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TOSSランドNo: 1242038 更新:2013年10月09日

貼り絵で描く「どんぐりと山ねこ」


1 「宮沢賢治の作品」を貼り絵で描く

 「酒井式」というと描画指導法がぱっと頭に浮かびます。しかし、宮沢賢治の作品は造形化するのにとても難しいのです。そこで、酒井先生の考えられた新しい切り込み口が貼り絵なのです。今回は酒井式の新境地、貼り絵で描く「どんぐりと山ねこ」の実践の一部をみなさんに体験していただきます。

2 貼り絵における基礎基本は何か?

(1) 人差し指と親指の先で紙をちぎる。
(2)「構成」する。(繰り返し置いてみて、「構成する力」を学ぶ。)
(3) のりを使いきれいに貼り付ける。
 上記の3つと考えられます。

3 大まかな指導の流れ:全6時間

(1)「どんぐりと山ねこ」読み聞かせをする。:第1時
(2) 猫の顔の形にちぎる。:第2時
(3) 部品を作る。(耳、目、口、ひげ、牙など):第2時
(4) いろいろと置いてみる。(貼り付けない):第2時
(5) 山猫の体を作る。(胴体、手足):第3時
(6) チャンチャンコ(袖なし)を着せる。:第3時
(7) 台紙を選定する。:第3時
(8) どんぐりを10こ程度作る。:第4時
(9) どんぐりを並べてみる。:第4時
(10)ことばを書く。:第5時
(11)貼り付ける。:第5時
(12)酒井式鑑賞法で鑑賞する。:第6時

4 酒井式鑑賞法

(1) 10枚くらいの絵を並べてみる。
(2) どの絵がいちばんいいと思うか挙手させる。
(3)一番人気のない絵を指して「先生は、この絵がとてもいいと  思う。この絵のいい所を10こは見つけたよ。」とあおる。

第1時 『読み聞かせ』

 図書室から本を借りてきて読み聞かせをした。何冊かある中でクライマックスで山猫が啖呵を切る場面がはっきり描かれているものを選んだ。ただし、なるべく絵は見せないようにした。作るときに影響を受けてしまうからである。どうしてもイメージがわかないときに少し見せることは行った。
 3年生だと読み聞かせを真剣に聞く。5年生に実施した時は、すごく興味をもつ子とそうでもない子とに分かれてしまった。中学年ぐらいに適したシナリオだと考えられる。

 読み聞かせの後、

山猫がどんぐりたちにいばっている場面を次の時間から作り始めます。一番迫力がありますからね。では、楽しみにしていてください。

と言った。

第2時 『顔と顔の部品をちぎる』

 いよいよ「ちぎる」作業の開始である。顔からちぎる。黒、茶色、黄土色の色画用紙の中から好きな色を選ばせた。教師が、

 こうやって親指と人差し指を使ってちぎっていきます。ゆっくりやります

と実際にやって見せた。

 顔がちぎれたら「耳」をちぎらせる。これも前で実際にやって見せた。このあたりで2色くらいちがう色の画用紙を配っておいた。

 この後、「目」→「口」→「ひげ」→「牙」を順順にちぎらせていった。どうしても細かすぎてちぎれないときは、はさみで切ってもよいことをこの時点で指示した。「口」の中に「べろ」を作るとおもしろいとかいうことも付け加えておいた。

 早く終った子には、「いろいろと並べてみて迫力ある置き方をさがしなさい。」と指示した。

 顔の部品をちぎっていろいろと試しに並べたところで第2時は終了だが、部品を次時までなくさないように保管するために使い古しの封筒を配り、その中に部品や使い残した色画用紙をしまわせた。

第3時 『山猫の体と手足を作る』

 顔を作った残りの色画用紙で「山猫の体」と「手足」「尻尾」をちぎらせた。ここでのポイントは、

手足は、このように曲がっていたほうが動きがあって迫力があります。

と「手足」を曲げさせて「動きを出す」ことである。これも実際に教師がちぎって見せた。(3年生の実践では曲げさせた。しかし、原実践では「肘と膝のところで分割しておくと動きがでる」とある。確かに、そのほうが動きがでるのである。)

 さらに、包装紙などをもってこさせ、山猫に着せる「チャンチャンコ」も作らせた。
 この時間は台紙の選定をして終了した。数種類の台紙(色画用紙)を用意しておいて選ばせた。黒がいろいろな猫に似合うとアドバイスした。(顔の色が黒以外) 残った時間に台紙の上に今まで作ったものを並べさせて見た。

いろいろと迫力がでるように並べて見なさい。並べるだけです。まだ、貼り付けません。

と貼り付けないことを念を押した。
 ここは、あくまでも「構成」の勉強である。貼り付けないでいろいろと置かせてみるのだ。

第4時 『どんぐりを10個程度作り、ならべてみる。』

 まず、どんぐりを見本で作ったものを見せて

1個できたらもってきなさい。合格したらあと3個作ってもってきなさい。1個めとちがう大きさのを作ってくるんですよ。

のように指示し、3個めも合格した子に残りを作らせた。
 どんぐりも細かいところがあるので、はさみで切ってもよいことを伝えた。また、フェルトペンで目などを書き加えることも許可した。
 できたら、どんぐりもいれていろいろと置かせてみるのである。酒井式の「散らばりの原則」に注意させる。さらに、「まだ、貼り付けません。」と注意点を繰り返した。
 このように、何回も何回も置かせてみることで「構成」のしかたを学習していくわけである。

作業の途中で、

ねえ、みんな○○君の山猫とっても迫力あるよね。すごいね~。○○さんのどんぐりは細かくてていねいだね。

などとみんなの前で必ずとりあげて「ほめる」ことをするべきだ。ほめることによって全員の作品の質が向上していくのである。実際に力強くほめていくと作品の質がミルミルあがっていくのがわかる。

第5時 『ことばを書く。貼り付ける。』

 いよいよことばを書く。画面から想像した自分のことばや、物語から引用したことばを書くのである。いくつかポイントがある。

 ポイント① 行が曲がったり、文字の大きさがバラバラであってもよい        しかし、ひとつひとつの文字はていねいに書くこと。
 ポイント② 文字と文字の間は、なるべく狭くすること。
 ポイント③ 文字の色は、明るい台紙の場合は暗い色で暗い台紙の          場合は明るい色で。
 ポイント④ 絵の具にはホワイトを入れて、不透明にすること。(特に、         暗い台紙に明るい色で書く場合は、白を多く入れ、ドロド         ロ状態で)

 文字が乾いたら、もう一度いろいろと並べてみて、これでよしというところでやっと貼り付けるのである。最後の最後まで「構成」を学ぶ。       
       第6時 『酒井式鑑賞法』
 10枚くらいの絵を黒板に貼り付けてから聞く。
「この中でいちばんいいと思う絵をひとつだけ選んでごらんなさい。」
 そして、教師がいちばん人気のない絵をさして言う。
「先生は、この絵いいと思うな。いいところを10こはみつけたぞ。」
とあおる。
 すると、競いあうようにして子どもたちは、よい所を見つけていく。子どもは、次から次へと友達の絵の良いところを発表するようになる。教師も子どももお互いにニコニコとなり、気持ちよく授業ができる。

@あると便利なもの…使用済の封筒があると「部品」をしまっておける。最後の最後まで貼り付けないので、保管しておくのに学校の使用済の封筒を配った。 

~第8回法則化江戸前フレッシュ講座(2001年11月11日)より~


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