TOSSランド

コンテンツ登録数
(2017/02/25 現在)

21375
TOSS子どもランド TOSSオリジナル教材 TOSS動画ランド TOSSメディア TOSS-SNS TOSS公式(オフィシャル)サイト
TOSS子どもランド
TOSSランドアーカイブ
TOSSランドNo: 5627342 更新:2013年08月24日

異動1年目の平教員でも、「いじめ発見・対応のシステム」を教育課程に導入できる!!


異動1年目の平教員でも、「いじめ発見・対応のシステム」を教育課程に導入できる!!

~勤務校の教育課程にいじめ対策の提案をする必要性~

◇下記は、この時に提案が通って、教育課程に明文化された資料である。

1.本論文の主張

年度末学校評価の会議を活用し、文書で明文化された形で提案していけば、平教師、異動1年目の立場でも、「いじめ発見・対応のシステム」を、教育課程の中に導入することができる。

2.システム提案の時の状況

(1)立場:学校評価集約担当
(2)時期:異動1年目の年度末学校評価(2~3月)
(3)学校評価システムの中に、生活指導・評価の観点「その他」に、いじめへの発見・対応のシステムを提案した。次の文を差し込んでおいた。

教育課程の中に、以下のように、はっきりと明文化する。明文化されているのとしていないのでは、危機管理への学校のレベルが大きく異なるからである。
「担任やその他の教員によって、危機に見舞われている学級(主に酷いイジメや学級崩壊)の訴えがあった場合、校長は、24時間以内に、緊急の委員会・会議を開き、対応とその方針をつくり、全職員で全力で解決に当たること。その解決は校長が判断するものとすること。」

当たり前のことなのだが、学校の「教育課程」の中に明文化されているのと、されていないのとでは、学校で対応する際の動きが全く異なる。
民間企業を見れば分かる。病院も同様だ。いかなる近代的な組織にも、緊急時には対応マニュアルというものが存在する。
組織のピンチに対する対応は、「組織対応」なのである。
学校だけが「個々の教師の勘」という前近代的な発見・対応システムに依存している。

その上で、学校評価の項目について吟味する会議の際、次の3つを教育課程に入れるように、文書を作成した上で提案をした。

① 「全校いじめ発見・対応校内システム」
② 教育相談委員会指導計画
③ 担任が朝教室にあがった後、専科教諭は、各学年の下駄箱近くで挨拶をしながら、子供の様子を観察すること。
(但し、③については、その後の会議で、教育過程には位置づけられず、了承事項に留められた。)

 ①~③については、提案の際に、実際に教育課程に差し込む文書を作成しておく。
 文書がない中で提案すると、反対意見が出た時に、「内容1つ1つの吟味」ではなく、「提案そのものが却下」されてしまう。
 しかし、文書が形になっていれば、文書に提案された内容1つ1つの吟味はなされても、教育課程の中に、「システムそのものを導入すること」は、比較的実行しやすくなる。

3.導入に際しての校内の抵抗

新しいそれまでになかったシステムを導入しようとするのだから、当然、激しい抵抗は予想しておかなければならない。
人は、古いもの、それまでのものに安住しようとする傾向があるのは、どこでも共通するのである。
特に、2-①に対しては、激しい抵抗を受けた。抵抗の主たる原因は次の通りである。

自分自身のクラスのいじめの実態を把握することで、教師自身が責められるのではないかという恐怖心。

これは、当然の感情である。ひどい学校ほど、一番悩み苦しんでいる学級担任を周りが責めて、保護者から吊るしあげられても組織として何も助けないで放置する。だから、このシステムで、クラスにいじめがあるのが明るみに出て、一方的に責められるのではないかという恐怖心を持たれるのは自然である。
しかし、このシステムは、絶対に、担任の先生1人に責任を押し付けるためのものではない。早期に発見・組織対応をし、学校全体で担任の先生を支え、学校全体で協力していじめを撲滅していくためのシステムなのだということを分かっていただければ、導入できると考えた。そのためには、発見システムと同時に、発見した後にどのように対応していくのかを明示して、安心してもらう必要性を感じた。
もともと大変なクラスを抱えて、立て直そうと頑張っている先生をこそ救うシステムの構築であることを理解してもらえばいいのだ。
具体的には、次の様に反対を受けた。

