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TOSSランドNo: 1142091 更新:2013年08月15日

みかんのねだんの謎を追求する


有田和正著作集・追求の鬼をつくる15「『みかんの授業』の発問・指示はこうつくる」を追試した後、一人の子が、「先生、みかんの値段はみんな同じですか」と質問した。

 私はこれを子どもたちに返した。かくてみかんの値段の謎を追求する授業が展開するようになった。

第1時

発問1:

みかんの値段はみんな同じですか。それとも違うのですか。

数人に聞いた。その後、全員に聞いた。全員違うである。

発問2:

みかんの値段は何によって決まるのでしょうか。ノートに書きなさい。

3分後、自由に発表させた。(出てきた意見はすべて板書した。)

発問3:

どれに賛成しますか。手を挙げなさい。何回挙げてもよろしい。

ア 同じ 0    イ 味  25    ウ 大きさ 27  エ 取れる場所(生産地)   4    オ 美しさ  4  カ 取れる数によって   6  キ 形  25  ク 重さ 13  ケ みかんの種類  29コ 色  18

 板書している途中に、もうすでに討論が始まっていた。

 1人の男の子が、「みかんの色は味と同じ。緑色のみかんはすっぱいし、黄色のみかんは甘いから、色で味がわかる」と言うのだ。

 これに対して、「みかんを買う時、食べるわけではないから、味はわからない。色の違いで味がわかるとは言えない」と反論。

 しかし、「ス-パ-では試食できるから買う前に食べて味がわかる」とまた反論。これを聞いていた八百屋の子が、「ス-パ-だけでなく、ただの店でも試食はできる。ぼくんちも試食できるようになってる」と助け船を出した。しばらく、このことについての意見交換が続く。決着はつかなかった。 一人の女の子が新しい考えを出した。

サ 日によってねだんが変わる

 女の子がサを板書すると、男の子2人が賛成意見を出した。

 この後、一人の子が「イ 味」に賛成する意見を言った。イについての意見が2つ続いた。

 ・みかんを作っている人は、一生懸命働いて作ってるから味がよくなる。  一生懸命作った分、味がよくなるから値段も高くなる。

 ・みかんは甘い方がおいしいから、甘いみかんは値段が高い。

 次に「ウの大きさ」の意見が出た。

 ・八百屋のおじいさんに聞いたら、大きい方が値段が高いって言ってた。 ・大きかったら、重くて実がつまってるからおいしいから値段も高い。

 これに対して、反論が出た。

 ・大きいのはおいしくない。小さいのは甘くておいしい。

 ・大きいのはおいしくないから、値段を安くする。小さいのはおいしいから値段を高くする。

 ・社会見学に行った時、おじさんが、日のよくあたる大きいみかんはおいしくないから摘果するって言ってたからおいしくない。

 次に、「エ 場所(生産地)」の意見、「愛媛のみかんはねだんが高い。有田のみかんは値段はやすい」という意見が出た。この子はみかん山を持っているおじさんに聞き取りをしてきていた。

 「オ 美しさ」の意見、

 ・社会見学の時、選果場のおじさんは、ワックスをかけるのは、皮がきれ  いだとよく売れるからと言ってました。

 この後、3人の女子が板書した。

シ 店によってねだんがちがう

 ・同じ日の同じみかんなのに、A店では350円。B店では490円だった。

 ・みかん以外の物でも、同じ物なのに店によってねだんが少し違う。だからみかんもそんなことがあると思う。

 次に「カ 取れる数」の発表。

 ・秋はみかんの数が少ないから値段が高い。冬はみかんの数が多くなるか  ら値段も安い。(自分のお母さんに聞いてきた)

 ここで1時間が終わる。学習課題とまでははっきり言わなかったが、前の時間に予告していたので、調べてきている子が数人いた。

第2時

みかんのねだんは何によって決まるのか?

と学習課題を板書した。

 この日も数人の子が調べてきていた。

 板書後すぐ、調べてきていた4人の子が前に出た。そして、前時で「ア(みかんの値段は)同じ」を次の理由で否定した。

・生協の人に聞いたけど、大きいみかんは売れないから小さいみかんと同じ 袋に入れて、小さいみかんと同じ値段で売っていると言ってた。

・(八百屋の子)おじいちゃんに聞いたら、大きいの、小さいの関係なく、100gは200円って決まってるって言ってました。

 他の子はこれについては意見を出さなかった。

 前時で、イの味とコの色は同じだと主張した子が、今度はウの大きさも同じことだと主張してきた。

 これに対して、

・大きいみかんでもおいしいみかんはある。大きさではみかんの味はわからない。

・種類によって、大きいみかんでもおいしいみかんもある。

という反論が出た。

 話し合いは、みかんの味は大きさや色で決まるのかという方向に向いていった。

 そこで、

発問4:

みかんの大きさや色で味がわかるのだろうか?

