TOSSランド

コンテンツ登録数
(2019/06/17 現在)

21642
TOSS子どもランド TOSSオリジナル教材 TOSS動画ランド TOSSメディア TOSS-SNS TOSS公式(オフィシャル)サイト
TOSS子どもランド
TOSSランドアーカイブ
TOSSランドNo: 9188183 更新:2013年07月15日

「学べない人のために学ぶのだ(吉田松陰)」の授業


「学べない人のために学ぶのだ(吉田松陰)」の授業

=「なぜ勉強しなければならないのか?」という問いに対する1つの答え=

大東亜戦争(太平洋戦争)の終戦後、日本の学校では、「勉強は自分自身のためにするものだ。」と無意識に繰り返し教えていることが多い。
 「あなたのためでしょう!」「自分自身の幸せのためでしょう!!」という説教を保護者も教師もよくする。
 そこには、「人のために勉強をする」という観点がない。
 高度経済成長期の学歴社会なら、「自分のため」だけで通用したのだろうが、価値観が多様化している現代社会において、それだけでは、子供たちは納得しないだろう。
 自分のためだけならば、自分がどうでもよければ、勉強などしなくてもよいという身勝手な考え方が横行するだけである。
 遥か明治維新以前の日本では、松下村塾において、吉田松陰は、弟子たちに、「(様々な事情があって)学べない人のために学ぶのだ。」という教えを遺したことが知られている。
 その言葉をヒントに授業を組み立て、実践した。

発問1:

学校は何をするところですか?ノートに書きなさい。

「勉強をするところ」
 「みんなと仲良くするところ」

 黄金の3日間において、「学校は、勉強をするところ。みんなと仲良くするところ。」という伴一孝氏実践の追試で語りをしておき、機会を捉えて繰り返し指導していると、子供たちから、すぐに返ってくる。
 指導していないのなら、さらりと、提示してもよい。

発問2:

みんなは、毎日、学校へ勉強をしにきています。では、なぜ、みんなは勉強をしているのですか?ノートに書きなさい。

「自分の将来のため」
「有利な学校に入るため」
「自分が大人になって困らないようにするため」
「頭をよくして、将来困らないようにするため」

 多少の表現は違えど、見事に全員の子どもが、「自分のため」という観点で答えた。
 これが、これまでの日本の教育の現状である。

指示1:

プリントに名前を書きます。(間をおいて)名前を書いたら、読みます。

1.プリントを配布

2につながるようなアフリカの貧困が分かる記事や写真を提示する。
 以下は例示である。このような資料を探して提示する。

79年~88年 戦争と飢餓、難民の中へ
89年~98年 民族紛争の現場へも

 プリントを配布し名前が書けたら、読み聞かせをする。

2.『読み・書き・計算が子どもの脳を育てる [単行本] 』(川島隆太氏著・子どもの未来社)のコラムを読み聞かせする。

読み聞かせ :
 読み・書き・計算というスキルが道具になっていなければ、ものごとの概念化もできませんし、論理的な思考もできません。
 たとえば、「宗教観のちがう人を殺してはいけない」と考えられるためには、論理的な思考が必要です。
 そうでないと、自分の見える世界しか理解できなくなってしまいます。
 そのため、たとえばアメリカ政府は、アフガニスタンを安定させるために、教育を戦略として使おうとしているようです。
 いまもっとも教育を必要としているのはアフリカでしょう。
 アフリカに住むほとんどの人は、きちんとした教育を受けさせてもらっていません。
 たとえば、ソマリアに食料を援助したとき、栄養的な面が改善されたら、部族間の戦いがはじまってしまいました。
 食料だけでなく、しっかりした教育を入れる必要があったのではないかと思っています。

『読み・書き・計算が子どもの脳を育てる [単行本] 』(川島隆太氏著・子どもの未来社)

※ソマリアで実際に起きた部族間の虐殺については、子供たちの実態に合わせて簡単に解説をする。

説明1:

「きちんと教育を受けないと、『考え方が違う人を殺してはいけない』ということが理解できない。」とこの本を書いた川島隆太さんは言っています。

発問3:

再度聞きます。なぜ、みんなは勉強をしているのですか?ノートに書きなさい。その後に理由を書きなさい。

「自分のためと、世界中の人のため」
「世界を平和にするため」
「困っている人を助ける知恵をつけるため」
「人のために勉強する」
など。

 授業の冒頭とは子どもたちの意見が見事に変わった。資料の力である。

説明2:

