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TOSSランドNo: 2210108 更新:2013年08月01日

佐久間艇長の遺書


明治43年4月,広島湾で潜水艇が訓練中沈没した。
その潜水艇が引き揚げられたとき,13名の艇員は全て整然として部署についたまま絶命,
艇長の佐久間勉は事故が起きた午前10時から死に至る12時40分まで,
司令塔から洩れる微かな光を頼りに事故に至る詳細な経過を手帳の39頁にわたって記録。
当時,世界の人々を驚倒させた事件である。
今も世界各国の潜水学校で尊敬されている佐久間艇長と艇員の方々。
戦前にはこのような日本人がいたということを子供たちに知らせたいと願い,授業案をつくった。

(授業ではwebワークを使う)

発問1:

(佐久間勉艇長の遺書(写真)を見せる)
この字を見て,何を感じましたか。どんなことでもいいです。ノートに書いてごらんなさい。

・雑な字です。
・急いで書いているような字です。

説明1:

これは,ある方の遺言です。
「遺言」とは「死んだ後のために言い残す言葉」のことです。
この方は自殺したわけではありませんが,遺言を残しました。

発問2:

この方はどこで亡くなったと思いますか。

・病院のベッドの上
・自分の家
・海外旅行中
・飛行機の中

説明2:

遺言を書いた方の肖像写真を見せます。
(佐久間勉艇長の肖像写真を提示する)

説明3:

佐久間勉さんといいます。潜水艇の艇長でした。
潜水艇とは,海に潜ったまま進む船のことです。
佐久間さんは,沈む潜水艇の中で遺言を書きました。

説明4:

大正時代の道徳教科書のコピーを配ります。
(文部省『尋常小學修身書 巻六』の「沈勇」のコピーを配付)
受け取ったらすぐ名前を書きなさい。
当時は「道徳」ではなく「修身」と言われていました。
「修身」とは「自分の行いを正しくするように努力すること」です。

指示1:

先生が読みますから,聞いていなさい。

明治四十三年四月十五日、第六潜水艇は潜航の演習をするために山口縣新湊沖に出ました。
午前十時、演習を始めると、間もなく艇に故障が出来て海水が浸入し、それがため艇はたちまち海底に沈みました。
この時艇長佐久間勉は少しも騒がず、部下に命じて応急の手段を取らせ、出来るかぎり力を尽くしましたが、艇はどうしても浮揚(うきあが)りません。
その上悪ガスがこもって、呼吸が困難になり、どうすることも出来ないやうになつたので、艇長はもうこれまでと最後の決心をしました。
そこで、海面から水をとほして司令塔の小さな覗孔(のぞきあな)にはいつて来るかすかな光をたよりに、鉛筆で手帳に遺言を書きつけました。
遺書には、第一に艇を沈め部下を死なせた罪を謝し、乗員一同死ぬまでよく職務を守ったことを述べ、又この異変のために潜水艇の発達の勢を挫くやうな事があつてはならぬと、特に沈没の原因や沈んでからの様子をくはしく記してあります。
次に部下の遺族が困らぬやうにして下さいと願ひ、上官・先輩・恩師の名を書連ねて告別の意を表し、最後に十二時四十分と書いてあります。
艇の引揚げられた時には、艇長以下十四人の乗員が最後まで各受持の仕事につとめた様子がまだありありと見えていました。
遺書はその時艇長の上衣の中から出たのです。
 格言 人事ヲ尽シテ天命ヲ待ツ。

☆もとは縦書き、旧漢字旧仮名遣い

発問3:

初め,潜水艇は故障してどうなりましたか。

海水が侵入してきました。
潜水艇は海底に沈みました。
悪ガスがこもって,呼吸困難になりました。

発問4:

潜水艇が海底に沈んでしまうと,乗っている人はどんなことで困りますか。

海水が入って息が出来なくなります。。
悪ガスが出て呼吸困難になります。
暗くて何も見えなくなります。
ずっと沈んだままだと生きていけないっていうか,食べ物がなくて生きていけなくなります。

発問5:

