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TOSSランドNo: 8582971 更新:2013年08月03日

【長谷川博之氏実践の追試】5年生『光村図書』「丘の上の学校で」


【長谷川博之氏実践の追試】5年生『光村図書』「丘の上の学校で」

1.授業について

5年生『光村図書』の国語教科書の冒頭に、「丘の上の学校で」という詩文教材がある。
5年生になって、最初の学習で扱う教材だ。黄金の3日間の中で指導することも多いはずだ。
年度当初、教科書が知的に楽しく授業できれば、子供たちの「今年こそは!!」という期待値がグッとあがること、間違いなしである。
しかも、自由な教材を用意するTOSS実践よりも、教科書教材でも、こんなに楽しく学習できると分かれば、子供たちの意欲の高まり方は大きくなる。
2011年春の教え方セミナーで、長谷川博之氏が、模範授業の中で示した発問を元にして、5年生27名のクラスで追試実践をした。必ず討論が起こる。

2.実践内容

(1)教材提示

光村、5年生の国語教科の扉のページを開くと次の詩文が出てくる。

丘の上の学校で    那須貞太郎

新しい教室の窓をあけると
ゆるやかな 若葉の谷がひらき

向こうに連なる山々の間から
一そう遠い嶺もみえる

目近い山肌は
ゆたかに芽吹いて ふくらみ
点々 真紅のつつじが燃えている

あい色に遠い向こうの頂から
青澄む斑雪が
すずしいかがやきを送ってきて

ああ いく重の波のように続く山々を
麓から頂へ
すすむ季節の たしかな足どりがみえる

時おり 風がとおりすぎる
教室いっぱいに
山吹の 金の香をまきながら

(2)読み方

難しい言葉があるので、読み方を教えて、仮名をふらせる。
以下の言葉は、5年生の児童には馴染みの薄い言葉だと思われる。

「窓」「若葉」「嶺」「山肌」「真紅」「頂」
「青澄む」「斑雪」「麓」「山吹」「香」

(3)音読

説明1:

自分の読み方で、3回読んだら、座りなさい。
全員起立。

各々読み始める。
国語科の特に、小学校においての基礎学力の1つは、「音読」である。
全員が作業に入ったのを見計らって、スラスラと読める子とそうでない子を、きちんと把握しておく。
今後の指導の重要なデータとなる。
スラスラと読めない子には、適宜、ずっと入り過ぎない程度に、軽く個別指導をしていく。

詩文の場合、通常は、読み方にも詩の解釈が入ってしまうので、教師が範読したり、追い読みをしたりしない。
しかし、最初の授業なので、追い読みをしたり、一文交代読みをしたりしてもよい。

(4)一文読解風に

たっぷりと読んだ後で、次のように発問する。

発問1:

季節はいつですか?

子供たちから、「春」と返事が返って来た。

(5)国語の基礎基本の確認

「でも、理由を尋ねた時、もしも、勘や『何となく』では、国語の学習にならないのです。」
「国語の学習ですから、本文の「言葉」を根拠に考えて行くのです。」と定義づけておく。
4月だからこそ意味のある指示である。
子供たちは、国語では、言葉にこだわって授業が進んでいくのだと、この後の経験を元に理解する。
後に鍛え上げていくための極めて重要な布石である。
国語の学習である限り、本文の「言葉」にこだわるのだという国語学習の基本をきっちりと提示しておく。

(6)「春」の根拠になる言葉を探す

指示1:

「春」だという根拠になる言葉に線を引きなさい。

一斉に線を引っ張っていく。
隣同士話し合わせていってもよい。

十分作業させた後、1連ごとに訊いていく。
凡そ、次のように反応する。

第1連は、全員一致で、根拠になる言葉があると答える。
第2連は、全員一致でないと答える。
子供たちは、ここで、「ない」という答えがあることを知る。
第3~4連も、全員一致で、根拠になる言葉があると答える。
第5連は、5連で、殆どがないと答える。しかし、あると答える子もいる。
第6連は、全員一致で、根拠になる言葉があると答える。

板書は次のようになる。

<板書>
第1連 「若葉」
第2連 ない
第3連 「芽吹いて」「ふくらみ」「真紅のつつじ」「燃えている」
第4連 「青澄む斑雪」「すずしいかがやき」
第5連 (空欄にしておく)
第6連 「山吹」「金の香」

第5連は黙っていると、一部の子が「根拠になる言葉がある」と答えると、それになびいてしまう。
しかし、納得しない顔をする子が出る。
とりあえず、第6連まで、さらりとやっておく。
まとめた上で、「納得いかないという顔をしている人がいますね。」と言って、第5連の意見を改めて整理する。
そこで、次の様に発問する。

(7)討論への布石~討論へ

発問2:

『根拠になる言葉がある』という人、その理由は何ですか?

賛成派は、第5連の次の言葉を根拠にする。

「すすむ季節」
「足どりがみえる」

これらが、「春」を表しているというのである。

これは、「春」の根拠にはならないという意見も出てくる。
次の様な意見が出た。

「すすむ季節」とは、これからやってくる季節のことをいっているのであって、「春」であるという証拠にはならない。
「足どりがみえる」というのは、これからやってくる季節が、実際にやってきていることをいっているだけで、「春」であるという証拠にはならない。

両方の意見について、どれだけ、同じ意見の人がいるのか調べて、少数派から、意見を聞いて行く。
少数派を聞き終えてから、多数派の意見を聞く。
これだけで、5年生の最初の授業から、討論になる。
しかも、きちんと教科書の本文の言葉を根拠にした討論が可能である。
実際に1時間ずっと終わらない討論ができた。

(8)授業の終わり

ちなみに、「討論」は、「討議」とは異なり、結論を出す必要はない。
「教科書の本文の言葉を根拠にして、話し合いをする」というねらいに向けて、みんなであれこれと検討したこと自体に意味がある。
そのことを褒めて終わりにしてもよいし、教師なりの解釈を、
「詩ですから、どのような解釈をしてもいいですから、絶対の解釈はありません。」と前提しておいてから伝えて終えてもよい。


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