笑顔になる自己紹介~子どもの絵を使って~
TOSS空知 ・角銅 隆
作成日:2001年10月17日(水)
修正日:2010年 8月28日(土)
みんなの顔が思わずほころび、保護者との信頼関係が築ける自己紹介の仕方をご紹介します。
入学式後に「自分の顔の絵」をかかせる。それを保護者会までに教室に掲示しておく。
もしも一日入学に「自分の顔の絵」をかかせたのならば、それも掲示しておくといい。なくても構わないが、あるとより効果的である。
クレヨンを使って自分の顔の絵をかかせる。画用紙を配りこう指示する。
「一年生になってみんなにこにこしていますね。一年生になった自分をかいてみてね」
ほとんどの子どもたちは、すぐに顔をかきはじめる。どれもこれも、にこにこしている。それがいい。
そのうち、背中にランドセルを背負わせる子が出てくる。「すごい、ランドセルを背負っているんだね」と大きな声でいうと必ず他の子から「ランドセルかいてもいいの?」と質問が来る。再確認したいのである。そんなときには、
「もちろんいいですよ。自分をかいちゃった人は、学校をかいたり、桜をかいたり、いろいろとくふうしてみてね」
と言ってあげると子どもたちは安心してかきすすむことができる。
20分もするとほとんど完成する。すべての作品から一年生になった喜びや想いが伝わってくる。一日入学でかかせた自画像と比べると、何倍も明るい作品に仕上がっている。
1年生の最初の保護者会はほとんどの保護者が集まってくる。知り合い関係の少ない親も含まれるので、全体的に緊張感で包まれている。
「皆さん、お知り合いが少ないと思いますので、最初に自己紹介をしてもらいましょう」
こう言うと、ほとんどの保護者は苦笑する。このまま初めても緊張感はますます重くなるばかりである。そこで絵を指さし、
「その前に子どもたちのかいた絵を見ていただけますか。みんなそれぞれ上手だと思いませんか?1年生になった喜びで溢れていますよね。皆さん、自分のお子さんの作品の前に行ってお子さんの作品を紹介してください。その時、必ず褒めてくださいね」
と言ってから、自己紹介を始める。
子どもの絵、しかも楽しそうにしている絵なのだから、褒めるところはいっぱいある。そして、照れながら褒める人、堂々と褒める人、早口で褒める人と、保護者の反応も様々である。いつしか自己紹介をしている人も、聞いている人も笑顔で子どもの作品を眺めているのである。
いくつかの作品、主に特長のある作品については、具体的に褒めることを用意しておくと良い。一日入学の作品と比べたり、回りにかいてあるもののお話しを本人に聞いておくのである。
今回の作品の中には頭足人もあった。保護者の自己紹介でも「たくさんいるので、どれが○○なのかはわからないけど、とってものびのびかいています」と、褒め言葉が抽象的だった。そんなときに教師は説明を加えるのである。
「○○さんに聞いてみたら、学校の中をかいたんですって。左のギザギザは階段なんです。だから2階にいる一番大きくかいている人物が本人だって指をさしてくれましたよ。お友達よりも自分を大きくかいているところがいいですよね」
このように具体的に褒める。すると、その作品の保護者ばかりでなく、回りにいる保護者もうなづいて聞いてくれる。
保護者の皆さん褒め言葉は、こちらの予想以上にバリエーションにとんでいて、とても暖かいひとときを過ごすことができる。その余韻さめやらぬまま、学校では子どもたちを褒めて伸ばしてあげたいことを力説する。
次の日、一部の保護者から手紙が届いた。内容を抜粋する。
「○○はとてもやんちゃなので幼稚園で怒られてばかりいました。私も家に帰ってきた○○をよく怒鳴っていたように思います。先生の褒めるお話を聞いて、先生が担任で本当によかったと思いました。私もあの子を褒めて伸ばしてあげたいと思います。これからもよろしくお願いします」
保護者会の短い時間を工夫することで、保護者との信頼関係を築くことができたのである。
(C)TOSS TOSS/FreeTalk ・角銅 隆
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