(1)いじめ発見のための3つのシステムの中で、特に、検査「1人ぼっちの子の調査」が、1人の子を顕在化しすぎることで、子供を傷つけてしまうというのである。
(2)子供が、いじめを意識しすぎて被害妄想になるので、いじめアンケートもやめた方がいい。
(3)いじめアンケートの内容が、公的機関が提案しているアンケートと違う。
(4)記述式を入れた方が良い。また、回数を尋ねるのもやめた方がいい。

4.校内の抵抗に対する対応方法

反対意見と反対派の動きに対して、次の様に対応した。

(1)「検査(1人ぼっちの子の調査)」はやることだけ決まった。

具体的なやり方についても明記していたが、それのみ教育課程から削除された。
いじめ発見のためのシステムに「検査」という名前だけは明記して、具体的な方法については、各担任に任されるということになった。
「具体的なやり方を明示した方が、どうしたら分からない先生にとっては親切ではないか。」と述べたが、「生真面目に、この方法を取らなければならないのか」と考えてしまう人がいるという意見もあり、妥協案に落ち着かせた。
これについては、実際に実践する中で、「子供の事実」で後々分かってもらえばよいと考えた。

(2)「いじめアンケート」は、「生活アンケート」という名称で実施する。

 「いじめがあるから、わるいクラスなのではなくて、いじめを隠してしまうからわるいクラスになる」という理念を、提案文書にきちんと明記しておいた。子供たちと先生方を助けるシステムである理念を共通理解した。このことを確認すると、反対の意見を述べていた先生方も、理解を示してくださった。また、「今の時代、どの学校でも、『いじめアンケート』ぐらいどの学校でも行っている。行わないで、事件が起きた時、学校の責任を問われます。」という点も述べた。

(3)教育委員会作成のアンケートと折衷案を提出した。

原案で提出したものは、「易から難」になっている点、他者からされたという内容から、自分も行っていることを尋ねる内容と順序がよくできている。また、質問数も少なく、適当であるので、あまり変えない方で余計なものを入れない方が、いじめの発見が容易であったのだが、教育委員会などが出している質問事項を入れることで、安心したいという意見も理解できるため、折衷案を提出した。
原案のよさを損なわないように、折衷させるのは極めて難しかったが、苦肉の策で冒頭の3問に導入した。

(4)記述式を入れることによる致命的なデメリットを説明した

 「いじめ」の実態を調査するアンケートで、記述式を含めるのは、絶対にやってはいけない。記述式を含めれば、いじめられた子は、正直に書けなくなる。熱心に記述を書けば書くほど、周りの子が、「あいつは何か書いていたゾ!」と分かり、悪化させる恐れがあるからである。
 そこで、ガイドラインを先に設けた。記述式は含めない上記の理由と、行政の「いじめ防止政策」と併せて、その後の活用方法まで明記することで、「アンケートはその後の『聴きとり』のための布石」であるという位置付けを明確にした。
 このことで、「アンケート→子供への面談→いじめへの指導(物の返却・謝罪など)→保護者への個人面談」という流れを作ることができた。

上記の対応で、勤務校の教育課程の中に、次の様ないじめ防止及び対策のシステムを導入することができた。

5.勤務校に明文化された内容

この学校は、明文化された「いじめ発見・対応校内システム」は、提案するまでは皆無であった。
その学校に、次の内容の明文化された教育課程が、組み込まれることとなった。

○○小学校生活指導部 「いじめ発見・対応校内システム」

1.ねらい

①「いじめ問題の解決」のためには、早期発見・早期治療が大原則である。そのため、学校全体で、校内でいじめ発見のシステム(問診・触診・検査)を構築し、早期発見・早期治療に努める。
②「いじめがあるからわるいクラス」なのではなく、「いじめを隠すからクラスがダメになっていくのである」という大前提で、担任1人に責任を押し付けるのではなく、学校全体で取り組む「温もりのあるシステム」を構築する。

2.実施方法

(1)【問診】全校一斉いじめアンケート(名称:生活アンケート)の実施

①使用するアンケート(別紙添付)※「はい・いいえ」で答えられる内容のみ、記述回答は含めない。
②これを全校一斉に、6月と、10月(行政の「いじめ防止強化」月間」の一環として行う)に行う。
 実施日前日に、生活指導部担当者は、全校分のアンケートを印刷・配布し、担任に実施する旨、連絡をする。
 児童には、「いじめ調査」とは言わずに、「生活アンケート」を言って実施する。
 但し、1・2年生については、別途の内容のアンケートや口頭による調査とする。
※学校の実態を年度末に評価し、次年度は、必要に応じて頻度を変える。

