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TOSSランドNo: 5259051 更新:2013年01月06日

3億年生き抜いてきたスギナ 小林幸雄実践


3億年生き抜いてきたスギナ   ~先祖の誇りにかけてたくましく生きる

TOSS作州教育サークル  小林幸雄
【準備物】スギナ,わくわくずかん,その他の植物,(あれば,恐竜の模型,化石)

1.スギナを提示して簡単な問いを出す

黙ってスギナを教卓の上に提示して、次のように指示する。

___

指示1:

何でしょうか。
『わくわくずかん』の何ページにのっているか分かったら来ます。先着12名まで!

子どもたちは,教卓の周りに集まり,あれこれ調べだす。
教師は,教室の後ろで子どもたちのやってくるのを待つ。
「分かった!」と言っては,小走りにやってくる。
わくわくずかんを開いて見せる。合格した順に「1番,2番…」と順位を告げてやる。
あっという間に,子どもたちを授業に巻き込んだ状態となる。
正解は,30pの「スギナ(ツクシ)」である。
12名まで合格した段階で,正解を告げた。
そのページを開いたところで,簡単な問いを繰り出す。

発問1:

スギナとツクシは,土の中でどうなっていますか。

「土の中でつながっている」
「土の中で,がっちり握手している」と答える。
図鑑をよく見れば,簡単な問題である。
続けて問う。

発問2:

これはスギナです。
スギナは,ツクシの何ですか。

「スギナは,ツクシの葉です。」と答える。

2.スギナの先祖

ここで,別の植物を取り出す。
根・茎・葉・花がはっきりする植物なら,何でもよい。
ちなみに私は,ホトケノザを取り出した。

発問3:

茎はどこですか?
葉はどれすか?
花をどれですか?

指差しながら,子どもたちと一緒に唱えながら確認した。

発問4:

普通に見られる植物は,このようなつくりになっています。
では、スギナの茎はどこですか?(ウム…)
スギナの葉はどこですか?(ウム…)
スギナの花はどこですか?(ウム…)

どうも答えにくい。一般にみられる植物とはやや異なっている証拠である。
このような違いを感じさせたところで,次のようにきいた。

発問5:

スギナは,少し変わっているなあと思う人?

全員が手をあげた。

発問6:

そのとおりです。少し違いますね。
スギナは,他の植物に比べ,
どちらかというと新しいタイプの植物でしょうか。それとも古いタイプの植物でしょうか。

古い(18名),新しい(8名)と分かれた。
理由を書かせて発表させる。

指示2:

理由は,こじつけでもいいから書きなさい

指示すると,子どもらしい発想で理由を書いてくる。
「昔からあったと思う。」「昔から何かに使われていたと思う。」「昔からあるから名前がついているのだ。」
「ツクシは昔から食べられていたから。」「たぶん,昔の人が名前を付けたと思うから古いと思う。」
「図鑑にのっているから」などと,古いタイプ派の意見が出される。
これに対し,「不思議な形をしているので,昔の人は見たことがないと思う。」
「新しいタイプだから花や茎の区別がつきにくのだと思う。」と少数派の「新しいタイプ」派から意見が出た。

__

さて,ここで,理科室においてあるおもちゃの恐竜を取り出して見せる。

発問7:

恐竜が地球上でもっとも栄えていた時代は,今から2億年ほど前です。
スギナの祖先は,恐竜のいた時代より古いでしょうか。それとも新しいでしょうか。

(やや古い方に多数手があがった)
予想させた上で,解を告げる。

説明1:

スギナは,恐竜が世界を支配していた時代よりもっと古い植物なのです。
恐竜のいた2億年よりもさらに1億年も前からいた植物だったのです。
(さらに1億年前という声に,驚きの声があがる。)
3億年前,スギナの先祖は,30~40メートルもある巨大な植物でした。
(ここで、石炭になりかけの化石を取り出して見せる。)
スギナの巨大な先祖が,長い時間をかけて石炭となったのです。
石炭は3億年前,地上に生い茂っていたスギナの先祖なのです。
人間は,3億年前のスギナの先祖を,今では,石炭を燃やして電気などを作っているのです。
しかし,恐竜が地球上を支配し始めた2億年ほど前から少しずつ小型化し,
そのほとんどが,環境の変化についていけず,死滅してしまいました。
つまり,現代のスギナは,3億年も生き抜いてきた子孫なのです。

__

3億年も生き抜いてきたという説明に,子どもたちのスギナを見る目つきが変わる。

3.畑の雑草

スギナは,畑の雑草としてもっとも嫌われる代表的な雑草である。
そこで,次のように問う。

発問8:

スギナは,畑で作物を作るお百姓さんに,好かれているでしょうか。それとも嫌われているでしょうか。

意外にも,好かれていると予想する子が多かった。(19名)
嫌われていると予想した子は,9名しかいなかった。
こんなに長い間(3億年も)生き抜いてきたスギナに敬意を表するはずだという子どもらしい論理なのである。
ここで,「実は,大変嫌われています。10人聞けば10人,100人に聞けば100人のお百姓さんが同じように嫌います。」
と解を告げた。
(信じられないという顔つきの子どもたち)
その理由は,「『わくわくずかん』に書いてあります!」と告げると、
「土の中で,がっちりあくしゅう」というキーワードに子どもたちは気付いた。
土の中にある根っこのようなものがあって,抜いてもぬいても生えてきそうだというのだ。
そのとおりである。

4.人々を勇気づけたスギナ

最後に,一つのエピソードを紹介する。

説明2:

かつて広島に原爆が落とされました。
一面,焼け野原となり,広島の街は,全てを失ってしまいました。
当時,もう緑は戻らないだろう。
戻ったとしても50年はかかるだろうと言われました。
ところが,何よりも先に地面が芽吹いた一つの植物がありました。
「何だったと思う?」
(スギナ!と子どもたちは答えた)
死の大地からいち早く芽を吹いたスギナを見て,人々は、勇気づけられたといいます。
(自然に、拍手が起きた)

多くの仲間が死滅していったなか,一人末裔としてたくましく生き延びているスギナ。
このような授業を行うと,雑草と見下していたスギナが,愛おしく,尊敬の眼差しで見たくなるのである。

【引用文献】  『身近な雑草のゆかいな生き方』(草思社)稲垣栄洋著


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