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TOSSランドNo: 2310257 更新:2013年08月16日

目かくしの原則


1.教えたいことを直接教えない

 子供をまとめ、動かしていく原則に目かくしの原則がある。

【目かくしの原則】 教えたいことを直接指導しない。

船橋市立薬円台南小学校の得居不二三氏は、音楽のリコーダーの指導を次のように行ったという。


指示1:

先生の真似をしなさい。

 教師は、指使いが、全員に見えるように、リコ-ダ-を顔の前に立てながら、ゆっくり、「シ-ラ-ソ-」と言いながら、指を動かす。(以後、児童が吹く時は、このように、必ずやって見せる。)

教師 「シーラーソー」 はい
   「シーラーソー」

指示2:

とっても上手にできました。次は、下から吹きます。

教師 「シーラーソー」 はい
児童 「シーラーソー」

 「うまい !」とか「すごい!」などとタイミングよく言葉かけをする。
 子供たちは、なーんだ、簡単だよという顔をして、吹く。
 これを、「シーラーソー、はい、シーラーソー、はい、」などと、続けて吹かせながら、だんだんテンポを速めていく。
 5回ほど繰り返し、慣れてきた所で、今度は、「シラソラシシシー」と吹き、すぐに真似させる。

発問1:

どこかで、聞いたことはありませんか。何という曲でしょう。

 5~6人が、さっと手を挙げる。「はい、古谷さん。」「メリーさんの羊です。」


 初めから一つの曲を示して練習させると、できる子供とできない子供の差が大きくなってしまう。
 そこで、得居不二夫氏はいきなり一つの曲を与えないで、音楽遊びを行ったのである。
 子供は楽しく遊んでいるうちに、フレーズを覚えていく。
 初めから楽譜を見せて、「この楽譜を見て吹けるように練習しなさい。」というと吹けない子供には抵抗がある。
 ところが、小さく細かくしたフレーズを楽しく遊びながら活動させると、自然に覚えてしまうのである。
 課題を小さくして、子供が食べやすいように砕いて与えるのである。
 子供には具体的な活動なので、自主的に活動していく。
 初めから教えたいことを指導しないで、間接的に指導していくと子供は動く。

2.側方倒立回転の指導

 目かくしの原則が大事なのは音楽ばかりでなく、体育の指導も同じである。
 1992年2月9日、滋賀県守山市立吉身小学校で法則化体育の上達講座が開かれた。
 私は、小川宏氏と立ち合い授業を行い、4年2組の子供たちと授業をした。
 まったく会ったこともない初対面の学級で授業をするのである。
 授業をする前は子供をまとめ、動かせるか大変不安であった。
 子供がどんな反応をするのか、実態がわからないからである。
 側方倒立回転の指導をした。子供は意欲的に活動し楽しい授業になった。
 全員、側方倒立回転ができるようになり目標を達成することができた。
 参観されていた高橋健夫氏からは、良い授業であったというお誉めの言葉をいただいた。
 一時間の飛び込みの授業が成立したのである。初めて会った子供たちと授業ができたのは、目かくしの原則を活用したからである。
 授業をする前に担任の小川宏氏には、次の動き作りをお願いしておいた。

 1.カエル倒立 10秒
 2.足打ち跳び 3回
 3.手押し車 10歩
 4.壁倒立 10秒

 側方倒立回転ができるための基礎技能作りである。
 これらの動きができていれば、側方倒立回転はすぐにできる。
 準備運動で、これらの動きができているかを確認していった。足打ち跳びが3回できるかを調べた。
 子供の動きを見て驚いた。ほとんどの子供ができている。数人の子供が、倒立に近い形で足打ち跳びをしている。
 倒立に近い子供に示範させた。
 「足打ち跳びをしてもらいましたが、どこが上手ですか。」
 「倒立に近い形でしています。」
 すぐに答えが出た。
 「A君のように、倒立に近い足打ち跳びが3回以上できるようにしましょう。」
 その後、足じゃんけんゲームをした。勝ったら、負けた子供の足首を持つ。負けたら両手を床に着いて手押し車をする。これを交替で行っていく。
 カエル倒立、足打ち跳び、手押し車は逆さ感覚、腕支持感覚をつけるのによい運動である。
 直接、側方倒立回転の指導をするよりもゲーム化して基礎技能を作ることが大事なのである。
 楽しく練習できるようにすると子供は夢中になって何回も練習する。
 基礎技能が身についていたために、側方倒立回転ができ、飛び込みの授業が成立したのである。
 これは、得居氏のリコーダーの指導と同じである。教えたい事を直接指導しないで小さな課題にして与えるのである。
 子供のレディネスを揃えておくと、動かしやすい。

3.応用編

 目かくしの原則は修学旅行や遠足にも応用できる。
 6年生の修学旅行で鎌倉にいった。鶴岡八幡宮を見学した後、昼食になった。
 「これから、グループごとに弁当にします。食べ終わったグループから、頼朝の墓まで見学にいっていいです。見学が終わったら、この茶店で買い物をしていて下さい。次の集合は1時30分です。」
 今までの指導は、全部学級単位の活動であった。弁当を食べる。終わったら学級毎に頼朝の墓まで見学にいく。見学の後、買物をするという順番である。
 なぜ学級毎に行ってきたのか。

 1.集団行動がしやすい。
 2.安全に活動ができる。

 集団が安全に活動できるために、教師が学級をまとめ歩いていたのである。
 学年の先生方と相談して、もっと子供の主体性を尊重することにした。目かくしの原則を活用するのである。
 教師の指導のねらいは、集団行動と安全である。これをストレートに指導すると窮屈になる。
 そこでグループごとに活動させ、一人一人の主体的な活動を促す工夫をした。

 1.グループで弁当を食べる。
 2.グループで頼朝の墓にいく。
 3.グループで買物をする。

 子供たちは活動の目的がはっきりしたので、目を輝かせて動き始めた。
 グループで行動することになったので、グループの仲間意識が高まったのである。
 「仲良く弁当を食べなさい。」
 「早く弁当を食べなさい。」
 「車に気を付けて歩きなさい。」
 「列を乱さないで、まっすぐ歩いていきなさい。」
 こういう指導をしなくても、子供たちは次の活動が分かっていたので自分たちで安全に気を付け歩いていた。
 何でも教師が指導しないとできないと思うのは間違いである。
 子供が主体的に活動できる内容と方法を工夫することによって、子供はまとまり動いていくのである。
 教えたいことを直接指導しないで、間接的に指導していくと効果が大きい。


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