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TOSSランドNo: 1113066 更新:2013年10月13日

山田式読書感想文指導法の定型と分析批評を応用した読書感想文の指導法


1.山田式読書感想文指導法の問題点

山田式による読書感想文の書かせ方(定型)の概要は次の通りである。

1 本の中で一番心に残った事柄、初めて知ったことを書かせる。 
2 1で書いたことと合致する自分の体験や考えを書かせる。 
3 1を2比べて、自分の考えを書かせる。 
4 本を読んで得たことやこれからどう考えていきたいかを書かせる。

 これまでの読書感想文は「粗筋」にちょっぴりの「感想」を付け加えたようなものが大部分であった。

 そんな状況の中で山田式による読書感想文指導法はとても新鮮な提案であった。(「教室ツーウェイ」No.92参照)

 前述の山田式による「書かせ方」の定型はそのまま追試できる。

 しかし、次のような問題点があった。

1.学級の子供すべてが違う本の読書をしているので一斉指導しにくい。

 山田式では子供との対話を重視している。対話を通して「考える読書」をさせている。

 学級のすべての子供と対話するには、子供の読んだすべての内容を知っていなくてはならない。

 これは簡単なことではない。

2.「本の中で一番心に残った事柄」と「合致する自分の体験や考え」を書かせると、物語の末端  部分を取り上げる子供が必ずいる。
(主題と大きく離れた題材を取り上げる。)

 例えば、「手ぶくろを買いに」で「私も子ぎつねのように雪で遊んだことがある。」といった経験を綴るのは滑稽である。

 山田式の「作者からはなれた作品は読者のものであるから、読者である子供がそれをどう受け止めようと自由である。」という主張には賛成だが、やはり、物語の中心題材を取り上げた読書感想文を書かせたい。

 あまりにも中心題材からかけ離れた読書感想文は滑稽である。

2.問題点克服案 

 そこで考えたのが、「分析批評」と「山田式」のリンクである。

 次のような流れで指導する。

1.共通教材を読ませる。

 一番実際的なのは、教科書教材で行うことである。共通教材では物語に「感動」しない子がいる。当然だ。「山田式」は「感動」から出発する読書感想文指導法であるが、私の提案は「分析」から出発する読書感想文指導法ということになる。

2.物語を「分析」する。

  国語の授業で行う。分析の結果、次のことを明らかにする。

・ 物語の主人公の(気持ちや行動の)変化

・ 主人公を変化させたものは何か

・ 物語の主題の解釈

  物語では主人公の気持ちや行動がガラッと変化する場面が必ず設定されている。

  物語では主人公の変化を通して主題を語ろうとしているのである。

  だから、主人公の変化を考えることが主題を考えることになる。

3.分析した主人公の変化(あるいは主題)を書かせる。

 ちなみに、私は複数の物語教材を分析批評で授業したあと、1つの物語を選ばせて書かせた。

4.主人公の変化(あるいは主題)と合致した自分の経験を書かせる。

山田式では「本の中で一番心に残った事柄、初めて知った事」と「合致する自分の経験」を書かせる。

しかし、物語の中心題材(モチーフ)について感想文を書かせるために「分析批評」とリンクさせているのである。

5.3と4を比べて、自分の考えを書かせる。

6.これからどうしていきたいかを書かせる。

 以上の流れである。

3.アウトラインシステムで書かせる

  実作段階ではアウトラインシステム(定型)で書かせる。アウトラインシステムとは、「書き方の枠組み」を示して書かせる方法である。

 次のアウトラインである。

<3.分析した主人公の変化(あるいは主題)を書かせる>
 はじめ(     )だった(主役)が(        )によって(      )な(主役)に変わった。
 この変化を通して(作品名)はわたしに(主題)ということを言っているような気がした。
<4.主人公の変化(あるいは主題)と合致した自分の経験を書かせる>
 わたしにはこんなけいけんがある。
<5.3と4を比べて、自分の考えを書かせる>
 わたしと(主役名)をくらべてこう思った。
<6.これからどうしていきたいかを書かせる>
 わたしはこれから(    )していきたい。

4.作文例

「モチモチの木」を読んで

                                       3年男子作品

  はじめおくびょうだった豆太がじさまの病気によって、医者様をよびにいける豆太にかわった。

 この変化を通して「モチモチの木」はぼくに「勇気はだいじ」と言っているような気がした。

  ぼくにはこんなけいけんがある。一年生の時、ぼくはおばけがこわくて一人で自分の家に入れなかった。そのりゆうは、小さいときにこわいビデオや、こわい本を見たあと頭にのこっていて思い出すからだ。見ているときは楽しいけど家に入るときがだめなんだ。だから家に入るのがこわかった。三年になってからはこわくない。こわいビデオを今では楽しみにしている。

 ぼくは豆太をくらべてこう思った。さいしょぼくは、おばけがこわくて家に入れなくて、かぎをさしこむのがやっとだった。豆太はさいしょはモチモチの木がこわかったけど医者様をよびにいける勇気のある子になった。ぼくも家に一人で入れるようになった。そこがにていると思った。

 ぼくは勇気のある子になりたい。

   「言葉をしゃべる犬」を読んで 

                                        3年女子作品

 はじめおとなしい子だった野口くんが、ペスの声によって明るい子にかわった。このへんかをとおして「言葉をしゃべる犬」は、わたしに、「友だちを大切に」ということを言っているような気がした。

 わたしにはこんなけいけんがある。

 わたしは、友だちのやくそくをやぶってしまったことがある。ほんとうは、きせかえ人形であそぶつもりだったんだけどほかの友だちとあそんでしまった。かえるとき、そのことを思いだした。きっとその友だちがかなしんでるだろうなあと思った。

 自分がそういうことをやられたら、自分がどういう気もちになるか考えただけでいやな気もちになった。

 わたしと野口くんをくらべてこう思った。

 わたしは、野口くんとにている。やくそくをやぶってしまったわたしと家で一人ぼっちでまっている野口くんの気もちと同じだ。

 わたしは友だちのやくそくをまもっていきたいです。     

5.まとめ

  以上の指導で「問題点」は克服できた。しかし、「主人公の変化」や「主題」に合致した自分の経験を見つけるのに苦労する子がどうしても出てしまう。そんな時はやはり、教師と子供との対話技術が必要になってくる。

 また、<5.3と4を比べて、自分の考えを書かせる>が難しい。比べて何を書いたらよいか分からない子がいた。助言の仕方が今後の課題である。


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