今,自分が潜水艇に乗っているとしましょう。
どんどん海底に沈んでいきます。どんな気持ちになるでしょうか。

地上に行けるかどうか分からないから不安になります。
ガスがこもって大変だと思います。
助かるかどうか心配になります。
息が出来なくて大変だと思います。
家族とかに会えなくなるかもしれないから淋しいと思います。
生きも出来なくてどうしようもなくなるから,恐くなります。
生き延びられるかどうか分からなくて不安になると思います。

説明5:

「もうこれまでと最後の決心をしました。」という所に赤線を引きましょう。
引き終わった人は,その文をいっしょに読みましょう。「その上」からです。さん,はい。

「その上悪ガスがこもって,呼吸が困難になり,どうすることも出来ないやうになつたので,艇長はもうこれまでと最後の決心をしました。」

発問6:

佐久間艇長は,「もうこれまでと最後の決心をし」て,何をしましたか。

遺言を書きました。

指示2:

(遺言のコピーを配付する)
佐久間艇長の遺言を読みます。
海底に沈む潜水艇の中で書かれた遺言です。ものすごい呼吸困難の中で海水に浸かりながら書いた遺言です。
かすかな光を頼りに手帳に39頁にもわたって書き記した遺言です。目を閉じて聞きましょう。
(一文を読んでは必要に応じて口語体で説明を加える,という形で読み進める。)
(「沈拒後ノ状況」は読まなかった。)

佐久間艇長遺言

 小官ノ不注意ニヨリ陛下ノ艇ヲ沈メ部下ヲ殺ス 誠ニ申訳無シ サレド艇員一同死
ニ至ルマデ皆ヨクソノ職ヲ守リ沈着ニ事ヲ処セリ 我レ等ハ国家ノ為メ職ニ斃レシト
雖モ唯々遺憾トスル所ハ天下ノ士ハ之ヲ誤リ 以テ将来潜水艇ノ発展ニ打撃ヲ与フル
ニ至ラザルヤヲ憂ウルニアリ 希クハ諸君益々勉励以テ此ノ誤解ナク将来潜水艇ノ発
展研究ニ全力ヲ尽クサレン事ヲ サスレバ我レ等一モ遺憾トスル所ナシ

沈没原因

 瓦素林潜航ノ際 過度深入セシ為「スルイス・バルブ」ヲ諦メントセシモ 途中
「チエン」キレ依ッテ手ニテ之シメタルモ後レ後部ニ満水 約廿五度ノ傾斜ニテ沈降
セリ

沈拒後ノ状況

一,傾斜約仰角十三度位
一,配電盤ツカリタル為電灯消エ 悪瓦斯ヲ発生呼吸ニ困難ヲ感ゼリ 十四日午前十
  時頃沈没ス 此ノ悪瓦斯ノ下ニ手動ポンプニテ排水ニ力ム
一,沈下ト共ニ「メンタンク」ヲ排水セリ 燈消エ ゲージ見エザレドモ「メンタン
  ク」ハ排水終レルモノト認ム 電流ハ全ク使用スル能ハズ 電液ハ溢ルモ少々 
  海水ハ入ラズ 「クロリン」ガス発生セズ残気ハ五00磅(ポンド)位ナリ 唯々頼ム所ハ
  手動ポンプアルノミ 「ツリム」ハ安全ノ為メ ヨビ浮量六00(モーターノト
  キハ二00位)トセリ (右十一時四十五分司令塔ノ明リニテ記ス)

溢入ノ水ニ溢サレ乗員大部衣湿フ寒冷ヲ感ズ 余ハ常ニ潜水艇員ハ沈着細心ノ注意ヲ
要スルト共ニ大胆ニ行動セザレバソノ発展ヲ望ム可カラズ 細心ノ余リ畏縮セザラン
事ヲ戒メタリ 世ノ人ハ此ノ失敗ヲ以テ或ハ嘲笑スルモノアラン サレド我レハ前言
ノ誤リナキヲ確信ス
 
