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TOSSランドNo: 1145148 更新:2012年12月01日

授業技量検定A表挑戦秘話《循環型新素材・りぐぱる》を授業する


2004年8月、TOSSサマーセミナーで授業技量検定A表にチャレンジした。向山洋一先生から「64点、初段留置」という評定をいただいた。天に昇るほどの喜びであった。しかし、そこにたどり着くまでには、TOSS中学の井上好文先生の温かいご指導の数々があった。そのドラマを紹介する。これを参考に、1人でも多くのTOSS教師が授業技量ライセンスにチャレンジしてほしいと願っている。

1.挫折からの出発

A表ライセンスに立候補したとき、私はその意味を深く考えていなかった。
5月、指導案をまとめて事務局の新牧先生に送付した。しばらくして、A表挑戦者に自分の名前を見つけた。1000人を前に授業できる喜びを感じたが、「指導案を見たが、いずれもC表・B表のレベルに過ぎない」という向山先生の言葉は、意識の外にあった。
7月のJHS関西サークルで、予定していた授業を見ていただいた。井上先生に秒殺された。視線、生徒への対応、言葉の強弱、教態のすべてを改善するように指摘された。そして、「これはA表の授業ではない」という一言が私にとどめを刺した。あまりの情けなさに、一緒にサークルに参加した南川敦子さんと一言も会話を交わすことなくJR特急で関西空港に向かった。

2.井上好文先生(TOSS中学代表)の優しさ

井上先生からのメッセージが届いた。

井上です。少々厳しいことを申しましたが、ご容赦下さい。 まだ10日もあります。時間は十分あります。染谷先生なら大丈夫です。
CO2は、文句なく最前線、最先端のネタです。可能な限り狭く絞り込んで、可能な限り深く、授業を組み立てて下さい。

肩を落としてサークル会場をあとにした私を心配したのであろう。井上先生の優しさに触れ、パソコンの前で涙が出てきた。
私は心を決めた。決めた以上は、行動は早いほうがいい。井上先生のアドバイス通り、CO2セミナーで学んだ内容で授業を組むことにした。

3.《循環型新素材・りぐぱる》を授業する

《りぐぱる》とは、紙の原料であるパルプを生産するときに出る廃棄物・リグニンを利用してつくった再生木材である。
パルプから植物繊維だけのかたまりである《ファイバーモールド》をつくる。これでは水に弱く、すぐに形が崩れるため長く使うことはできない。しかし、《ファイバーモールド》をリグニンから抽出した溶液につけると、丈夫で固い《りぐぱる》が完成する。手触りはプラスチックそのものである。

《りぐぱる》の優れているところは、何度も繰り返して使用できる点にある。机などに使ったあと、再びパルプとリグニンに分けることができるのである。
《りぐぱる》は最先端の素材である。これを手に入れたい。
私は50か所以上の研究所や企業に問い合わせたが、「高価な新素材なので提供できない」と断られた。唯一、ある研究所が「教育のため」「使用後は返却する」という条件で貸してくださった。サマーセミナーでは、その実物を提示することができた。
《りぐぱる》は、木の成分から作られる。いわゆる、天然素材である。だから、ゴミとして捨てられたとしても微生物が分解し、土にもどすことができる。これを「生分解性」という。《りぐぱる》は、従来のプラスチックが抱える問題を解決する画期的な素材である。

Sya2004-19-1

4.矢印を入れることが問題提起

模擬授業で《りぐぱる》を提示しただけでは、単なるプレゼンテーションに終わってしまう。問題提起が必要である。
授業を組み立てる過程で、私は次のことに気がついた。

《りぐぱる》の価値を、向山先生が提案した『サイクル図』によって簡潔に説明することができる。

ここを問題提起として取り上げることにした。
授業では次の発問を用意した。

指示1:

《りぐぱる》は、木を中心とする『サイクル図』に新しい矢印を入れることになります。
どこからどこへ矢印が入りますか。ミニ定規と赤鉛筆を使って、矢印を書き込みなさい。

正解は「ゴミ(リグニン)」→「資源(りぐぱる)」である。ここに1本の太い矢印が入る。
つまり、「ゴミ」を「自然」に排出することなく、直接「資源」として活用する新しい道をつくったのである。

Sya2004-19-2

これは、《りぐぱる》が無駄なエネルギー消費を減らし、CO2削減に貢献することを意味している。
木材を分子のレベルでリサイクルをする。それは、リグニンを石油にかわる工業原料として使うことであり、結果として石油の使用量を減らすことになるのである。

【追記】
JHS関西のサークル終了後、井上先生は北海道に帰る私に2本のビデオをお土産に持たせてくれた。
サークルでの模擬授業を撮影したものである。
サマーセミナーまでの10日間、何度もこのビデオを視聴し、イメージトレーニングを積んだ。
A表64点は、このビデオのおかげである。


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