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TOSSランドNo: 3589702 更新:2013年01月03日

アインシュタインによって「時間」の概念はどう変わったか


 2005年は世界物理年であった。アインシュタインの奇跡の3大論文(光電効果、ブラウン運動、特殊相対性理論)が発表されてちょうど100年になる。中でも相対性理論は、20世紀の物理学の2大革命の1つとされ、現代の科学の基礎を築いた画期的なものである。
 その中のキーワードが「時間」と「空間」である。あわせて「時空」とも言う。
我々は「時間」という言葉をよく使う。日常生活にとけこんでいる概念である。その意味は社会的、哲学的、科学的と幅広い。この「時間」に絞って授業をしてみたい。
相対性理論には特殊と一般がある。多くの生徒(役)はあまり相対性理論について知らない。そこで、今回は、重力や加速度系の無視できる特殊なケースである特殊相対性理論を主に扱ってみたい。
(2)時間意識のもつ4つの形態
 クフマンが指摘しているように、時間の表象を考えるとき、ヘレイズムとヘプライズムの時間の対抗性から出発しないといけない。古代ギリシャ、日本も含めた原始共同体から現代までの時間意識は4つの形態をとっている。
① 直線的な時間(近代社会)
② 線分的な時間(ヘプライズム)
③ 円環的な時間(ヘレニズム)
④ 反復的な時間(原始共同体)            質              量
 可逆的な時間イメージは質的および量的な時間概念に  
したがって「原始共同体」型の時間と「ヘレニズム」型
時間に分けられ、不可逆的な時間イメージも同様に「ヘ
プライズム」型時間と「近代社会」型時間に分けられる・
 このうち、「ヘプライズム」としての時間は、無限に伸びていくニュートンの絶対時間と対比すると、
「始めと終わり」によって区切られた時間である。
(3)生物学的に「時間」をとらえてみると
 本川達雄氏によると、「時間」は、(サイズ)の1/4乗に比例するという。体重が16倍になると、時間が2倍になるというのである。
 サイズによって「時間」が変わるのである。ゾウには「ゾウの時間」、ネズミには「ネズミの時間」がある。体のサイズによって違う時間の単位がある。生物におけるこのような時間を「生理的時間」と呼んで、物理的な時間と区別している。
 1つの単元で、このあたりの「生物学的な時間」を入れてみると概念を膨らませやすい。
(4)絶対時間と相対時間・・・・解明の鍵は「光の速度一定」の原則
多くの人は長年、時間を絶対的なものと思い込んできた(今でもほとんどの人がそう信じている)しかし、相対性理論ではこの世に「絶対時間」は存在しない。「絶対空間」も同じである。
 主な科学者は、地動説を出発点に「時間」を次のようにとらえている。
 ガリレオ・・・空間は相対的であるが、時間は不変である(時間は絶対的な視点でみる)
 ニュートン・・「絶対時間」(無限の過去から無限の未来まで一様に流れる時間)
 マッハ・・・・世の中に絶対的な規準はなく、全ての運動は相対的にとらえるべきである。
アインシュタイン・時間は不変ではない(相対的なものである)
 相対性理論を論じるときの大前提が1つある。「光の速度は常に一定である」というものである。これが特殊相対性理論の発見につながることになる。次のような研究の蓄積により生み出された。
マイケルソンとモーレーの実験・・・光の速度は常に一定である。
ファラデー、マクスウェル、ヘルツ・電磁気学の面から光の正体を予感する。
ローレンツ・・・光を伝える媒質(エーテル)が存在し、それが縮む。
ポアンカレ・・・絶対時間は存在しない。ローレンツの考えは正しい。
アインシュタイン・絶対時間は存在しない。エーテルもない。光速より速いものは存在しない。
「時間は不変ではない」のである。動いているものの時間は遅れる。同様に「長さ」も変わる。
 絶対的なものは光の速さだけである。 これがアインシュタインの相対性理論である。
 人類がここまで到達するのにかなりの年数がかかっている。
(5)ピカソの絵とアインシュタイン相対性理論の共通点
 意外なことにピカソの絵とアインシュタインの相対性理論には共通点がある。それは、「複数の視点」があるということである。
アインシュタインの相対的な「時間」を考えるとき、欠かすことのできないことがある。視点である。例えば、兄がある地点にいて、弟が歩いて離れていくとする。このとき、2つの視点がある。「(止まっている兄からみた)立ち去っていく弟の姿」と「(立ち去っていく弟から見た)止まっている兄の姿」の2つである。
 物理学的にこの2つの視点を1つの同じ座標軸にしたのがガリレオの絶対的な「時間」である。
 それに対して、アインシュタインはこの2つの視点を別ものと考えている。したがって、同じ座標軸に位置づけることができない。相手の視点を知るためには、自分がいる位置と時間を「ローレンツ変数」に入れしかないのである。ピカソの意味が分からないように見える絵。その大きな理由は、1枚の絵にいろいろな視点から見た顔を描いているからである。
複数の視点があること・・・これが「時間」の概念をがらりと変えている。
(6)相対性理論の発展・・・一般相対性理論から宇宙論へ
特殊相対性理論の最大の成果は今までに別のものとして扱われてきた時間と空間を時空という1つの概念にまとめたことである。四次元(縦、横、高さ、時間)として捉えたことである。それは、宇宙論から生命進化、カーナビ、ガン治療など多くの科学の発展につながっている。
また、物質の重さについても新しいことを発見している。動いているものは止まっているときに比べて重さが重くなるということである。それはE=mc2という有名な式に表され、原子力エネルギーの誕生につながっている。
さらにそれは、重力や加速度を考えた一般相対性理論につながり、重力増の法則、光と重力の密接なる関係(重力場では特殊相対性理論はあてはまらない、空間が歪み、時間が遅れるなど)を明らかにした。そして、量子論とともに、宇宙からマクロの世界に至るまでの広範囲で現代の科学に大きな貢献をしている。

