修正点は、「閑かさや岩にしみいる蝉の声」「古池や蛙飛び込む水の音」の二作品から授業を始める点です。
二作品を変化のある繰り返しで授業することにより、「聴閑」の意味をより理解できるのでは、と考えたからです。
実際の授業では、発問10での「聴□」の□に入る漢字「閑」を正解する生徒が出て、「やった。」と喜んでいました。
「蓑虫の音を聞きに来よ草の庵」が、水谷先生の言われる「音なき世界を描き、心の耳で聞く心の声、その心の世界を共に味わおうという句」であることを、生徒は理解できたのではないかと思います。
準備物・・・ 3種の俳句(「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」「古池や蛙飛び込む水の音」「蓑虫の音を聞きに来よ草の庵」)を印刷したプリント
指示1:
「 閑かさや岩にしみ入る蝉の声」読みます。
発問1:
誰の俳句ですか。
説明1:
松尾芭蕉です。
発問2:
何に感動していますか。
説明2:
「閑かさ」です。感動を表す切れ字の「や」があるからです。芭蕉は蝉の声だけが響き渡る、辺りの静けさに感動しているのです。
指示2:
「古池や蛙飛び込む水の音」読みます。
発問3:
誰の俳句ですか。
説明3:
松尾芭蕉です。
発問4:
何に感動していますか。
説明4:
「古池」ですね。
発問5:
なぜ、「古池」だと分かるのですか。
説明5:
感動を表す切れ字の「や」があるからですね。
一句目で勉強しました。
説明6:
芭蕉は、蛙が飛び込んで立てるかすかな水音もはっきりと聞き取れるほど静かな古池に感動しているのです。
指示3:
「蓑虫の音を聞きに来よ草の庵」読みます。
発問6:
誰の俳句ですか。
説明7:
松尾芭蕉です。
発問7:
どこに「来なさい」と言っているのですか。
説明8:
「草の庵」です。草葺の粗末な家のことです。ここに、蓑虫の鳴き声を聞きにきなさい、という句なのです。
発問8:
ところで、蓑虫の鳴き声を聞いたことがある人?ない人?
説明9:
私もありません。では、松尾芭蕉は何を「聞きに来なさい」と言っているのでしょうか。「枕草子」には、「みのむしは『ちちよ、ちちよ』と鳴く」と書いてあります。昔の人は、実際には聞こえない蓑虫の鳴き声を聞いているのです。
発問9:
耳で聞こえない音をどこで聞いていたのでしょうか。
説明10:
心で聞いていたのでしょう。
発問10:
ところで、この句には前書きがあります。「聴□」。□にはどんな漢字が入ると思いますか。松尾芭蕉の俳句の中から見つけなさい。
説明11:
「閑」です。「聴閑」とは、閑かさの中で、音なき音に聞き入る、という意味です。心で聞いた「かすかな音」を味わおうという句なのです。
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