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TOSSランドNo: 1216102 更新:2013年08月16日

教育技術の法則化の価値


 「体育科教育」(大修館書店)の2月号は、「体育の授業と教授技術再考」という特集である。教育技術を取り上げ、特集のねらいの中で次のように述べている。

 教育技術の一環として体育授業の法則化が提唱されている。法則化体育は「誰もが簡単に授業に取り組めるようにした」と評価される半面、「新しい教育への創造が読み取れない」という批判もある。実践現場において無数の事実を生み出し、それを累積していく作業の重要性は誰もが認めており、法則化体育がとかく権威的な理論に左右されやすい教育界に一石を投じた意味は大きい。しかし、教育の本質は探求ということであるとすれば、体育授業に教授学的原則は立てられても完全なマニュアルはできないともいえるだろう。

 教育技術を全面的に取り上げ、論ぜられている。体育の雑誌で、教育技術についてこれだけの方々が論じているのは少ない。ぜひ、読んでいただきたい。

 すぐれた教授技術とは………………………藤岡信勝
 体育授業と教授技術再考……………………高橋健夫
 体育教授学入門………………………………阪田尚彦
 体育の科学と体育授業の科学………………佐藤 裕
 体育授業の法則化……………………………根本正雄
 法則化体育の周辺……………………………山本貞美
 体育授業研究のこれからの課題……………岡出美則

【授業づくりの筋道を示す】

 これらの論文の中で、法則化(TOSS)体育について直接述べているのは山本貞美氏である。「法則化体育の周辺」ということで、法則化体育のプラス面とマイナス面について具体的に述べている。第三者の目から客観的に法則化(TOSS)体育の分析をしてくれている。

  ◆ プラス面 ◆
 ・情報量が多く(出版物や通信など)わかりやすい表現なので体育の指導に自信のない教師にも影響力が大である。
 ・気楽に発表する場、機会があり原稿を書く中で自分自身を成長させることができる。それに、全国の多くの仲間とツ-ウェイでき、手紙のやり取りが可能になり知り合った仲間が増えたこと。
 ・すぐ使え指導技術も分かりやすい。
 ・追試により、効果があがったかどうかも把握しやすい。
 ・授業を具体的に(細かく)記録するようになった。(法則化論文を書きたいという意識があるから)
 ・教育研究の世界に「上達論」の考え方を持ち込んだ。
 ・教育が具体的に、そして明確に論ぜられるようになってきた。事実(授業)に即した具体的な論議ができるから。

これらの中で山本貞美氏は次の二点を評価している。

 1.「誰もが簡単に授業に取り組めるようにした」こと
 2.「書く習慣」をつくったこと

 山本貞美氏は、「授業記録・実践記録を書く」中で「授業力向上につながり、いつの間にか書く習慣を形成する」という。
 書くことが授業力向上につながっているという分析には、私も賛成である。法則化体育が何故これだけ全国の若い教師に支持されたのか。
 体育の目的論、内容論、方法論の中に授業論を持ち込んだからである。体育の目的、内容、方法についてはすでに多くの方が書いている。
 しかし、若い教師や体育のにがてな教師には難しく、授業に生かすことが出来なかった。
 「教育技術の共有化」をするためには、追試の出来る論文が必要になる。他に伝わる内容にするためには、どんな授業づくりをしたらよいのかを示さないと分からない。
 今までのように、体育の目的、内容、方法を一般的に述べていたのでは、追試ができない。どんな言葉で指導して、子供はどのように反応して、どういう授業になったのかが示された時、追試が可能になる。
 法則化論文には、授業作りの筋道が述べられているのである。だから分かりやすく、誰もが簡単に授業に取り組めるようになったのである。
 法則化(TOSS)体育の3つのキーワードも授業づくりという視点があって生まれたものである。

 1 場づくり
 2 発問・指示
 3 テクニカルポイント

 追試ができるための条件を3つに集約させたのである。この3つがあるから、授業分析ができ、自分で授業を向上させていくことができる。
 法則化(TOSS)体育は授業づくりをどうするかという問題意識を根底に持っていることが、今までの体育と違うのである。

【法則化(TOSS)体育は授業の法則化を目指す】

マイナス面として、次のような点があるという。

  ◆ マイナス面 ◆
 1.「誰もが簡単に授業に取り組めるようにした」こと
 2.「新しい教育への創造」が読み取れないこと
 3.「心の教育が希薄」であること

 「誰もが簡単に授業に取り組めるようにした」ことは、逆にいうと「新しい教育への創造」の欠如につながるという。
 山本貞美氏は法則化(TOSS)体育を理解して下さり、評価をしてくれている。上のマイナス面は一般的に言われていることであり、次のような批判にもつながっている。