③「いじめアンケート」実施方法

ア、担任は大きな紙袋を持って立ち、アンケートを4つ折にして入れさせる。
イ、担任は子供の前でその袋をセロテープで封をする。
ウ、その日のうちに、職員室で開封し、担任は、「ある」の項目に赤ペンで○を付ける。
エ、学年主任に報告する。
オ、学年主任は報告に基づいて「学年会」を招集し、1人1人への指導方針を立てる。
 ※軽微なものは、この段階で、「ク」を実施する。
カ、重篤な懸案については、特別支援コーディネーター、管理職・(可能ならば)医師などを含む「生活指導部」に学年の生活指導担当が結果を報告する。
キ、「生活指導部」で、管理職・医師・カウンセラー・各学年の生活指導委員が、指導方針に対して、スクーリングをする。
ク、スクーリングの結果を踏まえ、教育相談という形で、担任がクラス全員に面談をする。
ケ、上がってきたことを、いじめアンケート実施の翌週一杯までの期限で、解決する。
 ※具体的には次の様な方法で解決させる。「謝罪」「盗られた物があるなら、返却させる。」

(2)【触診・検査】休み時間の児童観察

①子供の中に入って一緒に遊びながら、人間関係を観察する(春休み明け、夏休み明け、冬休み明けの第1週)
②気になる児童が所属する遊びグループに教師も参加し、一緒に遊ぶ。
③子供たちが遊ぶ様子を、距離を置いて、人間関係を観察する。
④担任は、結果を学年会で報告し、共有する。
⑤専科教諭は、授業での様子、その他の場面での様子で気付いたことを日常的に担任に報告をし、情報共有する。

【重篤ないじめが発見された場合(緊急事態への対応システム)】

※1 2-(1)(2)のいずれにおいても、重篤ないじめが発見された場合には、担任は、学年主任、生活指導主任、管理職に必ず報告する。
※2 報告を受けた校長が、重篤ないじめと判断した場合、24時間以内に、管理職・生活指導部・学年を招集し、別途「教育相談委員会」にて、方針を立てる。「教育相談委員会」は、校長が、いじめが解決したと判断するまで、定期的に開かれる。
※3 学級担任及び校長から、被害児童の保護者に連絡し、事情と今後の指導方針を連絡する。
※4 校長から被害児童の保護者への連絡は、次の通りに行う。

①報告があった当日と翌日
②1ヶ月後
③半年後
④1年後

※5「重篤ないじめ」に関する「教育相談委員会」の内容は、生活指導主任が、生活指導夕会などで、全職員に共有し、必要があれば、職員を動員して、いじめの解決を図る。
※6 いじめのレベルを5段階に分けて対応する。

レベル1 悪口を言われる。からかわれる。
レベル2 仲間外れにされる。無視をされる(くさい、あっちいけなどの言葉を言われる)
レベル3 レベル2が、継続して行われている。叩く、蹴る、ボールを投げつける、足を掛ける、通せんぼをするなどの身体的苦痛を伴う行為が行われる。
レベル4 いじめが原因で不登校になる。保護者、または、本人がいじめを苦に転校を検討し始める。
レベル5 死を口にし始めたり、自傷行為をしたりする。

 いじめは、集団であれば、必ず起きるもの、いじめの芽は毎日出ているという認識が大切である。
 いじめの芽をレベル1、レベル2の段階で摘む努力をする。レベル2までは、全校体制で対応する。レベル2で何とか食い止める最大の努力をする。
 レベル3に達した状態になったら、「教育委員会」に報告し、教育委員会の指示を仰ぎながら、対策を考え対応する。
 レベル4、レベル5になった状態であれば、学校の教師だけでは対応でいないと思われる。教育委員会、各専門機関と連携した対応が必要になる。
 レベル1もいじめである。生活指導部で報告はするが、基本的には担任が対応して解決させる。
 レベル2になれば、別途会議を持ち、システムを起動させて対策を考え実行するようにする。

○○小生活指導部 教育相談委員会指導計画

1.目標

 学校生活において、生活指導部の指導範囲を著しく越えるような問題(注1)の予防・調査・解決のために、本委員会(注2)を設置する。
(注1)例えば、不登校、いじめ、生活指導、特別支援対応などである。
(注2)構成は、校長、副校長、養護教諭、学年代表で、教育相談部、生活指導主任(SC、特別支援コーディネーターは必要に応じて)で、教育相談主任を設ける。その他、校長が必要と決めた者を招集する。

