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TOSSランドNo: 1216049 更新:2013年08月16日

この授業にはこんな「授業形態」を組み合わせよう


1.評価を通して個別活動をさせる

 1年生のT先生の図工の授業を参観した。図工で「画用紙の変身」という教材であった。
 画用紙を手でちぎって、自分の好きな物を作っていくのである。
 動物を作っている子供、乗り物を作っている子供、建物を作っている子供といろいろあった。
 T先生の指導で感心したのは、次の二点である。

 1.机を合わせて、グループ学習を行っていた。
 2.出来上がった作品を模造紙に張って、黒板に掲示していた

【グループ活動で効果のある「個別活動」の方法】

 図工の学習では、グループ活動から入っていくのがよい。
 教科によって机の並べ方は違ってくるが、図工では一斉に前を向くのではなく、グループ学習の形態で行うのである。
 特に図工では道具を使う。1年生はハサミ、のり、色鉛筆などを使っていた。一人の机では狭く、落ちそうになっている。
 グループで机が合わせてあれば落ちる心配がない。しかも画用紙を切っているので、切端が出てくる。それらも床に落ちないので、処理が早くできる
 一番よいのは、作品をお互いに見合うことができることである。全然かきかたの分からない子供もいる。そういう子供にとって、友達の絵を見ることは大変参考になる。
 グループ活動の中で、個別の活動をどう指導していったらよいのであろうか。
 一つの方法は友達のやり方を見させ同じようにさせることである。
 「できない人は、友達の絵を真似してごらん」と指示して、同じように作業をさせる。
 グループ活動している中で、友達のよいところを学ばせていく。
 二つ目はできた作品の扱いである。普通は黒板に張ってしまう。
 「できた人は黒板に張りますから前に持ってきなさい。」と言って、できた順番に張っていく。
 ところが、T先生は紺の厚い模造紙を2枚黒板に張っておかれた。その模造紙の上に作品を張っていった。

 1.紺の模造紙のほうが作品が映える。
 2.できた作品をそのまま掲示することができる。
 3.張る前に評価して、もう一度個別活動をさせる。

 特に3番目の指導に効果的である。
 子供たちは、作品を張ってもらおうとして先生のところに持ってきた。そこで個別活動の指導を行っていた。
 「もう少し、色をぬるといいわね」
 「形を大きくさせるともっと立派になるね」
 指導された子供は、もう一度自分の机に行き直してくる。
 ちょっとした指導の工夫であるが、子供にとっては大きな違いである。グループ活動の中で互いに学び合いながら、最後の段階で教師が評価して個別活動をさせるのである。
 「T先生、今日のグループ学習とてもよかったですよ。図工はいつもグループで行っているんですか。模造紙に張る前に個別に活動させていたのもとてもよい方法ですね。ご自分で考えられたのですか」
 「ええ、張っておけば、すぐに掲示できますのでいつもこのようにしています。」
 黒板に直接張ると、その時間が終わればすぐに移動させなければならないが、模造紙に張ってあればそのまま掲示できるので手間が省ける。しかも台紙に張るので見映えもよい。
 グループ活動と個別活動を組み合わせることによって、大きな教育効果を上げることができる。

2.体験活動の中で個別活動をさせる

 本校には、中国から引き上げてきた子女が通学している。普通学級で生活しながら、特別に設けられた教室に通級して日本語を学んでいる。
 特別に設けられた学級をコスモス学級といい、K先生が日本語の話せない子供への指導を行っている。
 授業を参観する機会があった。

