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TOSSランドNo: 1213124 更新:2013年07月15日

プルークボーゲンを2時間でパラレルターンにする指導


1.出席点呼

スキー授業の出席点呼は一番に終われ。

生徒たちは集合場所に指定されたところに何とはなく集まっていた。一般客の迷惑も構わず、通路に固まっている生徒が大勢いる。

「もっと前に行きなさい。一般のお客さんのためにどけなさい。」
と一声かけて、移動を促す。

指示1:

3班A、ここに整列!

前の方の集団は班毎の列になっているようで、なっていない。気の早い生徒はもうスキーを履いている。こうなると、整列もままならない。「整列」とは言ったものの、整列完了を待たずに点呼をはじめる。

指示2:

1組、青木君、井川君、・・・・

 18名中、2名の返事がなかった。クラスの子にバスに乗っていたかどうかを聞いた。一人は欠席、もう一人はスキー場に向かう路上で見かけたということを確認した。この生徒は遅刻と判断し、移動を決断した。

指示3:

リフトに乗ります。移動!

 約200名の生徒が技術レベルごとに集まり、出席を取る。出席を取り終わると200名がリフトに殺到する。わずかの時間差でリフトの待ち時間が大きく違ってくる。自分が担当する班はリフト乗車1番乗りである。

「法則化は待ちません。」「法則化は時間通り。」

2.準備体操

中高生は嫌がるが、必ず実施せよ。怪我防止の意識を持たせるためである。

 リフト降り場からすぐのところにあるスペースで準備体操をする。簡単であっても、必ず実施する。スペース、時間を勘案して8種目程度行う。種目数は状況に応じて増減する。

指示4:

1列に並びなさい。
体操をします。
先生の真似をしなさい。

1.アキレス腱伸ばし
「足を前後に開いてアキレス腱を伸ばします。」

Akires1

2.スキーをV字に開いて股関節伸ばし
「スキーをV字に開きます。右足を滑らせ、またの内側を伸ばします。」

Vji1_2

3.膝の内折り
「膝を内側におります。」

Hizauti1_2

4.スキーを浮かせてトップ振り
「スキーを浮かせて、トップを左右に振ります。」

Tophuri1_2

5.体の前屈・後屈
「体を前後に倒します。」

Zengo1_2

6.体側曲げ
「体を左右に倒します。」

Taisoku1_2

7.腕の前回し、後ろ回し
「腕を大きく回します。」

8.手首ぶらぶら
「手首を振ります。」

3.診断

初めての生徒を受け持った場合、必ず実施せよ。技術段階のばらつきを把握する上で絶対必要である。

特に学校スキーの場合、自己申告でグループ分けすることが多いからである。

指示5:

皆さんの実力を見せて下さい。
カーブを描いて滑ります。どんなカーブでもいいです。
先生が下で合図をします。合図があったら来て下さい。では、お願いします。

 班のメンバーの実力差を確認する。メンバーの間に極端な実力差があった場合、一斉指導が困難になる。

 習熟度の低い児童・生徒をスキー嫌いにしないためにも班の移動が必要である。

 逆に習熟度の高い児童・生徒の場合は、本人が希望すれば、班を移動しなくても良い。

 速いテンポで次々に合図を送る。例えば生徒が2ターンしたら次の生徒に合図を送るのである。

 これでもかなりの時間差が出来てしまう。じっくり生徒を観察していると、うっかり合図を出すのが遅れてしまう。
 気をつけていないと、生徒は教師の背中側で寝そべったりだらけたりしている。これはテンポがとろいことを生徒が教えてくれているのだ。

診断の観点

1.外足荷重

 まるいターン弧を描いて滑るとき、2本のスキーに内側、外側が出来る。外側のスキーにより多く重心をかけることを外足荷重という。
 このとき、体は上半身と下半身が自然とわずかに「く」の形になる。この姿勢はとてもバランスがとりやすいのである。

 かなりスピードを出してかっこよく滑る生徒でも十分な外足荷重の出来ている生徒はいなかった。これからの練習で、劇的な変化が期待できる。授業が楽しみである。

2.垂直荷重

 垂直荷重とは、斜面に対して身体を垂直にすることである。

 斜面に生えている木は、重力方向に沿って立っている。人間も斜面に立つときは、体軸が重力と同じ方向になる。
 しかし、坂道を駆け下りるときは、体軸が斜面に垂直になる。スキーで滑走中も同様で、スキーが真下を向いて直滑降になるときは体軸が斜面に垂直になる方がよい。