2.会議

 月1回常置委員会(研究部・生活指導部・特別活動部)の中で、重篤な問題が生じた時に臨時に開かれる。

3.指導の原則

(1)問題の発見・解決には、一刻、一瞬を大切にして、早期に対処する。
(2)解決の方向は、具体的に決定される。
(3)「問題」には、全教職員が、一致して当事者として対応する。不登校など。
(4)「問題」が発生したら、「解決」を確認するまで、追求する。「解決」の確認には、校長が当たる。
(5)本委員会での審議のうち、「個人名」「家庭の事情」等、必要と見なされるものは、非公開とする。

4.活動分野、方針

(1)いじめ

①いじめとは、特定の個人に対し、登校するのがいやになるほどの精神的、肉体的苦痛を与える事をいう。
②いじめは、見えにくいものであり、早期に発見するため、次の様な配慮をする。
 ア、担任・専科による日常生活の観察

a.机を離す b.授業中ワーとはやしたてる c.仲間はずれにする d.○○菌等の言葉を言う
e.物が盗まれたり、壊されたりする。

 イ、全校「1人ぼっちの子の調査」などの前段階調査。
 ウ、10日目、20日目、30日目の蓄積欠席報告。
③担任が発見した時、子供からの訴え、保護者からの訴えがあった時には直ちに解決の為の行動が取られる。
 ア、担任は、その日のうちに教育相談主任に概略を報告する。
 イ、必要な時は、報告から24時間以内に会議を開き、方針を決め活動を開始する(休み中はできる限りの対応をする)。
 ウ、5日以上経って改善が見られないときは、別途具体的方針を立てる。

(2)不登校

①不登校とは、病気、私用等の理由がないのに、学校を休む場合をいう。
②不登校の対応は、発生直後と長期の2つに分ける。
③不登校の発生直後は、特に大切であり、早期に対応する。
 ア、家庭と連絡を取り、不登校の原因を聞き出す。「いじめ」「プール、給食などの不安」「宿題忘れ」等は、早急に解決の方向を出す。
 イ、長期不登校は、これまでの経験を生かし、「保健室」登校など、可能な形を追求する。

(3)特別支援対応=特別支援委員会

①特別支援を要する児童が、担任では手に負えないほどの不適応行動がある場合(担任への攻撃・自傷行動・攻撃・奇声を挙げて授業を妨害するなどの行為など)、「特別支援対応」とし、その前段階も含める。「(3)騒乱状態」への対応と兼ねる場合がある。
②担任はどのような場合何があったのか具体的に時系列に沿って、事実を記録する。改善のための努力も記録する。
③集団の中での特別支援を要する児童への対応は、担任が再建の柱となる。ケース会議を開き、担任を援助し、支えるための具体的方向を早期に確立する。
④解決の方法は、第一段階、第二段階、第三段階などの方策を準備する。場合によっては主任児童委員、民生委員、警察、児童相談所、家庭教育支援センター、スクールカウンセラー、教育委員会、弁護士などから必要に応じて協力をいただく。
⑤担任の支援の中心は、学年主任があたり、基本的に解決するまで継続する。
⑥すべての教職員は、一丸となって騒乱状態の担任を支えるために努力し、水をさすような発言、態度は厳に慎む。

【いじめ発見・対応システムの導入を行ってのまとめ】

現在では、「いじめ発見・対応システム」実施の後任者によって、さらに、改善されたシステムが実施されている。
しかし、改良は比較的できるが、導入する際には、大きな抵抗があるものである。しかし、1つ1つ誠実に、「みんなを救うためのシステムである」ことを具体的に文書化して伝えていけば、いかなる立場でも必ず導入できる。
崩壊寸前の学校を次々と策を打って立て直していった長谷川博之氏は次のように述べている。

「変える」と言うのは膨大なエネルギーを要する。人は、変化を怖れるからである。
一時的に摩擦は生まれるかもしれない。でも、いずれ必ず分かってくださることは殆どだ。
『同じて和せず』の組織では何も改善しない。『和して同ぜず』の組織をつくっていくことが大切だ。(文責:筆者)


0回すごい!ボタンが押されました

コメント

※コメントを書き込むためには、ログインをお願いします。
New TOSSランド