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TOSSランドNo: 4378055 更新:2012年12月12日

拡散的思考で楽しむ回文づくり


上から読んでも下から読んでも同じ文になる回文。本時では,簡単な回文に触れることで言葉の面白さに気づかせる。さらに,「や○や」など,○に字を入れて回文を作らせることで,様々な回文言葉ができあがる。多様な答えができるので多くの子どもたちが楽しみ,活躍できる授業である。拡散的思考を通して,言葉遊びの面白さを十分に味わわせることができるのが本実践である。

〈回文について〉
▼日本では平安時代から,和歌や俳句,川柳などを通して回文作りが行われてきた。日本で始めての回文は「悦目抄」に収められている「むらくさにくさのなはもしそなはらばなぞしもはなのさくにさくらむ」であると言われており,その歴史は古い。鎌倉時代になると,似絵で有名な藤原隆信(1142~1205)が「しらなみのたかきおとすらながはまはかならずとおきかたのみならし」という歌を読んでおり,これも回文になっている。江戸時代には,七福神の描かれた宝船の絵に「ながきよのとおのねぶりのみなめざめなみのりふねのおとのよきかな」という回文が書かれ,枕の下にこれをしいて眠ると良い初夢が見られるとして民衆にも広く知られていた。これは16世紀の中国の「日本風土記」に載っており,回文の作品としては江戸以前のものである。また,地元仙台市には仙台庵(細屋勘左衛門)という名回文師がいた。それと関連して仙台市の作並では,毎年回文コンテストが行われている。これらのことは,本時の授業では扱わないが,子どもたちに興味を持たせることのできるエピソードである。回文は古くからの歴史があり,言葉遊びとして日本人に親しまれてきた。様々な言葉遊びの本の中でも回文は取り上げられている。また,外国にも回文はあるが,日本語のように一字で音を表しているのではなく,母音と子音の組み合わせによって音を作っているため,回文作りは難しい。子どもでも楽しめる,日本語ならではの言葉遊びであるといえる。
▼回文の定義は「上から読んでも下から読んでも同じになる文・言葉」である。定義に加えて必要になるのが,「意味が通じるか」ということだ。ただ上から読んでも下から読んでも同じになる,というのでは「あいうえおえいうあ」など,意味をなさない文でも認めることになってしまう。第11回TOSS特別支援教育セミナーでの間嶋祐樹氏の回文の授業でも,「みんながわかることじゃなきゃいけません。」と子どもたち(子役)に向けて話していた。また,一見意味をなさない言葉でも子どもに説明させることで意味が通じることがある。例えば,「や○や」で回文づくりをしたときに,多くの子は「やおや」であると考える。だが,「やれや」→「『やれ』といわれて『や』だと言う」などのように,説明が入ることで回文として成立する場合がある。このように広げていくことで,様々な回文ができる可能性を持たせることができ,さらに多くの子どもが活躍できるようになる。これが拡散的思考での言葉遊びになると考える。
▼回文のきまりとしては,清音と濁音,半濁音などを区別しないというものがある。これは,昔は,清音と濁音,半濁音を現在のように濁点などで区別しないで文を書いていたことに由来する。また,音が同じであれば「お」と「を」,「は」と「わ」,を区別しない,「や」と「ゃ」を区別しないなどの規制を緩和するきまりごともある。しかし,緩和しすぎることで,回文そのものの面白さが失われてしまうとする研究者もいる。本時では,このきまりについてはあえて深く触れないこととする。(聞かれたら区別しないことを教えるに留める。)▼回文の構造は,左下図のようになっている。対応している文字があることに気が付けば,「きつ○○」など   
の問題は容易に解くことができる。これは,第11回特別支援教育セミナーで,間嶋祐樹氏の授業後に谷和樹氏が次のようにコメントされたことから作成したものである。(文責伊藤)「インフィニットを使ってドラッグして,対応しているのが分かるといい。」こうすることにより,対応する字を把握しやすくなり,回文の構造を理解しやすくすることができる。サ
ークルの検討では,「これがなくても,言葉の真ん中の字に色をつけることで理解できる,全部にこれをやってしまうと返ってごちゃごちゃしてしまう。」(文責)とのコメントをいただいた。間嶋氏は4年生を想定しての授業であったが,本時では,6年生を想定しているので,言葉の真ん中に色をつける手段を取った。また,谷氏は「みなは○はなみ」など,「○の中に全ひらがなを入れてみる,ということも教材研究の中でやっておく必要がある」,と講評された。(文責伊藤)教師がそれらを事前に知っておくことで,子どもの意見に柔軟に対応することができる。

本時の授業の流れ〉
本時では,1回文の定義を知る2.回文の構造を知る3.練習問題(収束的思考問題)4.練習問題(拡散的思考の問題)と進む。

指示1:

読みます。トマト,キツツキ,さかさ。今度は下から。はい。トマト,キツツキ,さかさ。

・上から読んでも下から読んでも同じになることを確認する。
・リズムよく読ませていく。
・ここでは字を見せたいのでイラストや写真は使わない。

説明1:

このように上から読んでも下から読んでも同じになる言葉や文を回文といいます。回文,さんはい。

発問1:

「いか」の反対は?

・「かい」(貝のイラストも出す。)となる。

指示2:

その間に「と」を入れます。下から読みましょう。「いかとかい」回文ができましたね。

発問2:

「かば」の反対は?