 やはり出来ている生徒はいなかった。どちらの基準で判定しても大きな実力差のある生徒はいなかった。
 今回担当した班には移動該当者はいなかった。
 別の日に担当した班では、荷重が出来ず、転んでばかりの生徒が1名いた。2班から5班へ移動させた。

 このように、班の移動処置を済ませたあとで、本日の授業の目標と練習内容について説明を行う。

 他の班との位置関係で実際の移動が遅れる場合があるのはやむを得ない。

4.趣旨説明

2回のスキー学習の到達目標を簡潔に明示する。自信を持って語れば、生徒は必ずその気になる。

説明1:

 スキーをはずして先生のまわりに集まりなさい。もっと近くに寄りなさい。
 これからパラレルターンの練習をします。スキーをそろえる滑り方です。これが出来ると、良い成績がつきます。皆さんに良い成績を取ってもらいたいので、先生の指示通り滑って下さい。

 平らで広い場所、まわりの邪魔にならない場所を選び、生徒を集めてしゃがませる。スキー学習でスキー板をはずして集まることはめったにないことなので、「もっと近くに寄りなさい。」の一言は是非必要である。目が行き届けば私語が減り、指示が徹底する。

発問1:

 どんな初心者でもスキーを平行に出来るときがあります。それはいつですか。わかった人、発表して下さい。

 反応の良い生徒がいたら、口々に何か発表するだろう。
 正解がでたら「すごい。よくわかったなぁ。さすが高校生です。」などと大いに褒める。反応がなければ、教師が自分で正解を言う。

 直滑降の時と真横を向いているときは誰でもスキーを平行に出来ます。

Heiko

皆さんもできますね。問題は直滑降から真横に移るときと、真横から直滑降に移るときです。

説明2:

 今日は直滑降から真横に移るところを練習します。(図をストックで書いて指し示す。)

Linefig

 はじめに、プルークボーゲンで直滑降から真横に滑ります。次に同じことを片足でやります。片足でもバランスよく上手に出来るようになれば、浮いた足はいつでも平行に出来ます。(身振りで説明する。)

Lift1_3

 これでパラレルターンの半分が完成です。

説明3:

 次回は真横から直滑降に移るところを片足で練習します。両方出来るようになればパラレルターンが完成します。
 何か質問がありますか。

 今回、質問は出なかった。もし、ここで質問が出るとすれば、説明と演技が良くないと言うことである。もっと言葉を削り、わかりやすいものにしていきたい。

発問2:

 念のため、今日練習することを確認します。言える人、手を挙げなさい。

 はい、どうぞ。(手のひら全体で生徒を指し、指名する。次々に生徒に発表させる。)

「直滑降から真横に移るとき。」

 その通りです。直滑降から真横に移るとき、片足で滑るのです。では、スキーを履きなさい。

5.基礎感覚・基礎技能

山場の指導である。慌てず、スモールステップで進む。出来ない生徒がいても、スモールステップで進んでいく。何度も繰り返すうちに出来てくる。1日目午前の中心課題である。

指示6:

 ハの字で直滑降から真横に滑ります。このように片足をあげて滑ります。
 全部上がらなくても構いません。片足がちょっと上がるだけでいいです。では合図をしますから合図があったら来て下さい。

 はじめは1ターンずつ試技をさせる。左ターンで1回、右ターンで1回行う。

 次に2ターンずつ試技をさせる。左ターンでスタート、右ターンで停止。右ターンでスタート、左ターンで停止の2回行う。

 リフトに乗るたびに同じ手順で何度も繰り返す。

 片足リフトが安定してきたら、一回の滑走距離を長くしていく。

 生徒に滑走させる際は、待ち時間が長くならないように細心の注意を払わなければならない。生徒をどんどん滑らせれば滑らせるほど生徒は教師の指示に素直に反応し、技術も向上する。教師の前に来たときは指導せず、評価だけする。[スキー指導の原則(2)]

 ハの字の姿勢で片足をあげるには、上半身を谷側に傾けるとうまくいく。

 ある程度片足リフトが出来るようになったら次に進む。目安として、出来ていない生徒が5人(3割)以下である。

6.課題運動

パラレルターン後半の「山まわり」を完成させる練習である。1日目午後の中心課題である。

指示7:

