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TOSSランドNo: 4313522 更新:2012年12月03日

「大人になれなかった弟たちに・・」(中1光村)の全授業


 (1)書いていない部分・書いていない心境を確かに読みとる。セリフの裏側の意味まで考えてみる
 (2)理由は1つで満足せず複数考える
 (3)AorBの問いに対し、正解がどちらかではなく、どんな理由が列挙できるかを優先する
を意識して取り組んだ。

CD視聴後に、感想を書かせる。
適当に書かせていては、「○○については、どう思っているか」が書かれてこない。

指示1:

(1) 「母」「僕」「ヒロユキ」「戦争」の4点について思ったことを書きなさい。
(2) 感想の中で、一番印象に残っているものに印をつけておきなさい。 

多くの生徒は「ヒロユキ」についてたくさんの感想を書いた。
一番印象に残ったものは、多くの生徒が「戦争」に印をつけた。

発問1:

それぞれの人物をどう思いますか。文中の言葉を根拠に書いてみよう。

「僕」は、「食いしん坊」と書いてある。
ヒロユキは、「おとなしくて」と書いてある。
母は、「美しい・強い」と書いてある。

しかし、そうした記述の抜き出しだけでは読みが物足らない。文章を根拠にして自分の言葉で表現させたい。

「僕」・・・・弟思い・やさしい・ひどい・我慢が足らない
     ※ 「僕」の評価がプラスとマイナスの両面あったので、あとで考えることを予告する。
「弟」・・・・「かわいそう」程度しか、なかなか書けない。赤ん坊のヒロユキの感情は表現されないからだ。
       あるクラスで「我慢強い」という意見がが出たが、何も知らないし何も言えないわけだからおかしいことを話す。
「母親」・・家族思い・優しい・我慢強い・すごい

発問2:

「配給のミルクが大切な大切な食べ物」なのはなぜですか?
 3つ以上書けたら合格です。

①そのころは食べ物が十分になかったから
②ヒロユキがそれしか食べられなかったから
の2点は、教科書に書いてあるからすぐに出る。

③自分は食べ物がなかったので、母はお乳が出なくなったから。
④時々しか配給がないから(しかも一缶しかもらえないから)
⑤やぎのミルクは遠くまで買いに行かないといけないから
の3点も、それほど難しくない。

 私の意見として
 ⑥おもゆも原料がお米だから、限りがあるから。
を加えた。
 ①から⑥までを全て板書して写させる。
 意見の出ないクラスでは、こちらから提示する。
 直接の理由は①②の2つだろうが、⑥まで考えることで、配給のミルクの大切さが、より深く理解できる。
 板書を見ながら、食糧不足だった・・・母が家族のために食べなかった・・・だからお乳が出なくなった・・・時々もらえるミルクでは足りなくなった・・・やぎのミルクを買いに遠くまで走った、という流れを確認した。

発問3:

「盗み飲みしてしまいました」は、「盗み飲みしました」と比べてどう違いますか?

・ 「しました」よりも、後悔・反省の気持ちが入る。
・やってはいけないと分かっていたという気持ちが伝わってくる。
・罪悪感がある。(塾で習った表現かも)

発問4:

盗み飲みをする「僕」は、「ひどい子」ですか、「かわいそうな子」ですか、「仕方ない」ですか?

「ひどい」「かわいそう」だけでは選びにくそうだったので、「仕方ない」も加えてみた。
「ひどい」という反応の生徒が多い。「盗み飲み」という表現の印象が大きいからだ。

・かわいくてかわいくてしかたなかった
・弟が欲しかったのでよくかわいがりました
・僕も十分な食べ物はなかった
・甘い物は何にもなかった
・ヒロユキの大事なミルクだと分かっていた。
・でも、何回も盗み飲みしてしまった。
という表現を、きちんと読み取らせたら、単純に「ひどい子」とは決めつけることはできない。
とはいえ、 「ひどい」「かわいそう」という選択することはできるが、理由付けが難しい。

説明1:

A・確かにひどいかもしれないが、当時の食糧事情を考えたら仕方ない。
B・確かにかわいそうな子だが、やはり「盗み飲み」を、すべきではなかった。「ひどい」ことをした。
どちらを選ぶにしてもきちんと事情を理解してほしいんです。
強盗したといっても、さまざまな事情があるかもしれませんから。

軽々しく「僕」を断罪させたくない。「しかたない」という意見にも耳を傾けさせたい。
AかBか、自分はどちらかを列指名でざっと尋ねて、相手側の意見を踏まえていればどちらかでもかまわないことを話した。
続いて、母が「盗み飲み」を黙認していたことにも気づかせたい。

発問5:

母は「僕」が盗み飲みしていることに気づいていましたか?

最初は「気づいている」と断言して良いかどうか私自身に迷いがあった。
しかし、これはやはり「気づいている」で決着させるべき問題だということで指導することにした。
 「気づいてない派」は、知っていれば母親は「注意するはずだ・しかるはずだ」と言う。
はっきり注意したと書いてないのだから当然の主張のパターンだ。

授業では、先に「注意したと書かれていない」の意見を出させる。
すると、「ヒロユキはそれしか食べないのだから」という母親の言葉があるから気づいていたという反論が出る。

ただし、「それしか食べられないから」・・・だから何なのかが分からない子もいる。

発問6:

「ヒロユキはそれしか食べないのだから」の続きは何ですか?

