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TOSSランドNo: 2310238 更新:2013年01月04日

競争民主々義より、集団で学び合う教育


1.競争民主々義での失敗

 競争民主々義という言葉がある。スタートラインを同じにして、ゴールを目指して競争させていくことである。
 一見、スタートラインを同じにするので平等で、民主々義のような感じがする。
 しかし、この競争民主々義が子供の結び付きを弱くするのである。自分さえできればよいという自己中心的な雰囲気を作っていく。
 競争民主々義で失敗したことがある。
 4年生の子供たちに日記指導を行った。四百字詰めの原稿用紙(B5版の特製)に一日一枚書かせていった。
 最初は書けるだけでよいとした。慣れてきたところで次のように話した。

 日記に自分の記録を残します。一学期が終わるまでに、何枚書けるか競争します。目標は100枚です。
 書いた原稿用紙は、ファイルに閉じていきます。自分の財産を増やしていきましょう。目安は一日一枚です。

 子供から質問が出た。
 「一日に何枚書いてもいいんですか」。
 「いいですよ。できるだけたくさん書いてください」。
 よい日記を書くよりもたくさんの量の日記を書く競争が始まった。
 最初のうちは良かったが、次第に書ける子供と書けない子供との差が出てきた。
 書ける子供は、一日に三枚も書いて持ってきた。
 「A子さんは120枚まで書きました。みんなも負けないように頑張りましょう。何枚まで書けるか、自分に挑戦してください」。
 スタートラインが同じで、自分の力を自由に伸ばしていくのであるから、民主的な活動だと考えた。競争する中で書く力をつけたいと考えたのである。
 ところが一学期の終わる頃、学級の雰囲気がおかしくなってきた。A子が仲間はずれになってきたのである。
 遊びの中でも一人で遊ぶ姿が見られるようになり、学級の中で孤立していった。A子のほかにも、仲間から疎外される子供が出てきた。
 共通しているのは、日記をたくさん書いている女子である。特に良く書いていると私がほめた子供である。
 そのうちに、もっと深刻な問題が起こった。A子のファイルから日記が盗まれたのである。誰が盗んだのかはとうとう分からなかった。
 競争させる中で力を伸ばしていこうとした方法が、子供の結び付きを弱くし、子供の間を分断したのである。
 競争が激しくなればなるほど学級の雰囲気は悪くなり、集団としてのまとまりや信頼感が失われていった。
 二学期からは、競争で書かせることをやめた。自分の力で書ける量にして、内容を高める指導に転換した。
 しだいに仲間外れもなくなり、学級の雰囲気も良くなっていった。競争民主々義の弊害を身にしみて感じた。

2.集団の教育力を高める

 競争民主主義でなく、学級づくりを行うには、集団で学び合う教育を行っていくことである。
 集団教育のよさは、異なる性格の個性がぶつかり、互いに磨き合えることである。
 学級の中で「異なる性格の個性が集まって」「互いに磨かれる」場を多く作っていくのである。
 学力だけを付けるなら、学校でなくてもできる。学校の良さは、集団で学べることである。
 楽しい学級にしていくためには、そういう集団教育の場を多く作っていくことである。
 日記指導で失敗した私は、集団教育の場を設けることによって、豊かな子供の結び付きのある学級作りを目指した。
 競争民主々義でなく、仲間と育つ指導を行った。

 日記指導では個人の力を伸ばすことに主眼がおかれ、子供同士の磨き合いや高め合いまでに至らなかった。
 日記指導を踏まえ、集団で認め高め合う学級作りを行うことにした。
 一人の子供の良さを学級全体にまで広げ全員が高まり、子供の結び付きが強くなる指導を考えた。
 仲間外れやいじめのない学級作りを目指していった。

3.鉄棒のダイヤモンド作り

 3先生を担任し、鉄棒を核にした学級作りを行っていった。
 競争民主々義で失敗したので、種目をたくさん出来る競争はしないことにした。
 「たくさんの技が出来るようにしよう」という競争ではなく、次の課題で取り組んだ。

 鉄棒が一番伸びるのは、三年生の時です。鉄棒にはたくさんの種目があります。
 その中から、自分の得意な種目を作ってください。それをダイヤモンドと呼びます。
 ダイヤモンドは磨かないと光りません。自分一人の力だけでは光りませんので、友達の力を借りて磨いていってください。
 自分のダイヤモンドばかり磨かないで、友達のも磨いてあげます。そして学級がたくさんのダイヤモンドでピカピカに輝くようにしましょう。

 鉄棒の種目は、体育の時間に紹介した。どの種目を選ぶかは子供の自由である。
 ダイヤモンドにしたいという種目を選んで練習していくのである。
 子供が選んだダイヤモンドを紹介する。

 1.こうもりがえし
 2.グライダー
 3.さかあがり
 4.モノレール
 5.とけいまわり
 6.うしろまわり
 7.あしかけまわり
 8.けあがり
 9.あしかけふりあがり
 10.まえまわり

 ダイヤモンドを選ぶ観点は、自分がやってみたい種目である。始めから出来るとは限らない。ダイヤモンドを磨いていく手順を指導した。

 1.出来ない種目を出来るようにする
 2.新しく出来た時には、友達に見てもらい三回出来たら合格とする。
 3.出来るようになったコツを体育ノートに書く。
 4.三回できたら、連続十回出来るようにする。
 5.一つのダイヤモンドが出来たら、別のダイヤモンド作りをする。

 競争的に行うと差が大きくなる。そこで仲間作りができる工夫をした。
 ダイヤモンドを磨き合う相手を作り、練習をペア-で行っていくのである。自分一人が出来れば良いのではなく、友達も出来るようにしていくのである。
 ここで大事なのは、出来るコツを発見させ学級全体に広げていくことである。自分一人に留めておくと、子供の結び付きは出来ない。
 出来るコツを見つけたら、体育ノートに書かせるようにした。全体に役立つコツは学級通信にして紹介していった。
 発見したコツの部分は帰りの会で読み上げ、全体に広げた。それをもとに、別のコツを発見していくようになった。
 ダイヤモンド作りによって、子供の結び付きが強くなり、互いに教え合い高め合うようになったのである。
 連続十回出来たらダイヤモンドである。自分の見つけた方法を教えてあげることが楽しいという雰囲気が出来ていった。
 グライダーという種目は人気があった。ペア-を越えて一緒に練習するグループが出来、誰が一番遠くまで跳べるかという遊びが始まった。
 遊びを通してダイヤモンドが磨かれ、仲間作りがなされた。遊びを通して子供の結び付きも深まり、学級の雰囲気も良くなっていった。
 見つけたコツの一覧表を作り、新しいダイヤモンドに挑戦していく時の手かがかりとした。
 自分の見つけたコツが、人の役に立つというのは嬉しいものである。
 できない子供への教え合いが多く見られるようになり、みんなの力でダイヤモンド磨いていった。
 日記指導で失敗した競争民主々義でなく集団による仲間作りによって、豊かな学級が出来るようになった。


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