<授業のねらい>
中学校技術・家庭科(家庭分野)において、実践例の少ない家庭経済の題材について考えてみました。消費者トラブルの低年齢化から、子供のときから自立した消費者の育成が求められています。生徒の身近な問題から、契約と、消費者としての義務と権利について扱いました。
発問1:
契約についての学習です。
あなたはこれ(衣服、文具など)を、どうやって手に入れましたか?
(数人を指名する)
・お店で買いました。
・お母さんに買ってもらいました。 など
発問2:
お店で買って、手に入れたのですね。
今までに、お店で買い物をしたことのない人はいますか?
(挙手確認)
説明1:
お店で買い物をすることを、難しい言葉で「契約」といいます。
わたしたちの生活は、法律によって守られています。契約も、法律によって守られています。契約により、次のような権利と義務が生まれます。
(図を提示)
売り手 商品を引き渡す義務。代金を受け取る権利
買い手 代金を払う義務。 商品を受け取る権利
発問3:
皆さんの中には、買ったものが壊れていて使えないなどという経験をした人はいますか?またそれは、どんなものでしたか?
(挙手確認・指名)
・シャープペンの芯が出なかった。
・電化製品が壊れていた。 など
発問4:
買ったものが壊れていたら、みなさんはどうしますか?学習カードに書きます。書けた人は、発表します。
(挙手指名)
・面倒だからそのままにしておく。
・捨てる
・お店にレシートを持って、言いに行く。 など
説明2:
「契約」について確認します。第1~3問
パワーポイントで表示。(東京都消費生活センター作成資料参照。著作権のため、のせられません。)
第1問 この中で、「契約」にあてはまるのは、どれですか?1つとは限りません。
①レンタル屋さんでDVDを借りる。
②ボーリング場でボーリングをする。
③電車に乗る。
④友達と会う約束をする。
⑤コンビニでお弁当を買う。
答え:
「契約」とは、法律的な責任が生じる「約束」のことです。わたしたちは、毎日、商品やサービスを購入して生活しています。この商品やサービスの売り買いも契約にあたります。
第2問 デパートで、店員さんに勧められて洋服を買いました。帰宅後、やっぱり気に入らない。返品できるかな。
答え:
1度買ったものは、お店と買い手が合意して契約をしたということになります。したがって、買い手に、買った商品を自由に返品・交換する権利はありません。ただし、お店側が同意してくれた場合は、返品することができます。
第3問 クリスマスまでの引き渡しという約束で、クリスマスツリーを注文したのに間に合いませんでした。それでも代金を払う必要はある?
答え:
これは契約の相手が契約内容を守らなかった場合にあたります。クリスマスまでにツリーが届かないと、ツリーとして使えないので、契約を解除できます。つまりお金を払う必要はありません。
発問5:
買ったものが壊れていた場合、本当はどうするのがよさそうですか。
(挙手指名)
・消費者の権利として、お店の人に交換または返品してもらう。
説明3:
(図を表示)
契約により、お店の人は、ちゃんとした商品を引き渡す義務が、消費者は、ちゃんとした商品を受け取る権利があります。ですから、当然、お店の人に言いに行っていいのですね。
発問6:
次のような場合は、どうしたらよいと思いますか?
DVDを借りて、返却するのを忘れていたら、3ヶ月後に延滞料金として3万円請求された。支払わなくてはならないか。
指示1:
学習カードに、自分の考えと、その理由を書きなさい。
指示2:
みなさんの考えを確認します。 代金を支払う・支払わないのどちらかに挙手します
・支払う。 ( 人)
・支払わない。( 人)
指示3:
自分の考えとその理由を発表してください。発言のチャンスは一人1回です。先生は指名しないので、指名したい人は起立してください。2人以上いた場合は譲り合ってください。
発問7:
消費者として、本当はどうするのがよかったのでしょうか? こういうとき、みなさんにアドバイスをしてくれるところがあります。
(地元の消費生活センターの建物を表示)
知っていますか?
説明4:
消費生活センターの人に聞いてきました。 民法416条(条文を表示)の規定により、弁償の範囲が決められているので、借りた商品の価格以上のお金を払わなくていいことになっています。なぜなら、借りた商品以上のお金を支払わなくてはいけないのなら、最初から消費者は新品をの人は催促しない方が延長料金をもらえて得をしますね。逆に人気のある商品だったら、お店の人は、もっとたくさんの人に貸し出せるように、新しいDVDを買ってお店にある数を増やせば済むことです。
消費者を守るための法律として、消費者契約法や、消費者基本法もあります。(条文表示)
発問8:
ちなみに、苦情に関する相談は、長野県内で、1年間にどのくらいあったと思いますか?
1000件以下。5000件以下、1万件以下、3万件以下、それ以上。
説明5:
正解は、38,945件です。(長野県公式HPより)
長野県に住む人の56人に一人が相談していることになります。でも、実際には、相談に来ない人もいるので、もっと多いのではないかと言われています。
発問9:
買ったものが不良品だったとき、お店の人にとって、「いいお客さん」とは、次のうち、どちらだと思いますか。
①お店には言いに来ないで、そのままにする。
②わざわざ言いに来る。
(挙手で、人数を確認。)
説明6:
あるデパートの社長さんの言葉です。(画面表示)
「買ったものが不良品だったとき、言いに来ないお客さんは、2度と買いに来てくれません。でもわざわざ言いに来るお客さんは、また買いに来てくれます。それにお店も、早く商品の問題点を知ることができます。」
指示4:
今日の授業でわかったこと、気づいたこと、感想を、学習カードに書きなさい。
<参考資料:東京都消費生活センター作成資料>
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