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TOSSランドNo: 1216135 更新:2012年12月31日

新学力観に基づいた学習カード作成のポイント


1.体育科における新しい学力観

 新しい学力観の中で強調されているのは、「学習意欲」と「思考力・判断力・表現力」の重視である。
 北尾倫彦氏は、「内発的学習意欲を育てる授業のあり方」(田中教育研究所)の中で、学習意欲について次のように述べている。

内発的学習意欲というのは学習の前提条件ないし原因ではなくて学習の結果ないし目標です。“やる気”をつくるんです。内発的学習意欲を育てることがイコール教育です。というようにして、教育目標の中に内発的学習意欲を位置づけよう。というのが“新しい学力観”です。

 意欲が学力の一部なのである。新しい指導要録の「観点別学習状況」の中で「関心・意欲・態度」が「知識・理解」よりも先に記述されているのもそのような理由による。
 「やる気」をどう作っているかが、自ら主体的に学んでいく自己教育力につながっていくからである。
 北尾倫彦氏は新しい学力観の柱としてもう一つあるという。

持っている知識に価値があるのではなくて、自分で新しい知識をつくったり、自分で知識を利用したりする、いわゆる生きた知識に根差した人間の能力ということになりますと創造的なクリエイテイブな認知的能力だと思います 。これを学力の中身として重視しましょう。思考力・判断力・表現力を重視しましょう。ということです。

 どんなに「知識・理解」があっても生きて働かなければ、社会の変化に対応することはできない。
 自分で考え、判断し、行動できる力を作っていくことが新しい学力として必要なのである。
 それでは、体育科における新しい学力観はどのように考えたらよいのであろうか。
 体育科では、昭和52年度告示の学習指導要領から「楽しい体育」が入ってきた。
 小学校低・中学年では「運動を楽しくできるようにし」、高学年では「運動の楽しさを体得」し、そして中学校では「運動の楽しさを味わわせる」という表現になっている。
 「楽しい体育」が入ってきたのは生涯体育を目指し、小学校から運動に親しませていこうというねらいからである。
 技能中心の体育ではなく、運動そのものの楽しさを体験させていこうというものである。
 つまり、新しい学力観で重視している「関心・意欲・態度」を先駆けて実践してきたのである。
 指導要録の評価の観点も次のようになった。

 ○ 運動や健康・安全への関心・意欲・態度
 ○ 運動や健康・安全ついての思考・判断
 ○ 運動の技能
 ○ 運動や健康・安全についての知識・理解

 今まで重視されてきた技能や知識・理解にかわり、関心・意欲・態度、思考・判断が重視されている。
 これは北尾倫彦氏が主張している、“やる気”と“考える力(思考力)・判断力・表現力”を指導していこうというものと同じである。
 「関心・意欲・態度」、「思考・判断」「技能」、「知識・理解」の力をどのようにつけていったらよいのであろうか。
 小林篤氏は「斎藤喜博における体育指導の特質」(兵庫教育大学研究紀要第13巻)の中で次のように述べている。

子どもたちの学習意欲を高め、自己学習力を育てるためには、理にかない、子どもたちをうまくする教師の技術指導が不可欠であることがわかる。

 具体的な内容として次の三点を説明している。

 ①運動の本質を踏まえ、的確に子どもたちの運動技能を伸ばしてやる指導によって、子どもたちの中に運動をする楽しさや喜びが生まれ、
 ②その楽しさ・喜びがべ-スになって、自主的・創造的な学習集団が育ち、
 ③ひるがえってそのような学習集団が、いっそう運動技能の伸びを促し、その結果、運動の楽しさ・喜びがいっそう高まる、ということである。

 「意欲」を育てる骨格は、運動技能を高めてあげることだという。私もこの考え方に賛成である。
 しかし新しい学力観では、直接技能を高めるのではなく、子供の「やる気」や「思考力・判断力・表現力」を育てながら技能を高め、運動の楽しさや喜びを、体験させるようになっている。

2.新学力観に基づいた体育の授業

 では、新しい学力観による体育科の授業はどのように行えばよいのであろうか。
 法則化体育授業研究会では、新しい学力観に基づいた授業を行うために、「やる気」をどう育てるか。
 船井幸雄氏は前掲著で「やる気」について、次のように説明している。

「やる気」は別の言葉でいいますと「ワクワクする」ことです。「ワクワクして行いたくなること」です。

 体育で子供がワクワクして行いたくなるのはどんな時だろうか。
 教材が面白く、興味・関心がある時である。「面白そうだからやってみたい」という気持ちになる教材に出合った時である。
 法則化体育授業研究会では、「場作り」を工夫することによって「やる気」を育てる指導をしている。
 低学年に回旋リレ-がある。障害物を置いて回旋しながらリレーを行う。
 今までは回旋物の位置を固定して行っていたが、回旋物の位置を作戦によって変えてもよいことにした。
 その結果、子供たちは意欲を持ち、進んで学習に参加するようになった。
 教材(場作り)を工夫することによって運動に対する関心・意欲・態度が高まったのである。
 回旋リレ-の指導で次の発問・指示をした。子供に考えさせ、判断させ、活動させていった