     わかる  31人     わからない  4人

 この後、討論を再開した。

<わかる派>

①みかん山へ行った時、おじさんが小さい方があまいって言ってた。

②大きいみかんは売れないから小さいみかんと同じ袋に入れて売るという意 見から考えると、大きいみかんはおいしくないから売れない。 

③夏みかんの色と温州みかんの色は違う。夏みかんはオレンジ色ですっぱい。温州みかんはだいだい色で甘い。

<わからない派>

①同じ大きさでも、甘いみかんとすっぱいみかんがある。

②同じところで作ったみかんは、大きさが違っても味は同じだと思う。産地 がちがったら味が変わるだけ。

 決着がつかずにこの時間は終わった。

第3時

学習課題「みかんのねだんは何によって決まるのか?」を板書した。

 今日は、チラシを持ってきた子が新しい意見をまず発表した。

 私は、この子が言ったことを板書でまとめた。次のようになる。 

有田産のみかん  M 15こ  490円          

            S 20こ  490円

            L 10こ  390円       Lが一番やすい

          S 10kg 2490円 Sが一番やすい

          MとSのねだんは同じ 

M 10kg  2990円

L 10kg  2990円       MとLのねだんは同じ

発問5:

このことより何がわかりますか?

・みかんの値段は大きさによって決まる。

・みかんの値段は、同じ重さなら大きさで決まる。

・みかんはあまり大きくても小さくてもよくない。

・Mの大きさの値段がもとになって、SやLの値段が決められているみたいだ。

 さらに、チラシを持ってきた子は、次の意見を出した。

・Aの店とBの店のみかんを比べると、同じ有田産なのにBの店の方が安い から、店によっても値段は違う。

・チラシを見ると、同じ店でも日によって値段が違う。

 みかんの学習にチラシがこんなに役立つとは思わなかった。

 第1時で出たアからシのことを書いた模造紙を黒板に貼って、

発問6:

このアからシについて、どれが解決しましたか?

 子どもたちは、ウの「大きさ」、クの「重さ」、サの「日によって」、シの「店によって」が解決したと発表した。

 さらに、キの「形」について、「みかんの形はみんな丸いから、キは関係ない」という意見が出て、キは除外することになった。

 この後、生協に行って新しい情報を得てきた子が発表した。

・みかんは大きさや重さと味はセットになっている。

 そこで、次の発問をした。

発問7:

みかんの重さや大きさによって、味がわかるのだろうか?

 これは第2時で出した問題と似ているが、これを解決すれば、みかんの値段と味の関係がわかるので敢えて取り上げた。

  ア わかる  30人   イ わからない  5人

発問8:

どんな方法で調べますか?調べ方をノートに書きなさい。

 5分時間を取った。次の5つが出た。

 ① 家の人に聞く。
  ② 店の人に聞く。
  ③ ス-パ-や生協の人に聞く。
  ④ みかん園の人に聞く。
  ⑤ 農協の人に聞く。
  ⑥ 選果場の人に聞く。
 ⑤⑥が新しい調べ方である。子どもたちは社会見学で、農協の隣にあった選果場を見学していた。だから⑤⑥が出たのだろう。

 ⑤⑥の方法が一番多かった。

指示1:

全員誰かに聞くことになりましたが、聞くときに気をつけなければならないことがあったら、出してください。

・あいさつをきちんとする。

・どこのだれに聞いたのか、はっきりメモしておく。

・自分の名前を言う。

・お礼の言葉を忘れない。

・聞いた日付や時間をメモしておく。

・必要であれば写真やテ-プレコ-ダ-を使う。

・行けない所は電話をする。タウンペ-ジを使う。

指示2:

まだ時間があるので調べる前に話し合いをしておきましょう。

 出た意見をまとめて紹介する。

<わからない派の主な理由>(少数派から発表した)

・味は大きさや重さではわからない。大きいのでも甘いみかんがある。

・ス-パ-のおじさんが、食べてみておいしくなかったら売らないって言ってたから、食べないとわからない。

<わかる派の主な理由>

・みかん園に行った時、おじさんが大きいのはあまりおいしくないって言ってた。

・夏みかんでも大きいからすっぱい。普通のみかんでも同じ。

 この後、アの「わかる」からイの「わからない」に変わる子が続出した。<アからイに変わった主な理由>

・糖度という甘さをはかる機械で計っているって聞いたから。

・みかん園のおじさんも初めは味がわからなかったと思う。でも何年もみかんを育てているからわかるようになった。でも一般の人にはわからない。・家にある大きなみかんを食べたら甘かった。大きさではわからない。

