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TOSSランドNo: 1116177 更新:2014年01月07日

あたり前の言葉から脱却するために比喩を教える(比喩の授業システム)


2,「比喩」の授業のシステム

一番最初にも書いたが、向山洋一全集22(明治図書)の28ページに向山学級の児童の作文が掲載されている。向山先生が「100字以内で文を書け。ただし授業でした6種類のレトリックの1つ以上を1つ以上を使用せよ。」と指示を出されたあと児童が書いた作文である。

宇宙はまるで、海のようだ。青い水の中に白い貝が光る。宇宙はまる で、広い 空のよう。大きさなんてとてもかなわないけれど、青く広がった空に、白くゆったりと浮かぶ雲。 この広い宇宙は、いつも私たちを見ている。

あじさいは、まるでにじのようだ。空が泣いて、カタツムリが出ると、いっそうき2 れいほかの花よりあざやかだ。アジサイは!アジサイはにじの色。アジサイは雨の友達。ほんとの友達。

風は私にささやいている。風は川のようにながれている。風も川も同じ早さで・・・。風はゆっくり走る。私の体に流れる風は、すきとおった霧のようだ。いつまでも、いつまでも、やさしくながれる風。

星はまるでぼくと友達のようだ。赤い星、青い星。ダイヤモンドでもかざってあるように。星と僕の交わり合いは一生とだえることはない。広い広い宇宙の中にたくさんある星。いまも星は光っている、つきる事なく…。

パシッパシッ。手が荒れ狂うように相手の背中へ行く。パシッ。相手も負けずに来る。泣いた!真由美ちゃんが!すぐ泣くあの子。すぐあやまるあの子。あやまった二人の顔はグシャグシャだけど、微笑んでいた。

木が私をよんでいる。木が話しかけてくる。私はあの大きな木のように、大きくなりたい。ゆれている。あの大きな木は。大きく大きく。右に左に大きく。あの木は、私よりも早く大きくなろうとしているぞ!!

風がふいている。ささやいているように。風が吹いている。怒っているように。風 が吹いている。冷たい息のように。おどっているように。いつも私たちといっしょだった風。夏、突然になくなってしまった。

青空と雲は、風に乗ってゆらゆらおどってる。おどる姿が真っ青なカーテンに、白い模様がついているようだ。もし青空と雲の色を反対にしても、白いカーテン、そして真っ青な模様!きっときれいだろう。

(向山洋一全集22(明治図書)p28より)

向山学級の子どもたちは、6種類のレトリックをどこかで使わなければという気持ちで書いたであろう。その中で比喩を意識して書いた物を抜き出した。それが、上の8つである。
8つの文をよく見てみると、8つのうちの3つが書き出しからいきなり比喩を使っている。

・第1文が、「~は~のようだ。」とズバリ言いきりの形になっている。
・第1文の、比喩は意外な言葉でたとえている。(宇宙を海、アジサイを虹)
・第2文以降は、書き出しの文の詳しい描写になっている。

このことから、向山先生が子どもたちに初めて比喩の授業をされたとき、「~は、~のようだ。」という一文をまず作らせ基本形としたのではないか考えた。
では、どのようにして作らせたのか。

1,あるもの(先生、花など)に対して、どんなものかイメージさせる。

気の利いた子どもが変わった言葉を出すかもしれないが多くの子どもは、先生の場合だと「こわい」「やさしい」、花の場合だと「美しい」「きれいだ。」というイメージがでるだろう。

2,「~は、~のようだ。」という比喩の形を理解させる。

子どもたちに、いきなり「『~は~のようだ。』という文を作りなさい。」と指示をしたら、「~のようだ。」という比喩がどの言葉にかかるのか分からず混乱してしまう。例えば、先生は、お化けのようだ。先生は、花のようだ。先生は、犬のようだ。と言うような比喩をたくさん作るだろう。しかし、「お化け」「花」「犬」はそれぞれ先生のどのような様子をたとえているのか意識して書かない子どもも出て来るであろう。「何でも、言葉を当てはめればいいのだ。」と短絡的に考えてしまう子どもも出てしまい危険である。
そこで、以下のようにノートに書かせる。

①先生は、
②(   )のように
③こわい。

この利点は2つある。
1つ目は、(   )に入る言葉をイメージしやすいということである。こわいのだから先生が怒っている様子を想像しこわいもの(ライオン、虎、鬼など)を当てはめればよい。
2つ目は子どもたちは、こわいことを詳しくイメージさせるためにために、②の「~ように」を使うということを理解するだろう。「こわい」と限定することによって、(   )の中にはいる言葉も限定されてくる。これは、この後4で教師が子どもの比喩を個別評価するためにもやっておかなければならないことだと考える。

3,③の形容詞を消させる。

この授業はこわい様子を、「こわい」という言葉を使わないで表現させるのが目的なので、③「こわい」の役目はここで終わる。
③がなくなったことで、②の「ように」は「ようだ」に変えなければならない。
ここまでで、比喩表現の書き出しの1文ができあがる。

4,個別評価をして、たとえに持ってくる言葉を意外な言葉にさせる。

多くの子どもは、こわいと簡単にイメージできるものをたとえに持ってくる。例えば、「こわい」であれば「ライオン」「鬼」「お化け」「虎」などである。比喩表現としては間違いではない。しかし、あまりにも簡単で読み手を引きつけることができない。このレベルでは、当たり前の言葉からの脱却ができない。 そこで、個別評価をしてやる必要がある。優等生のありきたりな表現を打破し、ダイナミックな文にしてやるのである。
向山学級の文には、「宇宙」を「海」に、「あじさい」を「にじ」にたとえたものがある。これは、向山先生が比喩できるだけ意外なものを持ってくるように指導されたのだ。 植垣節也氏(仏教大学文学部教授)は、文章表現の技術(講談社現代新書)の中で、「「AみたいなB」「AのようなB」の形式の比喩(直喩)は、既知のAを提示することによって未知のBを効果的に説明する方法である。」と定義した上で

文章中で比喩表現を使うときは、AとBの距離を置くほどかえって意図が分かりやすくなることを知っておく必要がある。本質的にAとBとが異なるものならば、ますます異ならせた方が比喩として明確であり、しかもAとBの共通点が狭い範囲に絞られるから誤解の可能性も小さくなる。例えば、室生犀星の使った「彼女はうどんのように笑った」という比喩は、うどん(A)と女の笑顔(B)との距離があって突飛な結びつきであるからこそ、誤解なくうどん玉の形と庶民的な顔つきとの共通点をいっているのだと分かるのである。

このことは説明せずにあっさりと個別評定をして、例文を示すほうが子どもたちにはわかりやすい。

5、比喩の後に描写を加えさせる。

先ほど3の段階で③を消した。そのため、斬新で個性的な比喩ほど読者に作者の意図が正確に伝わらない事が起きてくる。例えば、「先生は、夏の空のようだ。」と書いた場合、読み手の感受性次第で解釈が大きく変わっている。それを意図しているのならよいが、初期段階ではそれは独りよがりの文になってしまう危険性がある。
そこで、比喩の後に描写を子どもたちに考えさせたのではないかと想定した。
このような考えの基に授業を創ってみた。


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