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TOSSランドNo: 1839722 更新:2013年08月19日

【長谷川博之氏構想追試】憧れをもたせることで、質の高い表現を要求できる


【長谷川博之氏構想追試】憧れをもたせることで、質の高い表現を要求できる

 長谷川実践を意識した行事指導では、「日常」というキーワードが必須条件である。
 また、特別活動の観点から、いかに、教師からの単なる押し付けではなく、放任はしないが、子供たちの自主的活動を引き出すかという点も外せない。
 5年生27名のクラスで、夏休み明けから冬休みまで(旧2学期)の行事を通して心の成長を指導していった実践である。

1.日常を高める趣意説明

 夏休みが終わった初日に、秋の行事群について1つ1つの目当てと意味を道徳の授業の中で確認した。

①自然体験教室     : 1人の仲間外しを出さず、本気で参加し、自分の役割を果たす。
②学校公開日      : 普段通りの姿を見られても恥ずかしくないように日常生活の質を向上させていく。
③就学時健診手伝い  : 高学年として自覚し、○○小の「顔」として恥ずかしくない新入生の接遇をする。
④連合音楽会      : ①,②,③の総結集として、聞いているお客様が感動してくれる演奏をする。

 これは、勤務校の行事を確認して、それに合わせて指導していきたい。

2.具体的な指導で、憧れを持たせる

①音楽専科の言葉を子供たちに「伝わる言葉」に言いかえてやる

 この年、5年生は、連合音楽会に出場することになっていた。これを12月までの「山」と設定した。
 音楽専科の先生が、「もっとやさしく」「もっと弱く」「テンポが合ってないよ!!」などの指示が出た時に、子供たちに優しく噛み砕いて、具体的な奏法を子供たちに教えた。
 具体的な奏法を知らない子供たちは、「強くしなさい」「弱くしなさい」と言われてもできないことが多かった。
 そこで、スネアドラムは、弱く演奏したいなら、小太鼓の叩く位置を変えたり、バチを振り上げる高さを変えたりして強弱を調整する方法を教えた。
 専科が「もっと、曲に強弱をつけなさい!!」と要求をしている時は、打楽器群の子供達に、以上の様な強弱の表現の演奏法を、指示の合間の一瞬で少しずつ繰り返し指導した。ほんの2~3秒程度の補助指示であった。

②「伝わる言葉」に言いかえて具体的に指導した効果

 このように補助指導をしていくとあっという間に演奏に表情が付いてきた。
 合奏では、打楽器は、料理でいえば、素材に、塩胡椒をするようなもので、打楽器群の演奏技法があがると、全体がピリッと引き締まる効果がある。打楽器群を中心に補助していくと、効果は高い。
 一番激変したスネアドラムの子に、「○○くん、センスあるね!」と褒めた。
 指示されたことを子供たちができるようになることで、達成感を与えていくことが大切である。

③学級活動の時間を利用して表現の楽しさを味わわせる

 その年の合奏曲は、ラテンの音楽であった。
 しかし、時間の限られた学年練習の時間では、ラテンのリズムを楽しむ余裕はなかった。
 そこで、クラスの子供達には、学級活動で、固さをぶっこわす指導をした。

【学級活動の中での遊び】

 1度演奏させると、どうしても訓練が中心の学年練習のように、実につまらなそうに下を向いて必死に吹いている。
 そこで、次の様に指示を出した。

指示1:

「この曲ってね。南アメリカ辺りで、もの凄く太ったおばさんたちが、脂肪をぶるんぶるんさせて踊るようなラテンという音楽なんだ。だからね。こんな風に(子供たちの暗い演奏の真似)演奏してちゃダメ、暗い(子供笑)!!
いいか~?間違っても、デタラメでも構わないながら、踊れ!(子供ビックリ!)踊り狂ってしまえ~!!
全員起立!!

 子供たちがビックリしているのを無視して、いきなり演奏を初めてしまう。やんちゃ坊主たちは、目をキラキラと輝かせている。勿論、私も指揮をしながら、踊りまくる。
 やんちゃくんたちは、席を立ち歩き、曲に合わせて動きまわり、腰をピョコピョコ振りながら演奏していた。
 彼らが私の指示に最も忠実に行動したので、メチャメチャに褒めた。
 ラテン打楽器の子供たちも、コンガやタンバリンを叩きながら、体中で叩いていた。
 踊り狂う所と、前奏や、中間部の夜の街を表現した大人しい部分は、子供たち自身が区別をして、教えなくても分けて演奏していた。
 それまで、漫然と演奏していたのが、ハッキリと両者の表現に差を付けることができた。
 結果、演奏はミスだらけのボロボロだが、子供たちは、演奏後、汗をダラダラに掻きながら、踊りまくっていた。演奏後、「うわぁ、メッチャ脇汗かいた!!」とお互いに汗の量を見せ合って喜んでいた。
 しかし、心が解放された演奏は、間違いだらけでも、この曲に合った演奏になっていた。