 スキーをそろえた姿勢をパラレルスタンスといいます。パラレルスタンスで直滑降をします。片足をあげて滑らかにスキーが真横を向くまでターンをします。これの繰り返しです。直滑降、真横。直滑降、真横。の繰り返しです。前の人がターンを2つしたら次の人はスタートして下さい。先頭の人だけは先生がターンを4つしたらスタートして下さい。

 真横向きから直滑降に移るスキー操作は特別に指示しない。横向きから「えい!」と一気に立ち上がり直滑降に移る模範演技を見せる。

 模範演技を見て、真似の出来ない生徒が多いときに限って補足説明する。

補助指示1. 先生の真似をして、一気に立ち上がって直滑降に移ります。

 それでも真似が出来ずに苦労する生徒が多い場合は、次のように指示する。

補助指示2. 足をハの字に開いて、プルークボーゲンで直滑降に移ります。

 真横向きの状態からシュテムターンの要領で、外足開きだしプルークボーゲンを行い、ハの字直滑降に移る模範演技を見せ、真似をさせる。

 指示5に示した運動は高度な技術を要する運動である。簡単には習熟できない。スキー滑走量の不足している児童・生徒に対して、1回のスキー授業で滑りを完成させることは無理がある。小学生であれば、卒業までの数年間で完成させようとという意識が必要と思う。十分な滑走量の目安は、スキー授業までのリフト乗車回数が10回である。

 繰り返し、指示5の運動を行う。少しでも進歩が認められれば誉める。姿勢の改善、安定感の向上、表情、返事の変化などどんなことでも進歩と感じれば誉める。技術的な助言は最小限にして滑走回数をとにかく増やす工夫をする。スキー場の全ての斜面を使い、周辺技術を織り交ぜた練習を取り入れる。生徒を飽きさせず練習を行わせたい。このあたりの工夫については、ゲレンデの条件などを考慮し、個別に対応しなければならない。

目立つ欠点と対処の方法

(1)後傾

 指導すべき対象としないので、後傾が見られても気にしない。多少の後傾はパラレルターンの習得に一切関係ない。

(2)直滑降がない

 スキーのトップが右向きから直滑降になることなく、一瞬で左向きになる。これを直接改善することは出来ない。次の(3)、(4)を練習することで、スピードに対する恐怖感を克服できたとき、自然と直滑降が出来るようになっている。

(3)スキーが真横を向かない。(斜めに滑り続けてしまう)

例1.うまくできない生徒の前を滑り、誘導する。生徒の滑りがどうであっても、褒めて褒めて、褒めまくる。

例2.4人のグループを作り、グループ単位のトレーンを練習する。「前の人の外側を滑ります。」と指示する。

例3.Jの字停止ではなく、Uの字停止の練習をする。Uの字がどこまで戻っていくか、競争する。

(4)スキーの内足をリフト出来ない。

 斜面のあらゆる場所で、立ち止まる度に内足をリフトした基本姿勢を練習する。バランスの取れたこの姿勢を外傾姿勢という。

例1.
 「外傾姿勢、用意、始め。」といって、10秒持続させる。

例2.
 生徒の谷側に立ち、生徒にストックをラケットを握るように持たせる。生徒のストックの先を教師が握る。「ストックを引っ張るからしっかり握ってバランスを取るんだよ。」と言って生徒に外傾姿勢の構えをとらせる。「じゃあ引っ張るよ。」と言ってから生徒のストックを引っ張り、バランスを取らせる。
慣れてきたら、急に引っ張ったり離したりする。
このときの腰の折れ具合、脇の曲がり具合を意識させ、出来ていれば誉める。

例3.
 生徒の山側に立ち、「肩を押すからね。」と言って外傾姿勢の構えをとらせる。「じゃあ押すよ。」と言って生徒の肩を押してバランスを取らせる。
慣れてきたら、急に押したり離したりする。
このときの腰の折れ具合、脇の曲がり具合を意識させ、出来ていれば誉める。

例4.
 生徒に外向傾姿勢をとらせる。生徒の谷側に立ち、谷側の肩に手のひらを近づける。「手に体を預けて下さい。」と言って、寄りかからせる。生徒が寄りかかってくるのをしっかりと支える。手の位置を少しずつずらしながら「もっと寄りかかります。」と言う。こうして、生徒の「くの字」姿勢を大きくしていく。「滑走中も、こんな感じに体重をかけるのです。」


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