・「ばか」となる。

指示3:

間に「の」を入れます。下から読んで。「かばのばか」これも回文。

指示4:

○にひらがな一字入れて回文を作ります。ノートに書きなさい。

・「こね○」「いた○」「いるかは○○○」
・全員できなくても待たずに進める。                            
・できていたら丸をつけさせる。

指示5:

(「や○や」を示して)回文を作りなさい。

・意味のある言葉になるように促す。 
・なかなか出ないときは,隣同士相談させる。   
・答えは1つではないことを知らせ,できるだけ多く書かせる。 
・とっさの子どもの発言に対応できるようにするため教師が全パターン考えておく。 
・3つ書けたらもってこさせる。3,4人に黒板に書かせる。

指示6:

(「みなは○○○○」を示して)はい,やってごらん。

・教師が予め全パターン考えておく。 
・「前のクラスでは,40個考えたよ」などと言って,意欲を高める。
・できた人から発表させる。

※間嶋氏の実践では,授業の最初でトマト,まじま,たけやぶやけた,の3つを扱っていた。今回は,私自身が授業をするので,「まじま」を「キツツキ」に変える。また,「たけやぶやけた」は字数が多く,すぐに理解できない子もいるので,「さかさ」に変えた。間嶋氏は,他に「たうえうた」「イラクのきさきのくらい」「にわとりとことりとわに」などを扱っていたが,本時では,回文の授業の1時間目ということで,簡単な言葉,文を扱うこととした。 

「や○や」に当てはまる言葉一覧   かなり無理があるものが多いがそこはお許しいただきたい。

あ やあや(人名)     し や死や     ど 宿屋,矢どや?     み 闇や,病みや
い 矢嫌,や?嫌     じ 野次や     な やな矢        む 病むや,止むや
う × す ヤスや(人名)                に ヤニや,ヤ?ニヤ め 夜目や,止めや
え 八重や        ず やずや(商品名) ぬ ×            も や、靄
お 八百屋,や親    せ 痩せや        ね 屋根や        や やや、ヤ(嫌)
か や蚊帳,        ぜ ×         の 矢野や(人名)     ゆ 揶揄や
が や蛾や        そ 耶蘇や     は 矢速!        よ ×
き や、木や        ぞ × ば 矢場や                   ら ×
ぎ 山羊や,や、ギヤ   た 谷田や(人名) ひ や?火や        り 槍や
く 焼くや,妬くや    だ 矢田や,ヤダや び ×               る やるや(やる気)
ぐ や具や           ち や血や        ふ や「ふ」や(おふ)    れ やれや(命令)
け 焼けや,ヤケや    ぢ ×            ぶ 藪や            ろ ×
げ や下野        つ 奴や,やツヤ へ や?屁や        わ ヤワや
こ や小屋,や子や    づ ×           べ 矢部や(人名)    を 矢をヤ(嫌)
ご ヤゴや         て や?手や    ほ や。ホヤ       ん ヤンヤ
さ 矢さや          で ×         ぼ 野暮や
ざ ×            と 矢と矢      ま 山屋,やまや(酒屋)

「みなは○はなみ」で考えられる回文一覧  

みなは?あ、花見  みな橋花見 みなハイ(High)花見
みな恥花見    みな花、花見  みなハム花見
みな這う花見   みなハス花見 みなハエ花見   みなは?え?花見 みな恥ず!花見
みなはお花見 みな馳せ花見 みな羽根は並  みな跳ね花見 みなはや!花見  みな(人名)はヤ花見
みな墓花見 みなハゼ花見  みな母花見  みな はよ 花見
みな吐き花見  みな原花見
みな萩花見 みな吐く花見 みな肌は並  みな春花見
みなハグ(Hug)花見   みなハチ花見 みな吐け花見  みなは「ぢ」花見  みなハブ花見

 みなハゲ花見  みな初花見 へ  みなは屁花見 みなは子、花見

 みなハテ?花見  みな班花見  みなはさ、花見  みな派手花見

 みなハト花見  みな浜花見

【参考文献】「回文ことば遊び資料館」杉本寛 東京堂出版/「さかさ言葉『回文』のすべて」まさに何様 闇から神谷 カットシステム/「回文コンテスト作品集 第1回日本ことば遊び」日本ことば遊び・回文学会,作並まちづくり委員会/「ことば遊び」鈴木棠三 講談社学術文庫「絵本ことばあそび」五味太郎 岩崎書店/「ことば遊びの楽しみ」阿刀田高 岩波新書/「ことば遊び絵事典」ことばと遊ぶ会 あすなろ書房/「『言葉遊び』で頭のよい子を育てる」多湖輝 新講社/「ことば遊びの文学史」小野恭靖 新典社選書/発達障がい児本人の訴え〈Ⅰ.TOSS編〉向山洋一監修 向山一門編著 東京教育技術研究所/発達障がい児本人の訴え〈Ⅱ.逐条解説編〉平山諭著 東京教育技術研究所/
【参考論文】「楽しい授業でどの子も挙手させよう」岡惠子 2007.10「教室ツーウェイ」/「言葉遊びで語彙を増やそう」岡惠子 2004.7「国語科教育」/「学年別・『黄金の3日間』の授業」大野木一雄 2005.4「向山型国語教え方教室」/「『言葉あそび』の本は面白さ100%」岡惠子 2004.10「家庭教育ツーウェイ」/「学級担任に必要な特別支援教育の基本スキル④」平山諭氏2011.12「特別支援教育教え方教室」
【参考実践】間嶋祐樹氏 第11回TOSS特別支援教育セミナーIn東京/松藤司氏の原実践/坂田桃子氏 「すべての子どもが考える力をつけることができる知的で楽しい国語授業」TOSS授業技量検定セミナーIN千葉/田畑典子氏 TOSSランド5412117 「回文を作って楽しむ」/間嶋祐樹氏 TOSSランド6455215 「イラストを使った回文授業」/許 鍾萬氏 TOSSランド1053666 「文を絵にすると盛り上がる!回文の授業」/常田幸宣氏 TOSSランド8110226 「言葉遊びの授業 回文」


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