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TOSSランドNo: 3133574 更新:2013年11月28日

「ごんぎつね」の授業


1 授業覚書(1)

フィンランドメソッドについての北川達夫氏の講演メモを整理していて、次のサイトにも詳しい解説があることが分かった。

国語教育で用いる2つの読書カードは、そのまま授業で用いる発問になる。

__________2013-11-24_10.40.31

 このようなカードで、いつも物語を一人読みしているとしたら読解力・思考力がつくに違いない。

 教科書を使って基礎技能を習得させる読解授業の展開についても提示されている。
 いきなり作品を読むのではなく、導入で作品との出会い・予想を大事にしていることが分かる。
 また場面ごとの読みと全体の読みが区別されているが、どちらにしても考え・感性・価値観の比較ということで話し合い(対話・交流)が位置づけられている。

__________2013-11-24_10.40.37

発問は以下の3つを区分している。これにより正解を確定すべき場面と自由に発言してよい場面との区別を意識できることが分かる。

 ① 文中の一か所から答えが見つかる問い

 ② 文中の複数箇所から答えが見つかる問い

 ③ 推論を要する問い(文中に答えがない)

北川氏の講演記録に次の部分がある。

 私の提案で,フィンランドの5 年生に「スイミー」を読んでもらいました。
 その際,フィンランドの先生が考えた問題です。
 「ほかの赤い魚の兄弟たちは無個性である / 個性的である」。
  両方根拠づけることができます。みなさんも考えてみてください。

・・・選択的に問うことで論点が明確になり、根拠づけることでさらに文章検討が進む。

 それにしても、はっとする面白い発問だと思う(日本の5年生には難解だろう)。 
 このような発問が思いつくような基盤がフィンランドメソッドにはあるということだ。

2 授業覚え書き(2)

「PISA」調査で問題になったのは「自由記述問題で無解答が多かったこと」である。
登場人物の行動を批判させたり文章を批判させたりする問いに、日本の高校生の3人に1人は解答できず白紙で提出した。

その理由として「今までの日本の国語教育にほとんど欠けていた」次の二点を挙げられている。

1 子どもたちは、読んだことを正確に理解した上で、書いてあることを根拠にして、自分の意見を書くことが不得手だった。

2 ほとんどの子どもたちが、クリティカル・リーディング(創造的な批判読み)を学んだことがなかった。
 (有元秀文氏著『必ず「PISA型読解力」が育つ七つの授業改革
    ―「読解表現力」と「クリティカル・リーディング」を育てる方法―』(明治図書))。

 この2点を克服する「読解力」を、文科省はPISA型「読解力」と名づけ、「読解力向上プログラム」や新指導要領においてその力をきちんと子どもたちにつけることを、現場に求めている。

43年ぶりに復活した全国学力・学習状況調査中学校の「活用」(B)問題は,『蜘蛛の糸』の「お釈迦様は極楽の蓮池のふちに立って」から「もう午に近くなったのでございましょう」までの3の場面が「ないほうがいいと思う」か、「あったほうがいいと思う」かと問い、その理由を尋ねるというもので,出題意図は「文学作品を評価しながら読む」とある。

これは新学習指導要領に記載された以下の言語活動例と対応している。

○ 詩歌や物語などを読み、内容や表現の仕方について感想を交流すること。(中学校第2学年)

○ 物語や小説などを読んで批評すること。(中学校第3学年)

 人によって「読み書き関連」「読解表現力」「批評力」「表現力を鍛える文学の授業」などと呼ぶ。

 「読む」という入力情報を,出力・発信する形で昇化させていく必要がある。 

3 授業覚え書き(3)

 指導要領解説の3・4年の「C読むこと」の指導事項には次のようにある。

(1) 読むことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 内容の中心や場面の様子がよく分かるように音読すること。
ウ 場面の移り変わりに注意しながら,登場人物の性格や気持ちの変化,情景などについて,叙述を基に想像して読むこと。

このウの「読む」は「音読」ではなく「読解(読み取る)」の意味だ。「音読」が「音読」と区別して表記してある。
 しかし,ウについては音読させること・どう音読したらいいかを考え相談する活動そのものが「読解」に直結する。

ウの「どんな気持ちを込めてよめばいいだろう」を考えさせることは、「登場人物の性格や気持ちの変化,情景などについて,叙述を基に想像して読むこと」の手立ての1つになる。そのようないs機をもって、単元のまとめだけでなく、読み取りの場面においても適宜音読練習・朗読発表を取り入れたい。
 音読の関する指導については,次のような記述もある。その通りだと思う。

