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TOSSランドNo: 9723748 更新:2013年09月09日

酒井式描画指導法「百羽のつる」


この実践は、1999年度6年生11名の実践である。
 この年「学年別酒井式描画のシナリオ6年(明治図書)」ではじめて「百羽のつる」の実践を知った。
 その作品すばらしさに、釘づけになった。この頃、「百羽のつる」の実践は、今ほどポピュラーではなく、この本の中の新潟の小林智子氏の実践をたよりに追試を行った。小林氏には、物語を送っていただいたりして、大変お世話になった。(TOSS淡路キツツキ推薦) 

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〈準備物〉

①画用紙
②「百羽のつる」の物語
③プルシャンブルー、ウルトラマリン、コバルトブルーの青系のポスターカラー三色
④つるの写真
⑤面相筆(できれば人数分)

〈シナリオの概略〉

〈第一幕(45分)〉お話を聞いて、構図を考える

まず、百羽のつるの物語を読む。
次に、静かに語りかける。

みなさんは、どの場面が印象に残りましたか。 

C こどものつるをみんなで助ける場面です。
C つるが目的地にむかって、みんなで飛んでいく場面です。
C こどものつるがピンチになった場面です。

もう一度読みます。自分の描きたい場面の様子を思いうかべながら聞いて下さい。

この後、下描きを描かせた。これは、頭の中のぼんやりしたイメージを、はっきりさせるためのものである。
用紙は、8ツ切り4分の1程度の大きさのものを使う。
ここで気をつけることは、

○つる・山・木などを水平、垂直に描かないこと
○つるの大きさに変化をつけること

 私のクラスの場合、「阿波踊り」の実践のとき、下描き用の略画(記号人間や記号鳥など)の指導は、とりたててやらなかった。
下描きなので、その絵の中に「雪・青・水」とかいった言葉も書いてもよいことにした。

〈第二幕(45分)〉背景を描く

原実践では黄ボール紙を使われていたが、黄ボール紙の調達がうまくいかず、今回は普通の画用紙を使った。そのことが、大きな苦労になるとは、このときは思っていなかった。
原実践通り、

背景を全て描いてから(着色も)、つるを描くという流れ

にすることを子どもたちに告げた。
下描きに描かせた山々、雪をかぶっているものもある。月、湖、森などをどんどん描かせていった。

〈第三幕(45分)〉空を彩色する。

子どもたちの水彩絵の具はもちろん使わすが、それとは別に

プルシャンブルー、ウルトラマリン、コバルトブルー

の青系のポスターカラーを用意した。
ここでは、着色前に以下のような指示をだした。

①夜ふけのそらだからといって、黒か藍色にこだわらない。イメージした色を塗っていく。
②まず月から塗る。
③空は月のまわりから塗る。
④月に近い部分は明るく、遠くなるにつれて暗くなっていく。

①は原実践の指示である。②から④は、オリジナルの指示で、特に④については、1学期指導したグラデェーションを意識させるための指示である。
ここで、重要なことは

水の量と着色方法

である。 
「水の量の基本は、ジュースとマヨネーズの中間の濃さである」と1学期から指導してきた。だからとりたてて、ここでは指導しなかった。ただ、空の面積が広いので、色を多めに作らせた(私が準備したものも含めて)。
着色で気をつけることは、色を塗るのではなく、置くという感覚で塗っていくことである。これは、とても重要な技術で指導者自身がぜひ身につけてほしいものである。
今回は太筆を中心に使わせた。

〈第四幕(60分)〉空以外の背景を着色する

ここは自由に彩色させた。
着色前に指導したことは、3つである。

①筆を使い分ける。②色を置く③白い絵の具は控えめに

特に③は原実践でも使われていた指示だが、雪をかぶった山ということで、白い絵の具をかぶせたがるが、実はこの絵の主人公のつるも白である。山もつるも白では、主人公がぼやけてしまう。

絵画作品「百羽のつる」〈第五幕(60分)〉

つるは、きちんと指導しないと描けないと思った。
そこで、つるが飛んでる写真を10種類くらい用意して、B4の用紙に貼り、子どもの人数分用意した。
その後、つるの特徴を発表させた。
この意見から、次のようにまとめた。