 本時は3人の子供への指導で、最初にビデオを見せた。「がっこうたんけん」ということで、3人の子供が学校の中を歩きながら日本語を学んでいくようになっている。

 保健室の画面が出た。
 「ここはどこですか」
 「保健室です」
 「これは何ですか」
 「ベッドです」
 「これは何ですか」
 「運動場です」
 「これは何と言いますか」
 「校門です」
 「ここは何でしょう」
 画面には駐車場が出ていた。子供は答えられず、沈黙の時間があった。するとK先生は画面をストップさせ、中国語で説明したあと日本語で次のように話した。
 「駐車場と言います。言ってみましょう」
 「駐車場、駐車場、駐車場」
 「これは何ですか」
 「給食室です」
 「Mちゃん、給食室と言ってご覧」
 「給食室」
 給食室と言えなかったMちゃんに、復唱させた。
 この日本語指導はすぐれている。
 本時の指導では体験活動が始めから終わりまでなされている。「がっこうたんけん」で自分が歩いて見てきたものについて「これは何ですか」と聞いている。
 国語の本に出ているものではないので、子供にとっては興味、意欲、関心がある内容である。自分の生活に必要な事柄なので、子供は熱心に学習している。
 グループ活動で自分の足で歩き、自分の目で見て学習できるように教材が工夫されている。。
 頭だけの語学学習ではなく、身体を通してのグループ活動がなされ、子供は楽しみながら日本語の習得ができるようになっていた。
 日本語指導というと個別に指導しがちであるが、K先生はグループ活動から入り個別活動に向かっている。
 3人で学校の中を歩きながら、そこで出合った物を通して日本語の学習をしている。
 しかもグループで活動をしながら、うまく言えなかったMちゃんにはもう一度言わせ、個別活動も取り入れているのである。
 生活科の授業にも活用できる。

3.ゲームをの中で個別活動をさせる

 後半の授業で、グループ活動の中で個別活動がなされていた場面がもう一つ見られた。

 「復習を終わって、今日はこういう勉強をします。『あります』と『います』の使い方の勉強をします。皆さんのおうちでもあるとかいるとか言うと思います」
 「それでは、もう一度ビデオを見ます」と日本語で言った後、中国語で説明した。
 「わかりましたか」
 「はい」
 保健室で3人がいるビデオを見て、
 「3人がいます。ちょっと言ってみましょうか」
 「3人がいます」
 「Mちゃん、これ何ですか」
 「ベッドです」
 「ベッドがあります。いっしょに言ってみましょう」
 「ベッドがあります。ベッドがあります。ベッドがあります」
 車を見て、
 「車があります」
 「ドライモンがありますか、いますか、どちらですか」
 「あります」と子供は答えた。
 「どちらでもいいですが、生きていると考え、いますと言います」
 (ボ-ルを見て)「ボ-ルがあります」
 (ビルを見て)「これは何ですか。Aちゃん、どうですか。高い建物を日本では?」
 「マンション」
 「マンションはどちらですか」
 「マンションがあります」
 (池を見て) 「魚がいます」
 「何に対して『あります』『います』と使いますか」
 「『います』は動くものです」
 「そうですね。動くものに使います
 「『あります』は動かないものに使います」
 「そうですね」
 「Mちゃんはうつす。(ノートに写す)Rちゃんはこれをやってください。ここから選びます」
 個別に作業が始まった。それぞれの課題に応じて学習していった。
 5分後K先生から指示が出された。
 「机の上の物をしまってください。今からゲームをします。ジャンケンは出来ますか。これはチョキ、グ-、パジャンケンポン、どちらが勝ちましたか」
 「ぐ-」
 一人ずつ教師とジャンケンをして、やり方を確認した。
 「ジャンケンをして、勝った人が好きな札を選びます。勝った人はそれが『います』『あります』と言います。一回やってみましょう。(メダカの絵を見せて)メダカがいますとスッと言わなければなりません。言えたら自分のものです。3人でジャンケンします
 Aちゃんがジャンケンに勝った。「はとがいます」といって、カードをもらった。

 Rちゃん「さかながいます」
 Aちゃん「おにがいます」
 Mちゃん「ねこがいます」
 Aちゃん「自転車があります」
 Mちゃん「馬がいます」
 Rちゃん「えんぴつがあります」

 この指導場面も見事である。ゲームをグループで行っている中で、個別活動を取り入れている。
 ジャンケンに勝っただけでは、カ-ドはもらえないのである。正しい日本語で答えられてカードが自分の物になる仕組みになっている。
 グループ活動を行いながら、個別活動がなされるようにしくんでいる。
 語学の基本は繰り返しである。繰り返しもグループ活動と個別活動とを組み合わせる中で、飽きないように工夫されていた。
 これは、社会科や理科の学習にも応用できる方法である。


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