一,司令塔ノ深度計ハ五十二ヲ示シ 排水ニ勉メドモ十二時迄ハ底止シテ動カズ 此
  ノ辺深度ハ八十尋位ナレバ正シキモノナラン
一,潜水艇員士卒ハ抜群中ノ抜群者ヨリ採用スルヲ要ス カカルトキニ困ル故 幸ニ
  本艇員ハ皆ヨク其職ヲ尽セリ 満足ニ思フ 我レハ常ニ家ヲ出ヅレバ死ヲ期ス 
  サレバ遺言状ハ既ニ「カラサキ」引出シノ中ニアリ(之レ但私事ニ関スル事言フ
  必要ナシ田口浅見兄ヨ之レヲ愚父ニ致サレヨ)

公遺言

謹ンデ陛下ニ白ス 我部下ノ遺族ヲシテ窮スルモノ無カラシメ給ハラン事ヲ 我念頭
ニ懸ルモノ之レアルノミ

左ノ諸君ニ宜敷(順序不順)
一,斎藤大臣  一,島村中將  一,藤井中將  一,名和中將  一,山下少將
一,成田少將  一,(気圧高マリ鼓マクヲ破ラル如キ感アリ)  一,小栗大佐 
一,井手大佐  一,松村中佐(純一)  一,松村大佐(龍)  
一,松村小佐(菊)(小生ノ兄ナリ)  一,船越大佐   一,成田綱太郎先生 
一,生田小金次先生

十二時三十分呼吸非常ニクルシイ

瓦素林ヲブローアウトセシ積リナレドモ ガソリンニヨウタ

一,中野大佐

十二時四十分ナリ

説明6:

・・・ここで,遺書は終わっています。
「十二時四十分ナリ」と書いたところで気を失い,そのまま息絶えたのだと思います。

指示3:

遺書を読んで,感じたことをノートに書いてごらんなさい。

沈没したのに,よく字が書けるなと思いました。
息が苦しいのに,こんなにたくさん字が書けるなんてすごいと思いました。
すごく苦しんでいるような感じがしました。
なんで自分が死ぬのに,自分の心配をしなかったのかと思いました。
佐久間艇長は自分の心配より人の心配を優先して考えていたから,すごいと思います。
沈没しているときに何があったとかいろいろ書いてあってすごいと思います。
死を怖がらないで部下に仕事を命令して,部下は呼吸とか困難で苦しいのに死ぬまで仕事をしてすごいと思いました。
自分が死ぬかもしれないのに人の心配をしたりしているから,・・・そういう人が昔はいたんだなと思いました。
沈没して真っ暗な中で39頁も遺言を書くなんてすごいと思いました。
普通は自分の心配ばかりするのに,人の心配をしてすごいと思いました。

説明7:

潜水艇が故障して海底に沈む事故は,外国にもよくありました。
イギリスの潜水艇が同じような事故にあった時,乗員は死を免れようとして,水明かりの洩れる窓の下に折り重なって死んでいたそうです。
しかし,佐久間艇長の乗った潜水艇が引き揚げられたとき,13名の艇員は全て整然として部署についたまま息絶えていました。
仕事をしている状態のまま死んでいたそうです。
このことは世界中の人をたいへん驚かせました。
世界各国の潜水学校では現在も尊敬すべき潜水艦乗りの姿として教育されています。

説明8:

「修身」の教科書の最後に「人事を尽くして天命を待つ」と記してあります。
これは,「自分の出来る限りのことをやり尽くして,結果は運命に任せる」という意味です。

指示4:

今日のお勉強の感想を書いておきなさい。

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※このWebワークは著作権の関係上,学校の教室内での使用にとどめて下さい。
※このWebワーク上にある画像の複写使用や二次配布等はご遠慮下さい。
※このWebワークを使用してのトラブルについて,作成者(小林)としては責任を負いません。ご了承下さい。
尚,Webワーク使用には無償のマクロメディアのフラッシュプレイヤー(無料)が必要です。
         ↓
http://www.adobe.com/shockwave/download/index.cgi?Lang=Japanese&P5_Language=Japanese&P1_Prod_Version=ShockwaveFlash&Lang=Japanese

【参考資料】
■文部省『尋常小學修身書 巻六』(大正11年発行の教科書の複製版)
■家庭読本編纂会『嵐の中の灯台』明成社
■『佐久間艇長の遺書』TBSブリタニカ
■「海上自衛隊第12期一般課程幹部候補生のホームページ」


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