①首が長い。
②足が長い
③羽の下の部分が黒い
④頭の部分が赤い

まずは、下描きである。
これは、1羽だけに限定する。この1羽目のつるは、大変重要で、全力で描かせなければならない。私は、原実践の小林氏の指示をそのまま使わせていただいた。

まず、鉛筆でつるを1羽だけ描きます。画面のどこに描くかを決めてから描きましょう。

子どもたちは、写真を参考にしながら、つるを書き進めていった。
着色もまず1羽だけである。
筆は、細筆と面相筆の2種類を使わせた。
着色し始めてから、白い絵の具ののりが悪いことに気がついた。
何度も重ね塗りして、やっとつるの白が浮き出てきた。
原因は画用紙にあった。黄ボール紙は、白い色ののりがよく、画用紙はのりが悪いのである。
1羽を完成させたら、次の指示を出した。
今度は、つるを4~5羽ずつ描いて色を塗っていきましょう。
机間巡視しながら、どの子もすごい作品になってきたと内心驚いていた。
みんな黙々と描き進めることが出来た。
この作品は3週間ほどで仕上げた。子どもたちの集中力はすばらしく、真剣に絵を描いていた。できあがった作品も秀作であった。

   百羽のつる(概要)

つめたい月の光でこうこうと明るい、夜ふけの広い空でした。
 そこへ、北の方から、真っ白な羽をひわひわと鳴らしながら、百羽のつるがとんできました。
 百羽のつるは、みんな同じ速さで、白い羽を、ひわひわと動かしていました。
 首をのばしてゆっくりゆっくりととんでいるのは、つかれているからでした。

 なにせ、北のはてのさびしい氷の国から、昼も夜も休みなしに、とびつづけてきたのです。
 だが、ここまで来れば、行き先はもうすぐでした。楽しんで待ちに待っていた、きれいな湖のほとりに着くことができるのです。
「下をごらん、山脈だよ。」
と、先頭の大きなつるが、うれしそうに言いました。
 みんなは、いっせいに下を見ました。
 黒々と、一面の大森林です。雪をかむった高いみねだけが、月の光をはね返して、はがねのように光っていました。
「もう、あとひと息だ。みんな、がんばれよ。」
 百羽のつるは、目をきろきろと光らせながら、つかれた羽に力をこめて、しびれるほどつめたい夜の空気をたたきました。それで、とび方は、今までよりも少しだけ速くなりました。もう、後が知れているからです。のこりの力を出しきって、ちょっとでも早く、湖に着きたいのでした。
 すると、その時、いちばん後ろからとんでいた、小さな子どものつるが、下へ下へと落ち始めました。
 子どものつるは、みんなにないしょにしていましたが、病気だったのです。ここまでついてくるのも、やっとでした。
 みんなが、少しばかり速くとび始めたので、子どものつるは、ついていこうとして、しにものぐるいでとびました。
 それがいけなかったのです。
 あっという間に、羽が動かなくなってしまい、すいこまれるように、下へ落ち始めました。
 だが、子どものつるは、みんなに助けをもとめようとは思いませんでした。もうすぐだとよろこんでいるみんなのよろこびを、こわしたくなかったからです。
 だまってぐいぐいと落ちながら、小さなつるは、やがて、気をうしなってしまいました。
 子どものつるの落ちるのを見つけて、そのすぐ前をとんでいたつるが、するどく鳴きました。
 すると、たちまち、大へんなことが起こりました。前をとんでいた九十九羽のつるが、いっせいに、さっと、下へ下へと落ち始めたのです。子どものつるよりも、もっと速く、月の光をつらぬいてとぶ銀色の矢のように速く落ちました。

 そして、落ちていく子どものつるを追いぬくと、黒々とつづく大森林の真上のあたりで、九十九羽のつるは、さっと羽を組んで、一まいの白いあみとなったのでした。
 すばらしい九十九羽のつるの曲芸は、みごとに、あみの上に子どものつるを受け止めると、そのまま空へまい上がりました。
 気をうしなった子どものつるを長い足でかかえた、先頭のつるは、何事もなかったように、みんなに言いました。
「さあ、元のようにならんで、とんでいこう。もうすぐだ。がんば れよ。」
こうこうと明るい、夜ふけの空を、百羽のつるは、真っ白な羽をそろえて、ひわひわと、空のかなたへ、しだいに小さく消えていきました。


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