TOSSランド

コンテンツ登録数
(2017/03/30 現在)

21381
TOSS子どもランド TOSSオリジナル教材 TOSS動画ランド TOSSメディア TOSS-SNS TOSS公式(オフィシャル)サイト
TOSS子どもランド
TOSSランドアーカイブ
TOSSランドNo: 9970143 更新:2014年01月09日

研究通信「そくてん」 その5


6 『 向山型体育のキーワード 』 を、もう少しさぐってみる。

 向山氏は、ご自身の著作の中にどうのように書いているのか。

  「向山洋一全集26 『子どもの運動量を確保する向山流体育授業』」の中に、
   向山氏が同僚の西川満智子先生あてに書いた手紙がのっている。

  手紙の中に、次のような文面がある。

  私は、体育の授業の中心をなすのは、次の三点と思っております。

   一  安全への配慮

   二  技術の習得

   三  汗をかくほどの練習量

  
  この他につけ加えるとすれば、次の二点も入ると思います。
  
   四  仲間と一緒にプレーすること

   五  何かの発見があること       

( 向山洋一全集26 『子どもの運動量を確保する向山流体育授業』 P69 )

  上記の5つが、向山氏の解である。

  手紙の中で向山氏は、西川先生の体育の授業に対して「運動量が豊富であった」と良さを述べている。

  その上で、次のような分析をつけ加えている。

  西川さんのご授業は、一・三・四にウエイトがかかっておりました。

  二・五がほとんど見られませんでした。 

  このことが、先生の欠点になっています。

  私なりの言葉で表現すれば、 「スポーツへの美意識が欠如している」 ということです。

   ( 前掲著 P70 )

  やはり、ここでも「美」である。

  向山氏が言う「美」には二つの側面がある。

  一つは、 「子どものせいいっぱいの姿を、そのまま美しいと感じられる美」 である。

  もう一つは、 「練習を重ね、その表現の本質を身につけた美」 である。

  西川先生に書いた手紙の中には、「練習を重ね、その表現の本質を身につけた美」についてのコメントが書かれてある。

  西川さんの「スポーツへの美意識の欠如」は、二つの面で見られました。

  一つは、運動をリズムとしてとらえることが不足しているということ です。    (中略)

  「美意識の欠如」のもう一つの面は、

  運動技術の習得ということを、あまり考えられていないこと です。    

  ( 前掲著 P70 )

  「運動技術の習得による美」とはどういうことか。

  そのためには、どのような授業をすればいいのか。

  向山氏は、手紙の中で具体的な代案を示している。

  この代案は、体育の授業で「美の追求」をする際の指標となる。

  何かの動きを指示する時には、たとえわずかではあっても

  何か新たな技術の内容が含まれてなくてはならないと思います。

  そのためには、

   ① 一つの運動の中から、たくさんの技術内容を取り出し、
   
   ② その一つ一つを指導していくという授業の組み立てが必要になります。
 
 ( 前掲著 P70、 番号や改行は許が便宜上つけたしたものである。 )

 つまり「練習を重ね、その表現の本質を身につけた美」を「側転」の模擬授業で展開するなら、

  “ 側転運動の中から、たくさんの技術内容を取り出し”
  “ 取り出した技術内容を一つ一つ指導していく授業の組み立てる ” 

  という作業が必要になるのである。 明確な「個別評定」も必要になる。

  向山氏は、別の著作でも「美の追求」について次のように書いている。

 もとより、技の本質をとらえた美しさも大切である。

  それは、自然の美に近くなっていくだろう。

  また、たった一つの技術を習練させてやるというようなことも大切である。

  確かな技術もまた美の構成要素である。 

 ( 『授業の腕をみがく』 P91 )

7  向山氏の手紙に続きがある。

 「小さなことだが大切だと思える感想」として、次のような内容が書いてある。

  子どもが指示通り動かず混乱したわけですが、授業らしい場面だと思いました。

  指示に対して子どもが混乱したとき(私にはしょっちゅうあることですが)

  教師がどうするかということの中に、授業の本質があると思えるのです。

  この部分を読み、体育セミナーでの谷和樹氏のコメントがフィードバックした。

  向山型体育のキーワードとしてあげた、次の項目である。

  ⑤ 変化への対応 (ごちゃとした時の対応。やさしさに貫かれている。)

 「対応力」「瞬発力」とでもいうだろうか、極めて大切なことだと感じた。

  この対応ができるのがプロの教師なのだと思う。

  斎藤喜博も著作『 授業入門 』の中で、変化への対応について書いている。

  斎藤喜博は、「とっさに働く力」としている。

  具体的な実践例をあげながら、次のように解説している。

  一つの教材を、積み上げ積み上げ発展させいっているとき、

  子どもたちの思考が行きづまり、

  それ以上発展しないというときが授業のなかにはよくある。

  そういうとき、それを打開するのは、教師のとっさに働く力である。

  その教師の働き方に、力があり、的確さがあるとき、

  子どもは行きづまりをつき破り、新しい核爆発をおこして、

  学習が発展していくものである。

  それは、教師の持っている、豊富な知識とか、教材に対する深い解釈とかが、

  とっさに明確な問題の投げかけ方となって子どもに働きかけるのである。

 ( 「授業入門」(国土社、斎藤喜博著) P95 )

  斎藤喜博は、このような「とっさに働く力」は、
  だれでも実践を重ねていくうちに、蓄積されていくものだとも書いている。

《参   考》 兵庫・若鮎の会 : 『立会い授業で腕を上げる』 (明治図書)
           向山洋一 : 『授業の腕をみがく』 (明治図書)
          金子明友 : 『マット運動』(大修館書店)
           ダリル・シーデントップ : 『シーデントップ体育の教授技術』 (大修館書店)
          向山洋一 : 『向山洋一全集26 子どもの運動量を確保する向山流体育授業』 (明治図書)
          斎藤喜博 : 『授業入門』 (国土社)


0回すごい!ボタンが押されました

コメント

※コメントを書き込むためには、ログインをお願いします。
New TOSSランド