 これで、かなり「らしく」なった。
 やはり、楽しそうにニコニコ演奏していないと、ラテン音楽らしくない。

④理想の姿を映像付き音付きでイメージを持たせる

 一体どのように身体全体を使って表現すればよいのか。本気で演奏するとはどのようにすることなのか。言葉だけでは通じない。具体的な姿を見なければ分からない。
 そこで、勤務なさった小学校の吹奏楽部全てを文部科学大臣奨励賞(日本一)に導いた田川伸一郎先生の30年間の指導の軌跡を映したDVDを見せた。

未来へのファンファーレ/田川伸一郎 [DVD] (ブレーン株式会社)

 この中から小学校吹奏楽演奏の金字塔とも言えるA.リードの「エル・カミ―ノ・レアル」の演奏を視聴させた。この演奏は、当時のTBSこども音楽コンクールの審査員が全員満点を付けたという伝説の演奏である。子供達の目が点になった。「すげぇ~…。」ため息まじりの歓声がやんちゃ坊主たちから上がった。
 この演奏から、すぐに自分達の演奏に取り入れられるところを指名なし発表させた。

①全員がすごい集中力で演奏している
②演奏の時の姿勢がすごくいい
③指揮を見て演奏している
④休んでいる人も、だらけず音楽にのっている
⑤吹いている人も打楽器を演奏している人も全身で演奏している
⑥動きにムダが無くて、キビキビしている。
⑦お互いにアイコンタクトをして、ずれないように合わせている

 これらが、瞬時に指名なしで出てきた。
 クラスの打楽器群担当の子供が殆ど全身を動かしてリズムにのりながら演奏しているが、他の子も真似する子が現れ始めました。
 他クラスの先生にも、「あれはかわいい!!」と、かなり好評であった。
 高学年であるから、「なぜ、音楽に合わせて身体を動かす必要があるのか?」「なぜ、お休みのところなのに、音楽にのっている必要があるのか?」1つ1つの行動への趣意説明が必要であることが分かった。

⑤「憧れをもたせる」長谷川実践の想像追試

 日本一の小学生の演奏DVDを見せたもう1つの効果が出てきた。
 音楽専科が指示している時、どうしても聴けない子がいる。
 DVDを見せたクラスの子には、「人を感動させる演奏を目指している人がそんなことするかな?」と声をかければ、一発で直せるようになった。
 それほどまでに「ああいう風に演奏したいな」、「こう表現できたらいい」というような「憧れ」が持つ力は大きい。それを具体的に示してくれる映像はすごい力をもっている。
 長谷川先生の場合は、長谷川学級の先輩方の合唱の映像を見せているのではないかと思っている。
 強烈な憧れはすべての原動力になる。

3.長谷川実践を意識した行事指導をした子供の変化

①普段から「表現をすること」を恥ずかしがらないようになった
ア、学級会音楽の時間

 連合音楽会の学年練習の合間に、余裕があったので、新しい曲を歌いたいと子供たちが言いだした。そこで、まだ、当時、範唱CDも発売されていない新曲「かけがえのないこと」(若松歓作詞・作曲)に取り組んだ。
 一通り、音取りをした後、まずウォーミングアップを図った。
 次に、局面の限定。
 表現をさせるのは、出だしの1フレーズ「水平線に 浮かぶ夕陽が」(4小節)の部分だけとした。

1.全員で1フレーズだけ歌う
2.号車ごとに、1フレーズだけ歌う
3.1人ずつ指名して歌う すべて、褒める。声は絶対にけなしてはいけない。
4.希望者を募って、やりたい子から、前で歌う。

 子供たちがどんどん歌って行って、個別評定を重ねているうちに、ミュージカルの様に動作を付けて表現する子が現れる。
 思いっきり褒めると、動作をつけることも拡がっていった。
 「男子は、特定の女子を、女子は、特定の男子を見つめて身ぶりをつけて歌いなさい。」と言うと、「えぇ!?」と大騒ぎをしながらもやっていた。
 そのうち、「椅子を使っていいですか?」「小道具を使っていいですか?」という質問が出てきた。
 たった4小節間、わずか5秒ほどのフレーズで実に多様で、面白い表現が続く。子供たちは終始、笑顔や笑い声が絶えなかった。歌っている子もニコニコとして、拍手が自然に起きると、指揮をして、「いいとも」のタモリのように、「チャ、チャチャチャ」と締めていた。
 初めは躊躇している子供たちだが、次第に、隙間なく挑戦者が続くようになる。最後は、男子に釣られて、女子も挑戦し始めた。
 5年生の後半期の子供としてはなかなか見られない実態だと思う。1時間中、ずっと飽きずに取り組んでいた。

イ、「白波五人男」の朗読

 国語で暗唱の授業をした時である。「白波五人男」の名台詞の最後に有名な次のフレーズがある。

弁天小僧菊之介たぁ おれがことだ!!

 これも局面の限定。ここだけ取りだして、前で1人でやりたい人を募った。すると、次から次へと出てくる。
 声の大きさを個別評定していたのだが、途中から、勝手に、「弁天小僧菊之介たぁ!」の後で片足を用意した椅子の上にダンッと置いて、手は「見栄」を張ってポーズを取りだしたり、自由なポーズを取ったりする子が現れると、「やっていいんですか?」と言って、前に出る子が女子も含めてみんなやりだした。


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