 法則化体育の内容を見ると、実践面・研究面においてこれといった新しい提案はないように思う。その大半が、今までの多くの体育関係者が研究してきたことを誰にでも分かりやすく書き直しているだけにすぎない。

 法則化(TOSS)体育は、「誰にでも分かりやすく書き直しているだけ」ではない。今までの体育の研究にはなかった「体育授業の法則化」を提唱している。
 どんな条件があれば授業の法則化が出来るのか。「体育科教育」2月号のの拙論「授業の法則化」を読んでいただきたい。詳しくは、「現代教育科学」(明治図書)5月号に述べてある。
 体育授業の法則化 というと画一的なイメージを持つ。個性のない、機械的な授業である。真剣に授業作りをしたことのない人の考えである。
 すぐれた授業には、うまくいく原理・原則がある。その原理・原則を取り出し、自分の授業に生かしてよりよい授業を作り出していこうというのが私のいう「授業の法則化」である。「新しい教育への創造」がなければできない仕事である。
 よい授業の原理・原則にはどのような内容があり、どのような段階を踏んでいけばよいのかについて論じられて来なかった。

 法則化体育によって少しずつ明らかにされつつある。多くの人の力によって、形のあるものにしていきたいと願っている。
 山本貞美氏は、「10分間模擬授業 」についても評価をしてくれている。この実践はすでに、シ-デントップの「体育の教授技術」(大修館書店)に述べられている。
 授業の断面を切り、分析していくのである。山本貞美氏は学生との実践から次のように述べている。

 このように、10分間に凝縮するために、何を教えるをはっきりさせる。そのためには、何が必要かを求められる。他の授業者の時もその姿勢で参加する。
  [略]
 法則授業の教授技術を高めるため有効な手段であると評価できる。

 10分間に限定することによって、教育技術が見えてくるのである。体育授業の法則化をするにあたって、有効な方法である。
 法則化(TOSS)体育は創造的な実践と研究を目指す。追試の出来る授業を作るために、今までの教材、内容の体系化を図っていく。

【法則化(TOSS)体育が体育の実践・研究にもたらしたもの】

 山本貞美氏は、法則化(TOSS)体育の役割を高く評価してくれている。

 法則化体育は授業研究に新しい方向を示唆したことで評価される。体育に限らず、他も同じだが旧態依然とした昔ながらの「あるべき論」に警鐘を鳴らした点で大いに貢献した。
 教育の実践現場では、とかく権威的な理論に左右されやすい。特に外国の文献に弱い。そのような風潮に対して法則化運動は、大胆に挑戦していった。とにかくこうすれば、子供は動くのですと、事実を集めていったことは、評価すべきである。授業研究の本来の姿を求めたのである。

 法則化(TOSS)体育の神髄は、子供が変わるということである。子供が変わるには、教育技術が必要なのである。
 子供が変わる教育技術をたくさん集めて体系化していくのが法則化運動の原点である。どんなに立派なことをいっても授業が良くならなければ価値はない。
 一時間の授業の法則化ができる条件として、次の4つの指導技術にまとめた。

 1.授業を成立させる片々の指導技術
 2.出来るようにさせる指導技術
 3.授業を組み立てる指導技術
 4.子供の反応に応じる対応の指導技術

 これらの4つの指導技術は、文献から学んだのではない。私の授業の経験や優れた授業者から学んだものである。
 自分が本当に納得した理論であり、子供から学んだものである。優れた授業を追試する中で発見した指導技術である。
 私達実践者は、もっと自信をもっていい。実践の中からつかんだ教育技術には、子供を動かす原理・原則がある。
 どんなに小さな事実でもいい。子供が変わった事実を報告し合うことが、法則化(TOSS)体育の使命なのである。
 そういう意味で「法則化体育通信」、「楽しい体育の授業」の果たす役割は大きい。全国で行われている授業研究の成果を発表し、まとめていく場になっているからである。
 法則化論文にまとめて送って欲しい。優れた論文は掲載していく。また、書くサ-クルで論文検討をしていって欲しい。
 山本貞美氏のいうように、論文を書くことが授業の腕を上げることになるからである。多くの事実を集める中で、教育技術の法則化ができていく。そうなったとき、「法則化体育の内容を見ると、実践面・研究面においてこれといった新しい提案はないように思う」などという批判は、なくなるであろう。


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