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TOSSランドNo: 5121516 更新:2014年01月07日

子どもを鍛える①いじめの正体をあばく


一 「のうみそくん」は、知っている ―見えない部分を知らせる―      田中聡

いじめられている子に見えるいじめ。それは行為を伴う。たたかれる、蹴られる、物を投げつけられる、物を落とされる、足をひっかけられる、ひざでどつかれる・・・・・。
 いじめられている子には、見えないが、聞こえるいじめ。それは、言葉で伝わる。いやみ、ひやかし、悪口・・・・・・。
 行為、言葉のみをとらえれば、いじめられる子が断然、不利である。
 ところがである。見えない部分があるのだ。
 いじめる方も不利なのだ。行為で、言葉で、相手をいじめていく。その結果、いじめる子は、自分で自分を破壊することになる。
 これがいじめの正体だ。
 いじめの正体をすべての子どもに知らせるべきである。いじめる子には衝撃を与え、いじめられる子は元気が出るはずだ。
 岩根小学校で向山洋一氏が公開授業(「TOSS道徳トークラインNo.7」や「教育トークラインNo.97」に詳しい)をされた。その授業をもとに、私が子どもたちに伝えたメッセージを紹介する。

新学期が始まって三日間。私はずっと教室にいた。休み時間も必ず教室にいた。
 その間に幾度となく、ピクッとした出来事があった。一人の子が気になった。仮にAくんとしておこう。
 休み時間に、Bくんが、机の引き出しを開けていた。ニコニコしながら、中をゴソゴソとやっている。
 おやっと思った。自分の机ではないのだ。A君の机なのだ。平気でやっている。 
 だまって、チラッチラッとBくんの様子を見ていた。
 すると、引き出しの中から下敷きを取り出した。
 下敷きを持って、私の方に歩いてきた。そして一言。「先生、これあげる」
 私は、瞬時に「いらない。」と強く言った。
 すぐにA君を読んだ。A君のものであることを確かめた。Bくんは、Aくんに「ごめんなさい」とあやまった。
 「人のものを勝手に触ってはいけません」とだけ伝えておいた。このときは、ここまでである。
 これも休み時間、Aくんが床で絵を描いていた。床に紙をおいて書いていた。そこへCくんが通った。絵を描いているAくんに足があたった。二人は、一瞬視線があった。
 しかし、二人ともだまったままである。Cくんは、あやまることもなく通り過ぎた。Aくんは、少し表情を変えたが、再び絵を描き始めた。
 このようなA君を取り巻く状況が少しずつ見えてきた。
 また起こった。Bくんである。A君の机の中をゴソゴソやっているのだ。
 チャイムがなり、授業が始まった。予定変更である。
 私は絶対に許さない三つのことを話したのだ。一つは、いのちがあぶないようなことをしたとき。一つは、めいわくになることをしたとき。もう一つは、三回言われてもやめようとしないとき、やろうとしないときである。「いのち」「めいわく」「三回」は、キーワードとして、一年間使っていくことになる。
 その中の迷惑についてである。
 「心がモヤモヤすることって、どんなことがありますか。」全員に聞いた。
 足を引っ掛ける、人のものを勝手に使う、机の中をさわる・・・・などが出た。
 意見が出るごとに、私が一人二役で演技をしていった。
 例えば、足をひっかけるのとき。足をひっかける子の役とひっかけられる子の役をした。どの子も集中して聞いていた。
 された方は、当然心がモヤモヤして、いやである。全員がいやだと言っていた。
 ところが、やった方もまずいのだ。
 「足をひっかけたり、人の物を勝手に使ったり、机の中をさわったりすると、大変なことになるんですよ。この本に書いてあるんだ。」少しトーンを落として話す。
 春山茂雄著「脳内革命」(サンマーク出版)の表紙を見せた。
 「お医者さんが書いているんだ。この本はね、たくさんの人が読んでて、とて人気があるんだよ。みんな心ってどこにあるか知ってる?ここにあるんだよ。」私の頭を指した後、黒板にも描いた。簡単に脳を頭のところに書いた。
 「脳みそって言ったりするでしょ。脳みそくんはね、いじわるをすると毒を出すんだ・・・・。」子どもたちの表情が変わっていく。
 「毒のある生き物って、何がいるかな。」へびがすぐに出た。
 「そう、へびの毒ってすごいんだよね。かまれたら死んでしまうこともある。生き物の毒で一番強いっていわれているんだ。」ヘビをみたことのある子が大勢いて、ザワザワっとした。
 「脳みそくんが出す毒、これはね、ヘビの次に強い毒なんだって。」目を見開いている子がいたり、声を出す子がいたりした。
 「この毒には、名前がついているんだよ。アドレナリンっていうんだ。」
 大事な言葉である。アドレナリンと三回ほどいわせた。
 「いつも意地悪をして、アドレナリンが出ると、病気になったり、早く死んだりしてしまうんです。」強く言った。B君の顔が硬直した。血の気が引いていったという感じである。
 「でもね、アドレナリンはちょっとずつ出るんだ。いつもやってると、たまっちゃうから、病気になっちゃう。悪いことをして、『やってないよ』なんて言ってもだめ。みんなの脳みそ君は、知っている」
 意地悪をしちゃだめだよって。そんなことしちゃだめだ。やめてって。ちょっとずつアドレナリンを出すんだ。」
ゆっくりと伝えていった。
 そして、エンドルフィンの話をした。
 「それだけじゃない。みんなの脳みそくんは、すごいんだ。いいことをするでしょ。すると、みんなを丈夫にしてくれるんだ。落ちている消しゴムをひろったり、『おはよう』っと声をかけたり。すると、脳みそくんが、みんなを丈夫にしてくれる。エンドルフィンっていうのを出すんだ。このエンドルフィンは、病気をやっつけちゃう。」
 このエンドルフィンもキーワードである。三回言わせた。
 「脳みそくんは、すごいね。いじわるすると、病気になるし、いいことをすると、元気になる。脳みそ君は、全部知っているんだ。」

このような話は、一回で終わらない。
 いじめなどのトラブルが起こった時、やられた方のケアも、もちろんする。それだけではない。
 やった方の心配もしていることを伝える。アドレナリンの話である。
 ことあるごとにやっていく。
 すると、「アドレナリン」「エンドルフィン」という言葉が、子どもたちの方から出てくるようになる。
 見えない部分を意識するようになる。

TOSS道徳「心の教育」シリーズ2巻『いじめに負けない子を育てる』(明治図書)より


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