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TOSSランドNo: 2210374 更新:2013年01月08日

万引きを防止するための語り


日曜日の午後、部活を終え家に帰ろうかとカバンを持った時、職員室の電話が鳴った。その日学校にいたのは私だけだった。
電話は、名前をき聞けば誰もが知っているだろうCD店からだった。
「お宅の学校の生徒さんが、万引きをした。引き取りにきて欲しい」という内容の電話だった。
その子は、私の担任の子ではなかったが、授業は教えていたし、よく知っている方の生徒だったと思う。
どちらかと言えばおとなしい女の子で「万引き」という言葉とその生徒のイメージはうまく結びつかなかった。
とりあえず、その子の担任に電話で連絡したが不在だった。
やむえず、その子の家に電話した。
母親が出た。
電話にしろ直接言うにしろ、万引きの事実を親に伝えるのはつらいことだ。
母親は、電話口で3秒ほど絶句すると、すぐ行くと言った。

CD店の事務所に、その子はうなだれて座っていた。
店の人に事情を聞くと、シングルCDを2枚持ち出そうとして、店の防犯装置が鳴り、捕まったという。
お金を持っていないわけではないという。
間もなく母親がやって来た。
母親は、事務所に入るなり黙って頭を下げると、言った。
「この子がとったものはおいくらですか。払いますので・・・」

その瞬間、CD店の人は静かに、丁寧に、ゆっくりとしゃべりだした。
しかし、その声に怒りを感じたのは私だけではなかったと思う。
「いいえ、商品はもどっておりますので、お金けっこうです。でもお母さん、お子さんにこのことだけはわかっていただきたいのです。
わたくしどもは、このCD1枚1枚を売って、それで給料をいただき、それで生活しています。
わたくしにもまだ小学生ですが、娘がいます。娘はこのCD1枚1枚を買っていただくお客様がいるから生活できるのです。

わたくしどもだけではありません。CDを作って生活している人、CDのケースを作って生活している人、そしてこのCDを日本中のお店に運んで生活している人、そしてそういった人たちの家族・・・。
たった1000円のCDにも、数え切れないくらいの人たちの生活がかかっていることをわかってわかっていただきたいのです。

人のものを盗むことが、良いか悪いかといったことは、もうすでにおわかりだと思うのです。
万引きを見つかって、お母さんや先生にこうして迎えにきてもらうことを、恥ずかしいと思うのではなく、好奇心や度胸試しや、遊び感覚で万引きをすることを恥ずかしいと思っていただきたいのです。」

私は、耳まで、赤く熱くなっている自分がわかった。恥ずかしかった。
私自身、考えたことがなかったのだ。CDだけではない、例え10円のチョコ1つにも、その後ろにはそのチョコに関わる多くの人たちがいるこを。
今日のこの話を忘れまいと思った。そして伝えていこうと思った。
どうして「万引き」というのか、調べてみようと思いつつ、調べずにいる。
でも、自分なりに、何万人もの人の気持ちや期待を引き裂くような行為だから、そう言うのかなと、あの夏休み以来思うのだ。


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