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TOSSランドNo: 2320569 更新:2013年10月10日

にせものは許さない!


1.出会いでの指導

「みんな、そろそろお話始めてもいいかな?」
 着任式の前に、教務のふにゃけた言葉が飛ぶ。もちろん、そんなので話を聞く態度が出来るわけない。
 4年生も、その例にもれずしゃべり続けている。特に後ろの男子はよくしゃべっていた。声がこっちに届かないだけ、まだましかもしれない。
 担任発表があり、私が前に行くと、少し様子を伺うようにしているが、男子は相変わらずしゃべっていた。
 始業式終了後、子どもたちを集め、次のように聞いた。
 「全員起立。校長先生やその他の先生のお話をきちんと聞けたという人は座りなさい。」
 なんと、誰一人座らなかった。自分に厳しい子もいるようだが、この際それは気にしないでおく。
 「明日は離任式があります。そこではきちんとできる、という人は座りなさい。」
 これで全員が座った。
 とりあえず、次の日の出方を見ることにした。

2.一人の勇気がクラスを変える

 さて、約束の成果を見る離任式がやってきた。
 さすがだ。多くの子は三角座りできちんと聞けていた。
 しかし、やはり私語をする子はいる。
 時間が経てば経つほど、私語をする子は増えてくる。
 私と目が合うと、話すのを止める。まだましな方であろうか。
 式終了後、学活で再び聞いた。
 「全員起立。今日は座れる人がいるでしょう。今日の離任式、きちんとお話を聞けた人は座りなさい」
 数人が座っていった。ここまでは予想通りだ。
ところが、周りを見ながら、座る子がいる。そして座る子が増えていく。ついには、全員が座った。
 「何を考えているんだ!」と思った。
 この状態を認めれば、自分に嘘をつくことを許してしまう。
 自分に正直であろうとする気持ちを失ってしまう。
 放っておけない問題だ。
 「これは本当ですか?本当にみんながきちんとできたと考えているのですか?」
 静かに訊ねた。
 私がこの目で見ていたのだ。私と目を合わせ、行動を正したものがいるのだ。それなのに、クラスはシーンとしている。
 「このまま終わるのか?」と思ったそのとき、一人のいすが、ガタッと動いた。
 恐る恐る立ったのはA子だった。
 「立ちにくかっただろうけど、よく立ったね。えらい。」
 そういうと、一人、また一人、と立ちだす。
 「今立った人は偉いです。自分の過ちを正直に振り返れる人です。正直な人は大好きですから、今回きちんと立った人は、これで許します。しかし、あとから嘘をついていることが分かったなら、それは厳しく注意されます。これが最後です。よく考えたら、しゃべっていたかもしれない、と言う人、立ちなさい。」
 結局、ほとんどの子が立った。
 「次の機会は朝会ですね。次こそは、きちんとできるぞ、という人は座りなさい。」
 ここで全員が座った。
 次でまた全員がきちんとできるとは思っていなかった。しかし、少しは出来る子が増えると考えていた。
 今回何より良かったのは、A子が立ったことだ。
 この際、彼女がしゃべっていたかどうかは、もはやどうでもいい。
 自分に正直であるために勇気を出して実行したこと、それが素晴らしいのだ。
後追いで立つのは簡単だが、一人目になるのは、ものすごく勇気がいる。
この日のことがクラスを大きく変えることになる。

3.そして子どもは変わった

 この日のことは学級通信に書き、翌日、子どもらの前で読んだ。
 どの子もシーンとして聞いていた。
 最後に「やったことが悪ければ、反省すればいい。それをごまかすような、うそつきが先生は一番嫌いだ。にせものは、このクラスでは許さない!」と言った。
 学級通信を読んだ翌日、教室移動があった。
 「他のクラスは授業中です。どうすればいいか分かった人から廊下に並びにいらっしゃい。」
 その指示で、子どもらは本当に静かに動けた。
 その後の体験学習のオリエンテーションでも、他のクラスの乱れをよそに、2組(西尾学級)の子らは、きちんとした姿勢で話が聞けていた。
 クラスに戻った後、こう聞いた。
 「離任式のときよりも態度よく出来た人、手を挙げなさい。」
 28本の手が、天井に突き刺さった。
 「今日のみんなは本物だ。聞く態度の素晴らしさは、おそらく学校一です!」
 どの子も、いい顔で、私の言葉を聞いていた。


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