 単元の構成

第1次 「時間」とは
第2次 生き物によって異なる「時間」
第3次 人は時間をどう考えてきたか
第4次 科学者の時間論・・・コペルニクス、ガリレオ、ニュートンなど
第5次 相対性理論が「時間」概念を覆した【本時】
第6次 特赦相対性理論から一般相対性理論へ「時間」と「空間」
第7次 現代科学と「時間」

発問1:

好きな人と会っています。時間が過ぎるのはどう感じますか。
 つまらない授業を受けています。時間が過ぎるのはどう感じますか。
 では、実際の時間はどうなっていますか。

同じ時間でも長く感じたり、短く感じたりしますね。楽しいときは早く時間が過ぎたように感じるけど、いやなときはとても遅く感じますね。時間の進み方が違うように思えますね。

説明1:

古代から人々は時間を知るために、暦や時計を工夫してきました。
(バビロニア人の数学・天文学、グレゴリオ暦、の写真を示す。)また、1884年には世界で標準時が決定されたりしました。時間はだれにとっても同じように進むものとずっと考えられてきました。

時間と距離を使って求めるものに(速さ)があります。

発問2:

歩道橋の上からスポーツカーと軽自動車が走っているのをみます。
 スポーツカーは時速100km、軽自動車は時速70kmで走っています。
 それぞれの速さはいくらに見えますか。

そのとおりの速さに見える。

指示1:

 軽自動車からスポーツカーをみると、速さはいくらに見えますか。ノートに書きなさい。

100-70=30 時速30kmに見える。現在では常識的となっているガリレオの相対性原理である。
 スポーツカーと軽自動車を光とロケットに変えてみる。

発問3:

光は1秒間に30万km進みます。ロケットは1万kmです。地球から見るとそれぞれの速さに見えます。ロケットから光をみると、速さはいくらに見えますか。

説明2:

29万kmではなく、30kmだったのです。これをマイケルソンとモーリーという科学者が発見したのです。そして、光は特別なものだと考えました。
 「水の動きを伝えるものは水です。音を伝えるものは何ですか。」空気である。これと同じように光を伝えるエーテルというものを想定しました。しかし、そんなものは存在しない言った人もいました。

発問4:

次のどちらの考えが正しいと思いますか。
① 光を伝える「エーテル」の長さが縮んだ
② ロケットの中の時間が遅れた。

正解は②です。本当は距離も縮んでいるが、時間が遅れたのです。
「(速さ)は、(距離)÷(時間)で求めることができます。普通、(距離)や(時間)は、絶対的なものでした。でも、光速を考えることで、(時間)や(距離)は絶対的なものではなく、光の速度だけが絶対的なものということが分かったのです。それを見つけたのがアインシュタインでした。」

発問5:

光時計というものを考えてみます。光が往復して1秒遅らせる時計です。
 これを地上においた場合、動いている電車において電車内の人がみたとき、どうなりますか。

時間の遅れを光時計でみると、何も変化がないことが明らかになる。

発問6:

地上の人が電車内の光時計をみたとき、どう感じますか。
電車内の人が地上に置いた光時計をみたとき、どう感じますか。
① そのまま ②進んでいる ③遅れている

挙手させる。正解は③です。お互いに遅れているように見えます。でも、それぞれの時間があり、どちらも正しいのです。

発問7:

このように時間の概念はアインシュタインなどによってがらっと変えられました。でも、我々が時間の遅れに気づかないのはどうしてですか。

遅れが極めてわずかなものであるからである。16年で1秒である。
相対性理論によって、それぞれの時間があることのほかに、長さも変わっていることが明らかになりました。(トンネルの危機の図を示す)
 原子時計の写真を示す。

指示2:

「秒」の定義は、地球の自転や公転にもとづくものでしたが、これでは都合が悪いことが分かりました。どういった点がいけないのですか。ノートに書きなさい。

地球は動いているので、時間や重力による遅れが生じることである。
 「その代わりに、セシウムという原子の周波数を原子時計を使うようにしたのです。1971年。ジェット機に原子時計を載せて、運動と重力による時間の遅れを検証したのです。アインシュタインの思考実験の正しさが証明されたのです。」
 この「時間」概念の変容は現在、カーナビなど多くのことに使われている。
 カーナビの時計から、地球に信号を送っている画像を示す。

説明3:

カーナビは動いている車の位置を正しく知らせてくれます。衛星からの電波を受信して位置を知らせてくれます。しかし、衛星の時計は地球の時計よりも1秒で100億分の4.45秒速く進みます。そこで、衛星はこの分だけ遅れた信号を送っているのです。こういったところにも相対性理論が生かされているのです。


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