「内容の中心や場面の様子がよく分かるように」とは,一文一文などの表現だけでなく,文章全体の内容や構成からその中心を把握して音読する工夫を求めたものである。中心を理解することによって,音読するときの軽重や速さなどを考えて音読の仕方を変えることができるようになる。特に,物語では,各場面を意識して,様子がよく分かるように音読する工夫が求められる。

4 授業覚え書き(4)

指導要領解説3・4年の「言語活動例」には次のようにある。

ア 物語や詩を読み,感想を述べ合うこと。

イ 記録や報告の文章,図鑑や事典などを読んで利用すること。

ウ 記録や報告の文章を読んでまとめたものを読み合うこと。

エ 紹介したい本を取り上げて説明すること。

オ 必要な情報を得るために,読んだ内容に関連した他の本や文章などを読むこと。

アについては,さらに次のように詳しく説明がある。あらゆる意味での「比べ読み」だ。

文学的な文章を読み,感想を述べ合う言語活動である。

一冊の本だけでなく,同じ主人公や作家,詩人のシリーズ,ファンタジーのシリーズなど,物語集や詩集などにも読書範囲が広がるようにする。自分の感想を明確に表現するためには,低学年で指導したものに加えて,「感激する」,「上手に説明している」などの感想を表す言葉を増やすことが求められる。また,感想が本や文章のどの叙述に基づいているのか,自分が現実に経験したこと,普段考えていることや関心のあることなどと,どのように関連しているのかなどを説明することも必要となる。感想を述べ合ったら,自分の感想が,友達の感想と比べてどのような特徴をもつのかを認識させていくことが大切である。

「ごんぎつね」の場面ごとの読み取りが終わった後,本単元ではアについて取り組ませたい。

◆復習としての「サーカスのライオン」との異同の検討

◆新美南吉の別の作品「てぶくろを買いに」「きつね」との検討

5 授業覚え書き(5)

 毎時間、発問に対する考えをノートにきちんと書かせてから、発表させると時間がかかる。

 各場面ごとは、簡単なメモ程度にして発表時間=相互交流の時間を確保する。

最後のまとめの感想の際に、ふりかえってしっかり書かせる(清書させる)ようなスタイルで授業を進める。

6 授業覚書(6)

 筑波大付属小の二瓶弘行氏は、読解力向上のために、次のように述べている(東京書籍『ひろがれ国語』21号)

◆「読解力」には「文章・作品を正確に読み取る力」と「文章・作品に対する感想・批評を形成する力」の両面があることを重視する必要がある。
◆文章を読むことは、その内容価値を見つけることで完結するのでない。教師の求める「正解」とされる解釈を探ることでもない。文章に対する自分の「意見・感想・読み」をつくることこそ大切な学習であることを子ども達にしっかり押さえる。

 そのために、「読み」と「表現」の関連を意図した単元を組むことを重視する。(中略)

 例えば文学的文章を学習材に、自分の受け取った主題が最も表れている場面の朗読発表会を開くという表現活動を単元終末段階に置く。子ども達は、その自己表現のために、文学的文章を精読し、自分の読みを創造する学習を重ねる。

◆前学習指導要領が「文学教材の詳細な読解指導からの脱却」を指示して以来、正確な読み取り学習に否定的な風潮が国語教室現場に確かにある。そのせいか、紙芝居づくりや劇化などの「楽しい活動」が増えた。けれども、克服すべきは「教師の解釈の押しつけ」の読み取り学習である。(中略)文章を正確に読み取る力なくして、文章に対する意見はもてるはずはない。

愛日地区の教育課程による単元「人物の気持の移り変わりを考えよう 『ごんぎつね』」(16時間)は、後半が選択型で、文章に対する自分の「意見・感想・読み」をつくることを目指している。

1時     全文通読・感想
2・3時   全体の出来事の流れをつかむ
4~8時   一~六場面のごんの気持を読み取り自分の考えをまとめる
一:いたずらするごんの気持
二:いたずらを反省し後悔するごんの気持の変化
三:つぐないを繰り返すごんの気持
四:「引き合わない」と思うごんの気持
五:ごんの最後の表情
9~14時   選択学習 活動―発表―感想をまとめる
①本の帯を作る ②読書会(感想発表会)③音読発表会
15~16時   新美南吉の他作品を読む・感想をまとめる

