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TOSSランドNo: 2098107 更新:2013年08月17日

斎藤茂吉の短歌を検討する。


1 みちのくの

次の短歌を視写させて、音読練習をさせる。

A みちのくの母のいのちをひと目見んひと目見んとぞただにいそげる
  斎藤茂吉

発問1:

「みちのく」とは、何ですか。

 東北とちがうかな?」と言っている子もいた。しかし、自信がなさそうなので、全員が辞書を引いてみることにした。
 辞書には、昔の地名が載っていた。
 そして、今の「東北地方」のことだとわかったが、もっとわかったことがあった。
 「道の奥」の約だということ。
 「みちのく」を「陸奥」と書くこともわかった。この短歌が例文として載っている辞書もあった。

発問2:

母はどういう状態ですか。

指示1:

ノートに書きなさい。

 子どもたちは次のように言った。
・「ただにいそげる」と書いてあるから、一心に急いでいることと思う。 そんなふうに行かなくてはならないのだから、かなり重い病気だと考える。
・「いのちを一目見ん」だから、生きている姿を見られないかもしれない くらい。死にそうな状態。
 重い病気になっているということがわかった。

発問3:

話者は、今どこにいますか。 ア東北 イ東京

指示2:

ノートに書きなさい。

『「みちのく」以外の場所の例として東京です』と補足した。

 みんな「イ」の東京を選んだ。次のような理由からだ。   
・もし、東北ならわざわざ「みちのくの」とは言わないだろうから。
・もし、近くにいるのだったら「ひと目見ん」とは言わないだろう。
 母を見ることができない場所にいると思う。

 もし○○なら、△△だから、~
 このように「もし」を使って考えるとよいと誉めた。

2 その他3首

説明1:

 これ以外にも、斎藤茂吉さんは、お母さんに関係することを詠んだ短歌がたくさんあります。
 その中から3つだけ書きますから、視写しなさい。
 □や□□は、字がそれぞれ1字、2字ぬいてあることです。

B のど□き玄鳥ふたつ屋梁にいて足乳根の母は死にたまふなり

玄鳥(つばめ)
屋梁(はり)
足乳根(たらちね)

C 死に近き母に添寝のしんしんと遠田のかはず□に聞こゆる

添寝(そいね)
遠田(とおだ)

D 寂しさに堪へて分け入る山かげに□□と通草の花ちりにけり

堪へて(たへて)
通草(あけび)

 板書するとき、上の左に書いた漢字の読み仮名も書いておいた。
 視写をし終わった子から音読練習をさせる。
 全員が視写した後、漢字の読み方と言葉の説明をした。

 

説明2:

足乳根(たらちね)は、母にかかる枕詞(まくらことば)です。「あしび きのやまどりの」というときの「あしびきの」と同じ役割。意味はありませ ん。

3 4首の順序を問う

発問4:

A(みちのくの)からDの短歌はどんな順序で詠まれましたか。

指示3:

古い順に番号を書きなさい。

 発表させると3種類の考えが出た。
 けれども、次のような意見でまとまっていった。
・「死にたまふなり」とBで言っていて、その後、「添寝」をしたり「一目見ん」と言うのはおかしい。(×B→A、×B→C)
・「死」んでから、「寂しい」のだから、「死」ぬ前に寂しいということ はない。(×D→B、○B→D)
・「みちのくの」ではまだ、東北の母のいるところにいないのだから、その前に「添寝」をできるはずがない。(×C→A)
・「死に近き」と言っているのだから、まだ「死」んでいない。
 「死に近き」→「死にたまふ」となる。(○C→B)
 というようなことで、〈A⇒C⇒B⇒D〉が正解となった。

 それにしても、「添寝」が何か知らない子がいて、その子は「辞書にも載っていない」。他の子が辞書をひいて「寝ている人のそばによりそってねること」と教えてもらっていた。

4 イメージ語を問う

 空欄は,これらの短歌にとって,重要なイメージ語である。 

発問5:

□や□□には、どんな言葉が入りますか。

指示4:

ノートに書きなさい。

 『これはむずかしい。想像力と対比の力を応用せよ』
 確かに子どもたちにはむずかしい。だから、問答で進めた。

B のど□き玄鳥ふたつ屋梁にいて足乳根の母は死にたまふなり

『「のど乾き」と書いている子がいました。そうかもしれないです』
『□き とは昔の言い方で、今は □い と言います』
と言ったら、「ああ、違うなあ」

『色です』とヒントを出して、口を開くまねをしたら「赤」とわかった。

発問6:

この「赤」と対比されている色は?

 『ここには直接書かれていないが、死の色って何だろう』
 「黒」
 『よくわかった。赤←→黒です。つばめの色も黒だね』

C 死に近き母に添寝のしんしんと遠田のかはず□に聞こゆる

 「声」「音」「耳」
 『なるほど。蛙の鳴き声が、声のように聞こえる。いいですねえ』
 『音とか、耳とか。これは、まともですね。まともなのは、歌人は使わない』

発問7:

天と地のどちらかだったら、どちらがいいだろう。

 全員「天」がいいと。
 『ここは、死 と関係のある言葉ですね。だから、「天」が入る。天から近づいてくるというイメージでしょうか』

D 寂しさに堪へて分け入る山かげに□□と通草の花ちりにけり

発問8:

これも色です。通草(あけび)の花の色って何か。

 辞書で調べたり、図鑑を見たりしている。辞書には載っているのと載っていないのがあった。
 後ろのロッカーの上においてある学研の『花』という図鑑にはなんと載っていなかった。
 「紫と書いてあった」「暗い紫とある」
 『むらさきと ではちょっと合いませんねえ』

説明3:

ここも、寂しいとか死とかと関係のある色です。

 「黒」
 『黒。黒なんだ?』
 「黒々」『そうだ。よくわかった』

説明4:

ちる という言葉も、死と関係ありますね。短歌の言葉というのは関係の糸でむすばれているんです

 以上で授業を終えた。


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