自分で決めて入部した。…それなのに、やめる。
 他にもその楽器をやりたい人はいる。その中から君は選ばれた。…それなのに、やめる。
 自分の入りたい部に入って、自分の選んだパートに入った。思いは叶えられた。…それなのに、やめる。
 先輩たちは、君を上手にするために自分の練習時間を削って教えてくれてきた。…それなのに、やめる。
 君がいなくなったぶん、音が足りなくなる。残された人たちが苦労させられる。…それなのに、やめる。
 君がいなくなったら、次の新入生は教えてくれる人がいない。未来まで迷惑がかかる。…それなのに、やめる。

 だから、途中でやめるなら、はじめから入らないほうがいい。
 「途中でやめる」と、本人も周りも傷つくから。

 もちろん、「絶対続ける」という強い気持ちを持って入ってくれば、
 3年間で、吹奏楽部じゃなければできない学びや思い出を、山ほど手に入れることができる。
 しかも「全員レギュラー」だから、「全員」手に入れることができる。
 
 「絶対続ける」という強い気持ちを持てる人は、どうぞ、がんばりなさい。歓迎します!

 この通信がそのまま保護者の手に渡れば、保護者にも方針を発信することができる。

 そして正式入部が近づいてきたら、さらに手を打つ。

 個人面談の形にして一人ひとりに再び語り、本当に「絶対に続ける強い気持ち」を持てるかを確認していく。

 ここまで「大変なこともあるぞ」「絶対に続ける強い気持ちが持てないならやめておきなさいよ」と念を押したうえで、入部させる。
 これほど念を押しても、不思議と「じゃあ入部やめます」という生徒はいない。私の場合、今までに一人もいなかった。

 こうして、

「やめておきなさいという反対を押し切って、自分の意志で入部した」

という「前提」を、これでもかと作っておくのである。

 この語りと発信は、入部後も折にふれて行う。
 「辞めたい」が出たときのみならず、生徒が部活に対して弱気になったとき、この「前提」は、教師の指導にも、生徒自身にも、強力に生きてくる。


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コメント

「やめておきなさいという反対を押し切って、自分の意志で入部した」、とあるが、そのプレッシャーで苦しんでいる生徒が、相談できなくなって抱え込んでしまったらどうするのか?

by KONOYONOOWARI 2015/01/05 00:03

コメントありがとうございます。
コメントの文面からだけでは読み取れない部分を確認させてください。

1.「そのプレッシャーで苦しんでいる生徒」というのは、後ろから8行目辺りに記している「個人面談の形にして…確認していく」を行っても、内心「強い気持ち」を持つ自信が無いのを言い出せずに入部してしまった生徒、ということでしょうか。

by 木多良仁 2015/01/05 00:03

2.「抱え込んでしまう」というのは、具体的にどのような状態を指しますか?(比喩表現なので、具体的な状態によって対応が異なり、KONOYONOOWARIさんの質問と私の応答がかみ合わないおそれがあります。)

by 木多良仁 2015/01/05 00:03

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