 今から200年ぐらい前、日本の幕末の時代に活躍していた吉田松陰という人がいます。
 吉田松陰は、松下村塾という塾で、たくさんの人を教えていました。今でいう学校の先生です。
 教え子には、明治時代に勲章をもらう人が大勢いました。
 伊藤博文、久坂玄瑞、高杉晋作、山縣有朋、品川弥二郎、木戸孝允などの明治時代の有名な日本の指導者たちは、ほとんどが吉田松陰の教え子たちでした。
 しかも、長い者で数日、短い者で、数時間しか松陰の授業を受けていないにみんな松陰から大きな影響を受けているのです。
 大変優れた「先生」だったと言えます。

発問4:

 実は、この吉田松陰「先生」は、教え子たちに、「なぜ、勉強するのか?」ということを教えています。
 今から200年ぐらいの前のことです。
 吉田松陰「先生」が言った教えを予想して、ノートに書きなさい。

「人のために勉強する。」
「世界の人のために勉強する。」
「困っている人のために勉強する。」などの意見が出てきた。
 一生懸命に考えて出したこれらの答えを、1つ1つ認め、褒めて行く。

指示2:

 答えを知りたいですか?(すぐに教えないでよく考えさせ、意見を出させてからの方が授業によい緊張感が生まれる)
 では、背筋を伸ばしなさい(笑顔で、真顔で言うと威圧的になる。)。(全員:ピシッとした姿勢になる。)
 今から答えを言います。ノートにメモしなさい。

説明3:

 吉田松陰「先生」は、今から150年以上も前にこのように言いました。
(間をおいて)
 「学べない人のために学ぶのだ。」

 意味がピンと来ていない子供がいれば、簡単に解説する。

説明4:

 自分のために勉強することは勿論大切。でも、みんなのように学べない人が世界中には大勢います。
 だから、君たちはその人たちの分もしっかり勉強して、自分だけではなく、世界中の人たちも一緒に幸せになれるような知恵を身に付けなさい。
 そのために、勉強をしていくのです。

 ノートに感想を書かせて授業を終える。

※最後に教師の語りを入れて終える授業に抵抗がある場合は、吉田松陰の言葉から考えたことを発表させたり、別の発問を投げかけたりして終える。
※中学受験・高校受験などで疲れたり、悩んだり、或いは受験しないクラスメイトをバカにしているような子がいるならば、自分のためと思って勉強するのは辛くても、「世のため、人のため」と、目的をはっきりさせて、志を高くして勉強すると辛くなくなることもあることから、プレッシャーにならない程度に、子供の実態に合わせて次のような例を参考に語ってもよいだろう。

「中学受験をする人たちは、松下村塾で学んだかつてのエリートと同じです。
 わざわざ、一番遊びたい時期に、塾へ行って勉強しているぐらいですから、合格した後も勉強を続けて行けば、将来、会社や国のリーダーになる可能性が高いです。
 でも、エリートというのは、自分だけの幸せの為に勉強して、人を見下すのではない。そういうのは一流の人間ではない。
 本当のエリートは、人の為に勉強をして、学んだことを社会に活かしていく人たちです。
 単に進む学校や進路が違うということで、受験しない子や他の学校に進学するをバカにするのも大きな間違いだ。それぞれの生き方があるのは当然だ。
 自分と生き方が違うということで、他人をバカにするのは最も恥ずかしいことです。そんな人がリーダーになったって、誰も付いて来ませんよ。
 だから、受験をして、苦しいなとか辛いなと思っている人がいたら、今は迷わず目の前の勉強に全力投球してください。将来、社会や日本のために役立てるために勉強してください。」
 各々の先生方の判断と責任において、目の前の子供たちが抱えている問題に正対して語ってほしい。

【参考文献】

1.鈴木恒太「学べない人のために学ぶのだ(吉田松陰)」の授業化
2.「学べない人のために学ぶのだ(吉田松陰)」の薮原先生の修正追試
3.長谷川博之氏「長谷川博之夢現塾」資料
4.谷和樹氏「和(のどか)」例会資料
5.『井戸よりも学校を』(梶原郷著・未出版)
6.『現代の帝王学』(伊藤肇著・プレジデント社)
7.梶原郷(東京学芸大学3年次教育実習精錬授業)「インドに学校を建てる授業」道徳授業指導案
8.HP「ニランジャナスクールとは?」
9.東京学芸大学CLIPホームページ
10.特定非営利活動法人 アジア子供支援フジワーク基金
11.Welcome to Niranjana
12.プロジェクト「CLIP」×「BLOG」
13.がちゃ@の右往左往ドタバタものがたり。
14.映画『僕たちは世界を変えることはできない~But we wanna build a school in Cambodia.~』(深作健太 監督)
15.『僕たちは世界を変えることはできない』(葉田甲太著 小学館文庫)


0回すごい!ボタンが押されました

コメント

※コメントを書き込むためには、ログインをお願いします。
New TOSSランド