「我慢してね」「飲まないでね」「飲んじゃダメ」といった意見が出る。妥当な意見だ。
しかも「よく言いました」とあるから何度も警告していることも分かる。

説明2:

やはり「母親は『僕』の盗み飲みに気がついていた」と考えるべきです。
母親は叱っていないというけどそれは違う。
母親はきつくは叱っていないが、「ヒロユキはそれしか食べらないのだから(我慢してね)」という言い方で、さりげなく注意していると読めるのです。
気づいてはいたけど強くは注意できなかったのだということが分かります。
しかも「よく言いました」だから、何度も忠告していることも分かります。

「何回も盗み飲みしてるから缶の中を見れば減っているから分かるはずだ」という意見が出るが、「はず」という想像の域を超えられないので却下した。

気がついていない派からは、「盗み飲み」しているのだからばれていない、という意見が出る。 
しかし、ばれていないと思っているのは「僕」でなので、「母親」が気づいていたかどうかは、この部分からは分からないことを確認した。

親せきの家に疎開の相談に行く場面
疎開する場面を1文交代で読む。

発問7:

「母」はなぜ、親せきの人に言い返さなかったのですか。たくさんの理由を考えてみよう。

①言い返しても無駄   
②腹が立つ  
③悲しかった
などは出る。そこで終わらないで、もっと考えさせる。

④親戚だって必死で生きている。
⑤親せきとの言い争いを子どもに見せたくない。
⑥頼み事があるから強く出られない。
といった意見が出た。

⑦戦争が人々の心をすさんだものにしてしまった。そのことが悲しかった。
という私の解釈は、あまりに大人びているので提示しなかった。
生徒から出れば受け入れればいい。

①~③のような意見に終わらず、④~⑥のような意見が出るまで生徒の頭をフル回転させたい。

ヒロユキが病死する場面を1文交代で読む。

発問8:

「病名はありません、栄養失調です・・・」の「・・」にはどんな言葉が隠されていますか。
栄養失調は食べ物さえあれば死ななくてもいい「病気」にもならない症状だということですね。
それがヒントです。

弟が「栄養失調」で死んだ無念さを表現するのは難しい。
①かわいそうに
②ミルクを飲まなければよかった。
③食べ物さえあればヒロユキは死ななくてすんだ。

この③の発展で言えば「戦争さえなければ死ななくてすんだ」という考え方もできる。

・「みんなに看取られて幸せだった」という母の逆説的な言い回し
・「大きくなっていたんだね」と初めて泣いた母の心境
・弟が死んで2週間で戦争が終わったことの無念さ
・栄養失調という病気にさえならない原因で死んだヒロユキが哀れでならないという心の痛み

を読みとらせたいが、「この時、母はどんな気持ちだったでしょう」などといった愚問で終わらせたくない。
そこで対立を想定した次の問いを提示した。

発問9:

「ヒロユキ」の死に方は幸せか、不幸せか。理由を考えてみましょう。

①「幸せ」・・爆撃で死ぬよりはいいから。
②「幸せ」・・バラバラで死ぬよりはいいから
は出る。母親のセリフがそうなっているからだ。

 しかし、もっとたくさん考えてみようと促すと,「幸せじゃない」側の意見が出てくる。

①栄養失調で死んだんだから、幸せじゃない。
②1歳にもならずに死んだんだから、幸せじゃない。
③お父さんに会わないまま死んだんだから、幸せじゃない。
④何の楽しみもなく、笑いもせず死んだんだから、幸せじゃない。
⑤死んで幸せなわけがない

説明3:

「テストで50点取ったら0点よりは幸せだけれど、100点よりは不幸せだ」
というように、この場合は比較の問題です。
空襲で死ぬよりはいいけれど、もっともっと幸せな死に方(生き方)もありえた、ということですよね。
母親は、100%「幸せ」だと思っているわけではないということをきちんと読み取ってください。
 (1)で示した説明と同じパターンである。

A・確かに「不幸せ」かもしれないが、当時の戦況を考えたら「不幸せ」なんて言っていられない。
B・確かに「幸せ」と書いてあるが、やはり栄養失調で死んで「幸せ」なんてありえない。

どちらを選ぶにしてもきちんと事情を理解してほしいです。
「死んだ」といっても、さまざまな事情がありますから。

発問10:

戦争が終わった時、「僕」が思ったことは何でしょう。たくさん考えてみましょう。

①もう少しで、弟も死ななくてもすんだかもしれない。
②これで、平和になる。
③おなかいっぱい食べられる

金井直「木琴」の詩を提示する。
妹が死んでまもなく戦争が終わったという共通点から安堵や後悔や怒りの気持ちを捉えさせたいと考えた。

発問11:

大人になれなかった弟たちに・・・とあるが弟たちに何を伝えたかったのだろうか?

①今は、戦争が終わって平和になったよ。
②今は、食べ物がいっぱいあるよ。
③あの頃のことは忘れないよ。
④あの頃、僕たちも大変だったんだよ。

「たちに・・」だから、ヒロユキに対する個人的なメッセージはいけない。
「ミルクを盗み飲みしてごめんね」は×とした。

まとめの感想

書き方の指定をせず「まとめの感想」を書くように原稿用紙を配った。
唯一、次の指定をした。

指示2:

 「大人になれなかった弟たちに」を読んで、なんて題はだめです。自分で題名を工夫しなさい。

その結果、次のような題の感想文が書かれた。
題だけでも出来映えのよさが分かった。
○1人1人の人生
○僕も犠牲者
○ヒロユキの幸せと私の幸せ
○親の優しさ
○戦争のせいで・・・
○天国にいる子どもたちに


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