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TOSSランドNo: 2912350 更新:2014年01月14日

「力のある資料」で創る中学年の道徳授業


一 「2時間目のポートボール」を使った授業」                   宇田川浩樹

「相手のことを心から考えよう」
 このことを教えるために、子どもの作文を使って授業をした。授業で使った作文というのは、私の学級の子どもが書いたものである。
 
 まず授業について紹介する。

 みんな今体育でポートボールをやってるね。
 ポートボールをやっていて思ったことや感じたことを発表して下さい。

 ・楽しい
 ・点を入れたときは、すごく嬉しい。
 ・なかなか勝てないから悔しい。
 ・体育がずっとポートボールだったらいい。
 一通り発表させた後次のように言った。

 ポートボールをやった時のことを作文に書いた人がいます。
 読んでみますね。

 2時間目のポートボール
山田 裕子(仮名)

 今日の2時間目の体育でポートボールをしました。1回せんは、わたしはガードマンで、しんぱんは鈴木君でゴールマンは前野君でした。(わたしは、ガードマンで、しんぱんは鈴木君でゴールマンは前野君でした。(わたしは、ガードマンよりはせめ、せめよりかゴールマンがよかった。)
 いよいよポートボールのはじまりです。しんぱんが、
 「今からポートボールの一回せんを始めます。れい。」
 「おねがいしまーす。」
 ゴールマンは台の上にのって、ガードマンは相手のゴールマンの前に立ちました。しんぱんがボールを投げて、ジャンパーがボールをはじきました。わたしはブルーファイヤーチームで白です。はじめにとくてんをいれたのは白でした。ラッキー。白のゴールマンの方にボールがあったのでわたしはひまでした。
 それがこんどは、赤のゴールマンのほうにせめてきたではありませんか。そしてとうとう、はじくことができず、ボールをとられてしまいました。がっくり……。でも1回せんはなんとかかちました。よかったー。
 2回せんのしんあんは松本さんで、ゴールマンはわたしで、ガードマンは二宮君でした。みんなからボールをもらいたいなと思っていました。
 2回くらいボールをとったとき、
 「あーあー。つまんないなー。」
 「えっ。どうして…?」
 「だって、ブルーファイヤーチームの人いばってるんだもの…」
 「………。」

 子どもたちは、身近なところで起きた出来事でもあり、また友達が書いた作文ということで、熱心に聞いていた。
 ここまで読んだところで子ども達に聞いてみた。

 もし、自分のチームがいばっていると言われたら、どう思いますか。

 ・そんなことを言われたら、腹が立つ。
 ・自分たちががんばればいいのに、相手の人にそんなことを言ってはいけない。
 ・そんなこと言うなという。
 ・悪いことをしたわけではないのに、「いばっている」なんて言ってはいけない。
 ・もし、本当にいばっていたのなら、ブルーファイヤーチームもいけない。
  多くの子どもたちが発表した。多くの子どもは、「いばっている」というようなことを言ってはいけないという考えを持っていた。

「いばっている」なんて言う人が悪いという考えが多かったね。
 でもね、この作文を書いた山田さんは、そんなことは思わなかったんだよ。山田さんは、この言葉を聞いて、あることを決めたのです。
 そのあることとは何か考えながら聞いて下さい。

このように言って、作文の続きを読んだ。

わたしはびっくりぎょうてんしました。だって、わたしのチームがいばっているといわれてしまったからです。しかも、負けたくやしさをあまり知らないのです。つまり、わたしたちは、あまり負けたことがなかったのです。なので、これから気をつけることを決めました。
1 
2 負けたからといって、もんくを言わない。

 山田さんが「気をつけること」として一つの項目は、子どもたちに考えさせた。
 授業中作文を書いた山田さんは、ニコニコしてみんながどんなことを言うのか待っているようだった。
 何人か発表させるうち、「勝ってもいばらない。」というような意見が出た。

 そうなんです。
 山田さんが気をつけることとして最初に書いたのは、「いくら勝ってもいばらない」(板書)ということでした。
 さて、この時間で一番考えてほしいことは、山田さんがなぜ、このようなことを考えたかです。
 どうして山田さんは、「いくら勝ってもいばらない」ということをまず決めたと思いますか。

・「いばっている」と言われていやだったから。
・「いばっている」と言われてびっくりしたから。
・まけたらくやしいのに、そのことをいばったりしたら、相手はよけいにくやしいから。
一通り考えを言わせた後、話をした。

 ポートボールだけでなく、誰でも試合に勝ったりしたりしたらうれしいね。
 勝っても悔しい人はあまりいないと思います。ということは、負けた人達は、その分悔しい思いをしているはずです。
 山田さんのすばらしいところはそこにきがついたところです。ふつうなら「いばっている」と言われたら、
「なんでそんなことを言うの。別にいばってないのに」と相手に文句を言ってしまいます。
 でも山田さんは、「自分たちはあまり負けたことがないから、負けた悔しさを知らないんだ。だから相手の木本を考えて、いばらないようにしよう」と思ったのだと思います。
 まず相手の気持ちを考えられるところは、ふつうの三年生ではないですね。すごいよ。

 子どもたちの中から拍手が起きた。最後に感想を書かせて授業を終えた。

 「相手のことを心から考えよう」という原則は、子どもの生活から見つけだすことができる。
 教師がどれだけアンテナを高くしているかにかかわってくるのではないかと思う。
 私は学級内になる出来事をきっかけに「相手のことを心から考えよう」ということの大切さを痛感したことがあった。
 そこで「2時間目のポートボール」の授業を行った。
 道徳の授業だけでなく、朝の会や学級通信などで「相手のことを考えている」子どもや行動や言葉をどんどん紹介した。
 一ヶ月そのことを意識的に集中して行った。
 この一ヶ月で学級の雰囲気はずいぶん変わった。
 学期末の個人懇談で、ある保護者から、「この学級の子は、思いやりがある子が多いですね」と言われるぐらいだった。
 教科の基礎・基本と同じように大切なことは繰り返し教えなければならない。
 生き方の原則も道徳の授業を中心に、繰り返し教えていくことが大切だと実感している。


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