 (テスト1時間 作文・補充・発展的な学習4時間)

ただし選択型は,個々の自由な意志に応じて活動はさせられるが、十分な指導(成果の把握)が難しい。補充・発展的な学習の4時間を用いて全員に同じ活動を取り組ませることも視野に入れて検討したい。

▼4年生なので、無理に主題指導まではしない。

▼文章を根拠に考えさせる活動と、自分で推論する活動とを組み合わせる。

▼書く活動と、音声で発言・発表させる活動とを組み合わせる。

▼他人の意見を聞き合い、摂取・反駁する相互交流の場面を確保する。

▼場面ごとの読みの感想が、後段の活動時に生きるように仕組む。

▼人物の心情を読み取る活動は,読解指導だけでなく音読・朗読指導と組み合わせて取り組む。

▼「ごんぎつね」の授業が、他作品を読む際の力になるような読み取りの技術を意識する。

7 授業覚書(7)

 先に示したように、北川氏の講演記録に次の部分がある。

私の提案で,フィンランドの5 年生に「スイミー」を読んでもらいました。その際,フィンランドの先生が考えた問題です。「ほかの赤い魚の兄弟たちは無個性である / 個性的である」。両方根拠づけることができます。みなさんも考えてみてください。

両方根拠づけることができるというのは、PISA調査で話題になったパターンで,どちらの立場を選んでもかまわないから、きちんと理由づけよう、という課題だ。双方の意見を想定した上で自分の判断をするのはデイベートのメリットと同じで、複眼的思考とも言える。

 北川氏の講演記録を読んだ時、昨年、小3『サーカスのライオン』で「この話はかわいそうか」を問うた時のことを思い出した。

「かわいそう」を支持する子は、「死んだのにかわいそうでないわけがない」を繰り返す。

子どもたちの多くは「じんざはかわいそうだ」と読んでいたので、「じんざは死んでしまった。 しかし~・でも、その代わり~」で、よかった点を考えさせた。

①男の子を助けることができてよかった。
 ②死ぬ前に友だちができたからよかった。

③男の子から元気をもらったからよかった。
 ④男の子に出会えてよかった。

⑤男の子と楽しい時間をすごせてよかった。
 ⑥自分を好きな人に出会えてよかった。

⑦死ぬ前にすごくいいことをした。    
 ⑧お客さんに拍手してもらえてよかった。

⑨天国でお客さんの拍手を聞けてよかった。

 だが,「死んでしまったじんざはかわいそうだが悔いはない」「人は、どうせいつかは死ぬのだから、価値のある生き方・死に方をすべきだ」という教師の解釈に強引に引っ張ってしまった感がある。

子どもの言う通り「死んだのにかわいそうでないわけがない」のだから、北川氏が言うように「じんざは幸せである ・不幸せである。両方根拠づけることができます。考えてみてください。」と問う方がスムーズだったのだ。

 両方根拠づけられるとしても心情的にはどちらかに偏りがあっていい。

そこで、「100点満点で考えた時、何点対何点になりますか?」という割合の発想を入れて問うことを考えた。

各場面で、どちらも根拠づけられる選択的な問いを提示することで、双方から思考する力を育む。

 また、他の子が考える比率と根拠を聞き合うことで、さらに自分の考えを深めていく。

 ただし、最初から両論併記で思考させるのではなく、まずは個々に支持する立場を決めて主張させ、双方の言い分を聞いてから比率の形で問うことにする。

1場面:「ごんはどんなきつねですか」で多様な意見を出し
→「悪いきつね」か「悪くないきつね」か、に絞り、双方の意見を出し合う。
 2場面:「ごんが○○する場面」で多様な意見を出し
    →「おっかあは、ごんのいたずらのせいで死んだのか」に絞り、双方の意見を出し合う。
3場面:「ごんがどんな点に注意した償いを始める場面か」で多様な意見を出し
    →「ごんは兵十に気づいてほしかったのか」に絞り、双方の意見を出し合う。
4・5場面:「ごんが何を知りたかったくて兵十の話を聞いている場面か」で多様な意見を出し
    →「ごんは兵十に気づいてほしかったのか」に絞り、双方の意見を出し合う。
5場面:「ごんは兵十に気づいてほしかったのか」で
 →「この結末は幸せか、不幸せか」に絞り、双方の意見を出し合う。


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