 結局、最終的には次のように子どもたちの考えは変わった。

 ア 味はわかる  30→3    イ 味はわからない 5→32  

 もしイなら大逆転現象となって、教室中が騒然となるだろう。

第4時

 授業が始まったら、調べてきた子どもたちが前に出て発表した。ほとんどの子がグル-プを作って調べていた。

・ス-パ-の人に聞いたら、大きさや重さでは味はわからないと言ってた。

・農協の人に電話して聞いたら、味はわからないって言ってた。

・選果場に電話して聞いたら、味はわからないって言ってた。

 発表が終わった子のうち、私は農協や選果場に電話した子に質問した。

指示3:

電話した時の感想を聞かせてください。

・タウンペ-ジで調べて電話した。とてもドキドキした。自分の名前と聞く内容を話した。とても親切に教えてくれた。もう一度電話して聞きたい。 

実は、この感想は、社会の時間の前に聞いていた。この子に頼んでみんなの前で発表してもらった。

 他の子に電話して調べるのは、そんなに難しいことではないことをわからせたかったからである。

 この後、1人の子から次の質問が出された。 

子どもからの質問1

この前、Aさんのチラシで勉強した時、産地も重さも同じで、大きさが違うMとLのみかんで値段が同じでした。大きさで味がわからないのになぜ値段を同じにできるんですか?

 これについては、

・重さが同じなら、大きいLの方が個数が少ない。だから個数が少ない分、安くして値段を同じにしているのではないか。

 これに対して、違う子が次の質問を出した。

子どもからの質問2

でもAさんのチラシで、同じ重さなのにSのみかんが、LやMのみかんと比べて500円も安かった。個数はSが一番多いはずだから、個数が少ないから安くしているというのはおかしいんじゃないですか?

 これに対して、

・それはあまくておいしいからだ。

 という意見が出た。すかさず他の子から、

・味がわからないんでしょう。(「あっ、そうか」の声)それなのに、この値段の付け方はどうなってるんだろう?

 という意見が出た。

 これに対して、ある子から次の考えが出された。

・選果場で「赤秀」とか「青秀」というランクを付けるって言ってた。(子どもたちにみかんのダンボ-ル箱の「赤秀」と書いた所を見せた)これで味がわかるんじゃないか。

・この付け方を調べたらいい。

 クラスの子で、「ぼく、和歌山のおじいちゃんのとこへ行った時、赤秀という判を押したことがある」と言う子がいた。

 「どんなみかんに押したの?」と聞くと、「おじいちゃんが押せって言ったダンボ-ル箱に押しただけ」と言う返事だった。

 そこで次の2つのことが学習課題となった。

学習課題1 赤秀とか青秀とかはどうやって決めているのか?

学習課題2 みかんの値段はどうやって決めているのか?

 ここでチャイム。この日の給食で有田のみかんが出た。

 大きいおいしいみかんだった。

 給食当番の子の勧めで、私は給食室にダンボ-ル箱をもらいに行った。

 子どもたちにその箱を見せた。「赤秀」で「L」と書いていた。これで大きくても甘くておいしいみかんがあることをどの子も納得した。

 3日後の社会の時間は、教室中に緊張感がみなぎっていた。

 11人もの子が農協か選果場に電話していた。11人全員がしたのではなく、グル-プとなって電話していた。中には、土曜日に電話して休みだった子もいた。

 ス-パ-や八百屋、青果市場で調べてきた子もいた。

 その結果は、

① 糖度で甘さを調べる。たとえば、同じようなみかん10この糖度をはかって9こぐらいのみかんがあまかったら赤秀とする。

② 美しさや虫が食ってない、きずがないという品質のよいみかんを赤秀にする。値段も高い。

③ みかんの色や形、大きさの違いでも、赤秀、青秀に分ける。

④ 新鮮さでも分ける。新鮮な方が値段が高い。

⑤ 同じみかんでも、産地によって値段が違う。有名なところのみかんは高い。

 みかんの値段の付け方には、一つの要素だけでなく、様々な要素が加味されていることを理解した。

 私は何も教えなかった。子どもたちの討論と調べ学習によって成り立った授業であった。

 最後に子どもたちの感想。

35人中、とても楽しかったが29人。楽しかったが5人。どちらでもないが1人。

とてもかしこくなったが27人。かしこくな ったが7人。どちらでもないが1人であった。


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