 回旋リレ-でどこに回旋物を置いたら速く走れますか。
 チームで作戦を立てて走るようにします。
 「やる気」は具体的な教材を学習する中で出来ていく。「思考力・判断力・表現力も運動を行うことによって形成されていく
 どこに置いたらよいのかを小黒板に書かせ、速く走れる位置をグループで発見させていったのである。
 作戦を立て、実際に走って確かめる中で「思考力・判断力」が身につくようにしていった。
 一方的に教え込むのではなく、子供の自主的・創造的な活動を取り入れることによって、新しい学力観で強調している「思考力・判断力」が育っていく。そのために、法則化体育授業研究会では発問・指示のある授業を行っている。
 作戦を立て、何回かリレーをしていく中で、勝つ原則を発見していく。
 この教材のテクニカルポイントは、スタートの近くに障害物を置くことである。バトンパスでスピードが落ちている時に回ってしまえば、あとは直線を走るので速くなる。
 速く走る原理が分かれば、「知識・理解」として定着していき、教材が変わっても活用できる。それが生きた学力につながっていく。
 関心・意欲・態度、思考・判断、知識・理解を育てる中で、速く走るという技能もついていくのである。
 今までの体育のように、直接技能作りを目指すのではなく、子供の「やる気」や「思考力・判断力・表現力」を高める中で技能が高まって高める中で技能が高まっていく指導を行っていくのである。
 運動の楽しさ・喜びを体験させ、生涯にわたって運動に親しむ子供を育てていくことが究極のねらいである。
 そのためには、子供の自主的・創造的な力を伸ばしていく授業が大切である。

3.学習カ-ド作成のポイント

 新学力観に基づいた学習カードは、どのように作成していったらよいのか。
 走り幅跳びの実践を通して説明する。

 1.目標を明確にする。
 2.内容を明確にする。
 3.評価項目を決める。
 4.評価基準を作成する。
 5.学習カードを作成する。

 最初に目標を明確にする。
 学習指導要領の第5学年及び第6学年の陸上運動の目標、内容は次のようになっている。

① 自己の能力に適した課題を持って
 以下の運動を行い、その技能を身につけ、競争したり、記録を高めたりすることができるようにする。
 (ア) リレ-・短距離走及び障害走
 (イ) 走り幅跳び及び走り高跳び
② 互いに協力して、計画的に練習や競争ができるようにし、競争では、勝敗に対して正しい態度がとれるようにする。

 関心・意欲・態度、思考・判断、技能の目標を明確にする。
 目標、内容が明確になったら評価項目を考える。

Aaa

 関心・意欲・態度を3つの観点から評価することにした。
 一つは関心意欲である。これを具体的に欲求充足と意欲とから評価する。
 二つめは、協力である。協力は役割分担と教え合いから評価する。
 三つめは、マナーである。これは順法性と勝敗に対する態度から評価する。
 このように評価観点を決め、具体的な評
 項目が決まってもどんな内容で評価していったら良いのかが分かっていないと、教師も子供も評価できない。
 どんな内容で評価するのかを明確にしておく東京学芸大学の立木正氏の「集団的種目における評価の考え方と方法」(『学校体育』1993.4月号)を参考に、次のように考えた。きたかを評価する。
 勝敗に対する態度は勝敗に対して、正しい態度がとれたかを評価する。
 記録を高めるためにグループで協力が行われ教え合いがなされていく。
 ここでは、関心・意欲・態度についての評価を中心に述べるが、他の評価内容とも関連させていくことが大事である。
 目標、内容が明確になったら、遠くへ跳ぶためにどんな指導を行うのかという方法を具体化する。
 6年生で私が行ったのは、助走距離の発見と助走スピードの測定である。
 どのくらいの助走距離から走れば最高のスピードが出て、遠くへ跳べるのかを学習させるようにした。
 子供の自主性を引き出しながら、グループで協力して記録を高めていけるような授業構成にした。
 自分一人で行うのではなく、仲間とともに力を合わせながら、助走距離、助走スピードを上げていくのである。
 指導方法が決まったら、評価項目の決定である。関心・意欲・態度の内容をどのような項目から評価していくのかを決定する。
 学習指導要領の目標、内容から考えられるのは、協力、公正、マナーである。これらをもとにして評価項目を作成する。
 これは教材によって変わってくるがおおかたは同じである。
 走り幅跳びで私が活用したのは、次のような項目である。

Bbb

 欲求充足では、夢中に運動し、楽しくできたかを評価する。子供の運動したいという欲求がどの程度満たされたのかを調べる。
 意欲では、自分から進んで、力いっぱい運動できたかを評価する。走り幅跳びをみていると遠くへ跳べる子供は、積極的に何回も挑戦しているが、跳べない子供は意欲を持って取り組まない。
 役割分担では、責任をもって、自分の役割を果たすことができたかを評価する。計測や用具の準備などができたかを評価する
 教え合いでは友達を励ましたり教えたりできたかを評価する。
 順法性はきまりを守って、競争することがで
 評価項目、評価内容が決まったら評価基準を決める。立木氏の評価表を参考に、次
 このような評価基準をもとに子供用の学習カードや教師のチェックリストを作成していく。
 項目や基準は子供にも事前に説明しておいたほうが良い。
 なぜなら、どんな項目でどんな内容をどのような基準で評価するのかが分からなければ、学習カードを活用できないからである。
 基準が明確であれば、評価はしやすい。いくつかの単元で活用していく中で、子供は慣れて評価もできるようになる。
 単元によっては、評価項目を変えたりしく。単元の関心・意欲・態度がもっとも評価できる内容にしていく。
 評価の基準を三段階にした場合、どの程度できれば◎なのかを授業の初めに示しておく。
 ばらばらに行っていたのでは、評価にならない。到達基準を明確にして指導していくようにする。
 技能のように形で見えない評価なので、基準については十分に指導しておく。


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